第23話 思わず激昂してしまう男子大学生
辰巳は我に返る。そして彼は深呼吸する。それを何回も繰り返す。それを終えると彼は顔を横へ向ける。その先にはジェミニがいる。
彼女の表情は特段驚いた様子はない。彼女は腕組みしてその視線はセーラー服姿の女性を捉えている。そして、そんな彼女は大きく欠伸をする。そんな中、首を回し彼の方へと向く。
「つまんない対戦だったわね。相手はコッチのランキング7位だから、もう少し魅せてくれると思ったのだけどぉ。ねぇっ? 君」
「あのう〜、お聞きしたいことが御座いまして、はい」
「何? ムゲンセンのこと?」
「そうではなくてですね。何が起こったのですか?」
「あの子のAUDに侵入したから発動したのよ」
「A、U、Dって何ですか?」
「アブソリュート・アンタッチャブル・ドメインなんちゃらよ」
「なんちゃらの続きの何ですか? 」
「ぶぁかぁなの〜っ、君。Aが英語のAbsolute、UがUntouchable、DがDomainだったかしらね。アルファベット3文字なんだから、それだけよ」
「いゃっ、なんちゃらと仰られたので続きがあるかと。ちょっと紛らわしかったかなぁ〜と、はい」
「教えてあげたのに紛らわしいって何よっ!! 口答えするじゃないわよ!!!」
「ひゃひぃ、申し訳御座いませんでした。ジェミニさん」
「素直で宜しい」
「あっ、はい。あのう〜」
「まだあんのっ? 何っ?」
「技の名前なんですよね?」
「技と言えないこともないわ。まぁ、あの子の領域かしらね。漫画とアニメ好きの大人子供病の奴で、名付け好きがいるのよ」
「領域ですかぁ〜。ところで大人子供病って何ですか?」
「そっちで言う厨二病?ってヤツよ」
「あぁ〜っ。それにしても領域が500m近くあるって凄いんですね」
「コッチじゃその位なのかしらね。アッチじゃもっと広域なはずよ。コッチで、あれなんだから。アッチじゃ発動する必要性すらないもの。でも、AUDは久しぶりに見たわ。上位ランカーだから用心したんじゃないの、一応」
「あのセーラー服姿の女性かなり強いんですね?」
「まぁ、そうよ」
そう言った彼女と彼は噂の彼女の方へと顔を向ける。すると、彼女は彼らの目の前の前に立っている。
「貴様だな! コッチで最後の門番とか絶対的守護神とか言われてチヤホヤされて有頂天になっている男子は?」
「えっ、いきなりなんでしょうか?」
「貴様かと聞いているんだっ! 」
「まぁ、おそらく」
「はっきりしろ!」
「私かと……」
「あ゙ぁ゙っ!」
「私です、はい」
「どれほどのものか試してあげましょう」
そう彼女が言った瞬間、辰巳は体に衝撃が走る。そして、彼の足裏は地面から離れ高速で後方宙返りする。宙に浮いた彼は、落下し地面へと胸から激突しそうになる。彼は咄嗟に両手をついて回避した。
「あらっ、どうやら実力は確かなようね。一回宙返りで済むなんて。遥かに後方へと吹っ飛んで行くと想定していたのに。残念っ。と同時に、貴様を俄然ブチのめしてやりたくなったわ」
そう言った彼女は彼を見下ろしている。ゆっくりと彼は立ち上がる。すると、彼の目の前には仮面のモノが宙に浮いて彼を見下ろしている。そのモノの頭部が別へと向く。その先はセーラー服姿の女性だ。
「No.369ことオフィウクスさん、貴女を規定違反によりコチラでの3試合対戦禁止処分と致します。アチラでは可能です」
「アッチの勝利数なんて飾りじゃないですか。それに私触れてませんよ?」
「それは屁理屈ですよ?」
「触れてませんから規定違反ではありません」
「具現化力の使用による故意的物理接触に含まれてます」
「それこそ屁理屈じゃないですか? この素行の悪い姉ですら1試合対戦禁止処分だったじゃないですかっ! 不公平ですっ!!」
「統括者である私への反抗的態度も規定違反です。それも加味してNo.369ことオフィウクスさんを5試合対戦禁止処分と致します」
「ちょっと横暴じゃないですかっ!」
そう言った彼女対し仮面のモノがパチンと指を鳴らした。その瞬間、彼女は一瞬で消失した。
「それではお二人とも、私はこれにて失礼します」
そう言った仮面のモノは消え去った。
残された2人の間のに暫く沈黙が続いていた。しかし、辰巳が沈黙を破る。
「あのう〜? ジェミニさん?」
「何? 君。ムゲンセンのこと?」
「その前に一つ宜しいでしょうか?」
「何? いいわよ」
「あのセーラー服姿の女性、確かオフェクス?さんってお姉さんが、ここに参戦してるんですか?」
「……しっ、知らないわ。あと、あの子のランク名はオフィウクスよ」
「あっ、覚えにくいランク名ですね」
「まぁ、そうね。私も、しまいじゃな……あっ!」
「どうしました?」
「方言が出てしまったわ。この話は終いにしましょう。ムゲンセンの話ししましょうよ? ねっ? 君」
「あっ、はい。では……例えば……あぁ」
「焦れったいわね」
「えぇっ〜とぉ。有り得ない話かもしれないんですがぁ〜、うぅん〜」
「まさかぁっ! 死んだ人間を生き返らせれるとか言いたいの? 流石にそれは無理なんじゃないの。まぁ、分からないけど」
「死んでなんかないっ!!!!!」
そう言った彼は握り拳を作る。
「えっ…………いきなり声を荒げてなによっ、君」
「死んでなんか…………絶対にぃ」
「…………」
「…………」
「どうやら君も私と似たような境遇の様だな。そう願い信じ諦めず心が折れないようにな。今日は取り乱してるからムゲンセンに関しては今度答えてやる。じゃあ、またな。君」
そう言った彼女はプッと瞬時に彼の前から消え去った。




