貴方が無茶を言ったから、今日は迷宮トマト祭り
「さあ皆さん、それでは参りましょう」
アイリスさんの号令で私達は、地下迷宮に入って行った。
初めての挑戦なので石版は使えずに入り口から迷宮内に降りていく。
「結構迷宮内は明るいんですね」
「そうだね、地下三十階までは、
迷宮内と言っても結構明るいよ、迷宮の壁に生えている苔が発光しているらしい。
ちなみに地下十階までは、
植物系、そこから二十階までは、オーク等豚種、更に三十階迄は、
弱めの牛とミノタウルスの中間位のモンスターが中心に出没するよ」
デパ地下?デパ地下なの?
物産展とかは無いのかしら。
ジーク様の説明で思わず私は前世の食品売り場を想像してしまった。
「そこから先は、どの様な感じです?」
「そこから先は攻略難易度も急に上がって、種族系統による統一というよりも、
地形特性の統一傾向があるらしいよ、溶岩フロアーとかね。
七十層から先はクリアーされていないから、攻略情報も無いね」
「それなら、迷宮お料理探検クラブとしては、地下三十階までで良いですね」
「何言ってるのよ、八十階層はクリアーするわよ」
私の話を遮ってピンクちゃんが主張してきた。
「理由を聞かせて貰えますか?」
「私の重要なアイテムを手に入れるためよ」
「十分考慮した上で、前向きに検討させて頂きます」
「それやらない奴じゃないの!!」
私は知っている絶対に女神様が私をそこに連れて行きたい事を、
今までの経験で勉強したのだ。
転生する時の約束と違う、余程の追加報酬がなければ、てこでも動かないわ。
「それに大体何で貴方がジーク様のそばで私一人だけ一番後ろなのよ、ズルいわ!」
ピンクちゃんから、私への文句は終わらなかった。
まだ続くのね、もう良いじゃない、私は頑張ったわ。
良いでしょう、ラ・トマティーナ開催よ。
そもそもズルいじゃ無いって悪役令嬢のお決まり文句よね。
「マーガレット嬢、それは何度も説明したよね、
回復役が二人いてもバランスが悪すぎるから、
リーナには攻撃魔法兼支援魔法を担当して貰うって。
中衛から前衛の位置に来ないと、リーナの攻撃魔法は撃ちづらいんだ」
そう本来なら魔法使いの定位置は確かに後衛。
だけど私は、ラブリー三世を仕留める為に、雷矢系統を極めていった。
矢系の魔法は、射線がさえぎられると、撃てる種類が限られてしまう。
何故、私が矢系の魔法を中心に取得可能したかというとラブリー三世のせいだ。
ラブリー三世の動きが速すぎて魔法が当たらない。
最速属性と言われている雷魔法の熟練度を上げる事にした。
それでもラブリー三世には避けられてしまったけど。
目線と筋肉の僅かな動きや癖で分かるらしい。
ジーク様の先生に選ばれるくらいだから、
すごい人だとは思っていたけど、
色々な意味で人智を超えている。
流石にジーク様に窘められてピンクちゃんが大人しくなったので、
迷宮を先に進むことにした。
そこまで、うっそうと木が生え茂っている訳では無いので、
十分に光量はある。
だけど流石に視界が遮られる場所がある為に、
周りに注意しながら進んで行った。
今回は、パン君がいないので、敵がいつ飛び出して来るか分からないのだ。
そう言った意味でも迷宮の下層に行くのはやめた方が良い。
敵探知はともかく罠は不味い、高レベルの冒険者すら死んでしまう事もあるのだ。
ギャウ
ギャウ
そんな事を考えていると五匹のカブ?大根?を大きくした様なモンスターが、
いきなり飛び出して来た。
雷矢雨
私は攻撃魔法を唱えると、全てのモンスターが消滅して大根がドロップした。
どうやらカブでは無くて大根だったらしい、しかも良い大根だ。
久しぶりにおろしソースハンバーグかな、でもこれ位良い大根なら、
いっそ、おろした大根に醤油をかけただけの方が素材が生きるかしら。
私がそんな事を考えていると、皆から白けた眼差しを受けている事に気づいた。
「モンスター デタ ワタシコウゲキサレタ ダカラタオシタ ワタシワルクナイ」
「リーナ、皆の経験も積みたいの、分かるよね」
「ハイ」
すいません、自重します、アイリスの言う事は最もだった。
その後、私は支援役に徹する事を心に誓った。




