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赤い星のリンカーネーション  作者: 鳥皿鳥助
8章 第二次侵攻戦
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第84話 瓦礫の降り注ぐ空の下で






『ハッ、ハハハ! やってくれたねキミ達!!』


 シヴァは瓦礫の降り注ぐ空の下で天を仰ぐ。

 理由は地球への攻撃と言う最大の手が封じられてしまったからであり、その原因は目の前に立ちはだかるジンとフォルティスの二人。


『ボクの行動は読まれると思ってたよ。でもさぁ、裏切り者は許せないんだよねぇ!!!』


 ヴィクテムを狙い地上へ急降下するシヴァに対し、ブレイズ・Rは上から推力の暴力で押さえつけ地面へと叩きつける。


「ジン!」

「余所見してんじゃ……ねぇよッ!!」

『そうだ。邪魔をするのはいつもリンカーと呼ばれる人間だったね!!!』


 土煙の中でも鍔迫り合いが続いている。

 純粋な出力勝負ではブレイズ・Rが不利だが、推力勝負であれば分があるだろう。


「……なら!」


 ジンはフットペダルを踏み込んでシヴァのレーザークローを押しこむ。

 そして機体の足が浮いた所でブースターをカットすると、今度は一瞬だけ押して弾いて大きく後退する。

 着地した所で素早く体勢立て直し、真正面から一気に切り込んだ。


「取った!!」

『中々面白い攻撃だったよ。でもこのドラゴニックシヴァの敵じゃない』


 刃は確かに届いた。

 多少の傷やダメージは見受けられるが、そのどれもが致命傷には至っていない。

 つまりはワイバーンユニットの装甲が硬すぎた為に斬り裂けなかったのだ。


 ブレイズ・Rは反動を押し殺すように飛び跳ねて距離を取る。


「なんつー硬さだよ……!」

「だがコイツを撃破しなければ我々に未来は無い」

「わーってるよ!!」


 奇しくもかつての敵であるヴィクテムと並び立つ形になった。

 ブレイズ・Rは両手のブレードをしっかりと握り込み、腰を落とす。


「恐らくヴィクテムなら奴の装甲を突き破れるはずだ、援護してくれ」

「りょーかい!」

『今更キミ達が手を組んだ所で、もう遅いんだよ!!』


 シヴァが腰に懸架していたレーザーライフルを両手に持ちトリガーを引く、

 一気に加速したブレイズ・Rが弾丸を両断する間に、ヴィクテムは剣へのコーティングを済ませた。


「ドラゴンブレスッ!」


 手始めは左手から火球を放っての様子見と洒落込む。

 狙いはシヴァの胴体を正確に捉えている。


『その程度……』

「オーラーイ!」


 単純な攻撃は当然のように回避される。

 回避もブレードが急激に伸びてしまえば間に合わない。

 シヴァの装甲には若干の傷が増やされた。


「俺達が組んだの、遅く無いだろ?」

『確かにそうだね。実に厄介だよ――』

「はっ! そんな事で!!」


 シヴァは脚部のレーザークローを起動して回し蹴りをする。

 対するブレイズ・Rは何とか回避したが、ブレードを切られてしまいう。


 一度手放して再展開の為に手を構えたその時。


『――でも付け入る隙きはある』

「お前……まさかッ!?」


 ブレイズ・Rへと向けていたレーザーキャノンをヴィクテムに向ける。

 既に攻撃へと転じていれば、流石のフォルティスでも回避は出来ないと踏んでの判断である。


「ッチ、しゃーねぇな!」


 フォルティスは最初から自分が狙われていた事に気付いていない。

 ブレイズ・Rはヴィクテムにタックルを仕掛けて弾き飛ばした。


「ッ!? 何をする!!」

「黙ってろ!!!」

『まとめて吹き飛ぶが良い』

「ブレイズブラストッ!!!!」


 シヴァの右腕からレーザーキャノンが放たれる。

 ジンはヴィクテムを蹴り飛ばしブレイズブラストを発動させる事で威力を相殺したが、ブレイズ・Rの右腕には稼働が停止する程のダメージが残された。

 左腕だけでも軽い追撃を受け流す事は出来たが、両腕が使えないと攻撃に転じる事は難しいだろう。


「流石に片腕じゃキツイな……」

「ここは引け。その機体を失うには早すぎる」

「一人でやれるのか?」

「貴様のお陰でシヴァの行動は理解出来た、問題は無い」

「なら……任せたぞ!」


 フォルティスの腕は信用出来る。

 そう判断したジンは戦闘領域から離脱すると、バディ(アル)に指示を出した。


「ここまで来れば大丈夫か……」

『ブレイズ・Rの前方上空、アルゴンを搭載した輸送機が到着しました』

「よーし。んじゃ下ろしてくれ」

『下ろすって……今ですか?』

「空は俺の領域だぜ? 飛び乗るくらい余裕なんだよ」

『はぁ、そこまで言うなら……』


 輸送機から投下された無人のアルゴンに対し、ブレイズ・Rはブースターを爆発的に噴射して強引に空へと上がる。

 ジンは相対速度は一発で合わせ、開放されたコックピットハッチを伝って空中で機体を乗り換えた。


「おかえりなさい、ジン」

「ただいま、アル。ブレイズ・Rの帰投を頼めるか?」

「問題ありません」


 アルに指示を受けたブレイズ・Rは飛行形態になり付近の仮拠点へと移動する。

 ここでジンはようやく地上の被害を目の当たりにする事が出来た。


「うへぇ……下は地獄だな」


 辺りを見渡すと至る所で煙が立っている。

 災害とも言える暴力に敵も味方も関係無く、全ての拠点はボロボロになっている事だろう。


「ここから先の戦闘と外界、どっちがマシなんでしょうね」

「そりゃどっちもどっちだな」


 アルゴンはゼロフェーズで投下されたまま高度を落としている。

 グラファイトの予備装甲を貼り付け防御力を高めているが、ビットは追加装甲の隙間から展開出来るだろう。


「起動チェック完了、システムオールグリーン。操縦権限をリンカーに移行します」

「おまっ、結構ギリギリだよね……!」

「追加装備がありますからね」


 ジンは全力で逆噴射を行い、残り十数メートルの所で落下の勢いを殺し切る。

 そして一度着地させるとデリート・エフェクターのある方向へ機体を向けさせ、大きく跳躍した。


「待たせたな……って居ねぇ!!」

「戦闘領域を変えています。低ランクグルムが置き土産と言った所でしょうか?」

「かぁ~! 構ってる暇ァねぇんだけどなぁ!!」


 アルゴンは両手に持ったレーザーキャノンを照射する。

 通常の機体ではエネルギーが足りずお蔵入りとなっていたが、出力が段違いなアルゴンと成長したアルのお陰で運用出来る。

 開発者は当然のようにヘンリー博士であり、その威力も折り紙付きである。


「お~、雑魚が溶ける溶ける」

「銃身も溶けてますよ?」

「うぉーいマジかぁ!!」


 慌てて放棄したレーザーキャノンは敵機に命中すると爆散した。

 新たな武器は早速失ったが、得た物もある。


「あ、あっぶねぇ……」

「左前方にシヴァ確認、ヴィクテムと交戦中です」

「お、意外と近くだったな」


 ヴィクテムは火球で牽制しつつ適度な距離で小競り合いを行っている。

 それは完全に足止めの動きだった。


「ソードビットを先行させて援護してくれ」

「了解です」


 ジンの指示でヴィクテムの後ろから割り込むように剣を飛ばすアルだったが、全てはレーザークローとレーザーライフルで軽く撃ち落とされる。

 彼女はそれを読んだ上でシュータービットとシールドビットを周囲に展開し、アルゴンとヴィクテムの合流を助けた。


「大丈夫か?」

「信頼出来る味方が居るからな。簡単にはやられんよ」


 機体を変えて再び並び立つ。

 ヴィクテムには小さな傷や土汚れが着いてしまったが、装備は一切失っていない。

 シヴァはそれ以上に変化が無かった。


『わざわざ届けに来てくれたのかい?』

「ンな訳ねぇだろ。お前を倒す為に来てんだよ!!」


 サブモニターからバスタービットを選択すると、追加装甲の隙間から漏れ出したナノマシンが巨大な剣を作り上げる。

 ジンは軽く振り回して重さを確かめた。


『その動き、ブレード部分がスラスターにもなっているのかな?』

「さぁな。食らってみりゃ分かるだろうよ!!」


 周囲に展開したシュータービットで牽制しつつ、一気に近付いての撃破を狙う。

 だが相手もそう簡単に斬らせはせず、牽制のシュータービットを装甲で受け止めてレーザーライフルで反撃を行った。

 このまでは埒が明かないと気付いたジンはシールドビットで防御しつつ後退を選択する。


「やっぱアレは叩き斬るのが正解か?」

「だろうな」


 生半可な攻撃では意味が無い。

 そして通用するレベルの力を持っているからこそ、ヴィクテムも付かず離れずの戦いが出来ていた。


「ならやっぱりヴィクテム前衛が正解か……」

「援護を頼めるか?」

「勿論」


 今度はヴィクテムが大地を蹴り上げて突撃する。

 横に大きく振った一撃は容易く回避されるが、その隙きを埋めるようにドラゴンブレスを発射した。


『今度はブレイズ・Rも居ない、大した威力でも無い。なら回避する必要も無い!!』


 火球はシヴァの顔面に直撃する。

 即座に後ろへと回り込んだヴィクテムを警戒するエルだったが、今回はアルゴンが居る事を失念していた。


「背中もーらい!」

『何ッ――』


 直前までアルゴンはビットと共に移動していた。

 だがいつの間にか分かれ、位置を錯覚させるようにしていたのだ。


『――とでも、言うと思ったかい?』

「クッ……」


 真正面からの斬撃は両腕のレーザークローで受け止められている。

 背後に回ったアルゴンは腰に懸架したレーザーライフルで迎撃した。

 ヴィクテムは素早く反応して回避するも、アルゴンは反応が間に合わずバスタービットで防御するしか無い。

 その結果弾き飛ばされたバスタービットは地面に突き刺さり、無防備な姿を晒す事になる。


「まっず!」

『アルゴンの弱点は固定武装の無さだよ』


 ビットは展開するのに時間がかかる。

 故に一度入り込まれると咄嗟に反撃する手段が無い。


 だがシヴァが殴りかかろうとした所で、数本のソードビットが割って入った。


「私が何も対策をしていないとでも?」

「アル、ナイス!!」


 ソードビットが数本砕かれる。

 だがジンは残った1本を持って強引に押し込み、シヴァとの距離を僅かに確保した。


「チャージビット!!」


 アルゴンの両腕から拳を覆うようにしてナノマシン展開される。

 完成するのを確認したジンは一気にシヴァへと近付いて胸部に拳を打ち込むが、それは左腕で防御されてしまった。


「この野郎ォ!」


 数度の打ち付けでダメだと判断したジンは杭も打ち出して攻撃を試みる。

 だが装甲には僅かな傷しか入らず、ただその身を引く事しか出来ない。


「かってぇなぁ……!」

「流石はルブルム共和国の技術だ」

「関心してる場合かよッ!!」


 アルゴンはバスタービットを呼び戻すと、回転する勢いをそのままにシヴァへと叩きつけた。

 ヴィクテムは再び後ろからの攻撃を狙うが、レーザーライフルの銃口はノールックで移動する。


「不味いッ!」

「任せて下さい」


 アルの飛ばしたシールドビットはヴィクテムを守り、しばらくは攻撃に転じる事無く次の攻撃を警戒した。


「感謝する」

「いえいえ」


 フォルティスはレーザーライフルの射角を避ける為、シヴァの真横に移動した。

 真正面を陣取るアルゴンは大きく跳躍して距離を取る。


「シュータービット、一斉射撃だ!」

「了解です」


 少しずつ周囲に展開していたシュータービットはシヴァを袋叩きにし、その姿を土煙の中に隠した。


「少しはダメージを受けてくれてると助かるが……」

「無理な相談だろうな」

『良く分かってるじゃないか――』


 土煙の向こうに光と影が見える。

 影は右腕を突き出し、レーザーキャノンに光を集めていた。


『――アルゴンだけはここで壊す』

「回避だッ!!」

「おっ、おう! ……いや間に合わねぇよ!?」


 距離のあったヴィクテムと違ってアルゴンは近すぎた。

 バスタービットで防御するも剣は早々に崩壊し、左腕の増加装甲で防御するが簡単に破壊された。


「くっそ!」

「左腕稼働停止!!」


 損傷具合は片腕を失うレベルでは無い。

 いつもであれば更に踏み込む場面だったが、今回ばかりは流石のジンも躊躇をしていた。


「ここでアルゴンを破壊される訳には行かない……シヴァは俺が足止めしよう、ジンはその間に仮拠点へ戻れ」

「すまん!!」

「構わんよ!」






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