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赤い星のリンカーネーション  作者: 鳥皿鳥助
6章 アップグレード
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第57話 レベリングミッション5






 ジン達ESFはシヴァとルクシオンの戦闘を目撃し参加した。

 それ以降は各地の拠点攻略も順調に進み、プリオーレース大陸内ではグルムの侵攻が大人しくなっているらしい。


「そんで、何でジェムズの奴らも集まってんだ?」

「合同でレベリングミッションをするからよ」


 全員のリンクレベルを5に上げて欲しいと言い出したのはこの場に居ないルナクスである。

 彼の影響でレベリングミッションを久しぶりに受ける事となった訳だが、受注条件はかなり厳しいらしく存在すら怪しまれていた。


 そして当然のように難易度も高い為、ある程度の人数にまとめられたらしい。


「ってかクリア出来る出来ない以前にメビウスから許可が出ないから無理だ……って思ったんだがなぁ」


 ジンの予想に反して不思議と手続きはスムーズに進み、両ユニオンはこうして出撃している。


「今までヒントすら無かった所へのチケットを配るファントム・エクス、その盟主たるルナクスは一体何者なのかねぇ」

「……言える訳が無いわよ」

「お、クレナ大丈夫か?」

「ごめんなさい、大丈夫よ」


 幸いにもクレナの呟きはジンに届いていない。

 正確にはミドリがバレないようにカットしたのだが、それすらも知る者は居ないだろう。


『フェール発電所上空に到着した。全機、準備は出来てるか?』

「出来てるわよ」

「いつでも大丈夫です!」

「こっちは大丈夫だぜ」

『了解した』


 味方となったジェムズは全15機が参加している。

 ESFの三機を合わせた合計18機が4チームに分かれてそれぞれ行動するのが今回の作戦だ。


 通信回線は地上に付くまではユニオン別、到着後はローカルでチーム別に切り替えられる。

 橋渡し役は両ユニオンの盟主が行っていた。


『それでは存分に暴れて来るとしよう。……全機、投下開始!!』


 輸送機のハッチが開けば色とりどりの機体達が空中へ放り出される。

 各機は姿勢を整え、誰一人として欠けること無く着地した。


 この中では一番プレイ時間が短いであろうジンの動きにも以前のような危うさは存在しない。


「んで、俺達は何すりゃあ良いんだ?」

「いつも通りの敵機殲滅と基地制圧、ただし味方は少なくて敵は多いって感じですね」


 フェール発電所は火山に併設された大規模地熱発電施設である。

 かつては付近の工場に電力を送っていたようだが、メビウス打ち上げ後に放棄されてからはグルムの生産拠点となっていた。


 今回の作戦はその中心部へ向かう事が目的である。


「にしても随分と久しぶりだな」

「ですね」

「うむ、お久しぶりでゴザル」


 ジンと同じチームになったエイジとサピロス、両名にはそれぞれ面識があった。

 だがエイジの機体はフェンサーからアダマントに変わっており、サピロスのダイクロアイトも細かな所で補修や改修が施されている。


 そしてそこには初めて話をする相手も居た。


「で、アンタが……?」

「ローズよ。機体は防御系のシュタイン、頑丈だから肉壁扱いして貰って問題無いわよ」

「おいおいマジかよ……」

「マジよ?」


 何でも機体へ攻撃が当たりそうになる度に彼女のバディ(相棒)が盛り上がってバリアを発生させるらしい。

 これによりダメージは最小限に抑えられるようだ。


「非常にうるさいのが欠点ですけどね……」

「まぁ今回はバディの声を通信に乗せないから大丈夫よ」

「おっ、おう……」


 バディの通信介入は二人等の極少人数で出撃した際に行われる。

 ただし基本は場合に応じて乗せる事が多く、今回のような参加人数の多い作戦ではそもそも共有されない事が多い。

 今回もそうした事例の一つである。


 彼らは雑談を繰り広げつつ移動し、発電所の入り口に到着した。

 ここからは雑談する暇も無いだろう。


「さてと、ここからは手筈通りで大丈夫か?」

「「「オッケー」」」

「よーし。んじゃサピロス先頭で次にローズ、その後ろを俺とエイジが続くぞ」

「「「了解!」」」


 円に近い陣形が直線へと変化する。

 侵入も少し間隔を開ける為に生まれた待ち時間、ジンはとある疑問が頭に浮かんだ。


「……ふと思ったが何で俺が仕切ってんだ?」

「一番頼りになるからでは?」

「そうか? いやぁ照れるなぁ~!」


 ジンはアルからの言葉に嬉しそうにしているが、実際は他の三人が面倒で半ば押し付けただけ。

 その事を知っているアルの視線は厳しい物である。


「そんな事よりも、機体の耐熱限界に注意して下さいね」

「え、マジで? ここってそんな熱いの?」

「ミーティングで話してたでしょう……」


 人の生存性を気にする必要が無くなってからは温度調節機能が放棄されているらしい。

 CAに乗っていればある程度耐えられるが、それでも各部の耐熱限界が存在する。


「これならブレイズ・Rで来りゃ良かったかもなぁ」

「ジン……」

「あーもう分かってるって!!」

「ふふっ、分かっているなら何よりです」


 最近のアルはブレイズ・Rに乗ろうとすると悲しそうな顔をする。

 恐らくはアルゴンの装甲材回収時に一度置いて行かれた事が原因なのだが、何だかんだでジンはその様子を放置出来なかった。


「ジンさん?」

「あー悪い悪い」

「作戦限界時間は予定通りの60分らしいですよ」

「りょーかい。んじゃさっさと入るか……」


 道中でのダメージを考えてディフェンドフェーズだったアルゴンは手早くスピードフェーズに変化した。

 放熱と閉鎖空間である事を考慮しての選択である。


 今回はマーグヌム・カストラ攻略で持たなかったルナブレードも二本持っている。


「ルートは~、っと……」


 フェール発電所の内部は広く、最深部にある管理端末へ向かうルートはいくつか存在する。

 今回ジン達が向かうのは最も過酷な最短ルートだ。


 やや遠回りだが確実なルートはクレナ達が向かい、ユウトを始めとした遠距離組は外から退路の確保。

 残りの数名も入口付近の探索をしつつ退路を確保している。


「敵機確認」

「早速か!」


 最初の広間でシュタインが囲まれているようだが、防御特化という機体特性は伊達では無くダメージは受けていない。

 それでもこのまま数が増え続ければ押し切られるだろう。


 アルゴンは天井や壁に気を付けつつブースターを吹かして飛び上がる。

 勢いの乗った一振りで数機は撃破した。


「そーら……よっと!!」


 接近戦では引くよりも押す方が良い場合もある。

 今回はそれであると判断したジンは素早く反転して飛び上がり、天井を蹴って落下速度を稼ぎ二機を両断した。


「感謝します」

「おうよ」


 ローズが引き付けてジンが斬る。

 大方の敵はこれで片付けられた。


「そっちは終わったでゴザルか?」

「あー! お前、今までどこ行ってたんだよ!!」

「ちょっとユウトと先を見てただけでゴザル」

「道中の敵は片付けておきました」

「ナイス! ……ってそうじゃねぇよ!!」


 サピロスが乗るダイクロアイトもシュタイン同様に防御型だが、どちらかと言えば支援がメインで打たれ弱い。

 故にローズのように敵を引き付けての戦闘は不得意である。


 だがエイジの乗るアダマントには傷一つ無い。

 もっともルクシオンの兄弟機で装甲はかなり薄いのだから、ダメージを受けていれば僅かであろうと致命傷になるだろう。


「はぁ……まぁ良いや。先行くぞ」

「「「了解」」」


 一時的に分断されたチームは一つとなって通路を進む。

 隊列はサピロスとローズが前に出てジンとエイジがその後を追うという順番で、間隔はかなり開けている。


「目標到達時間、残り10分です」

「って事はもう結構深い所まで来てるのか……」

「急ぐでゴザルよ!」


 目標は近い。

 最前列に居たサピロスは足を早めるが、警報装置作動して機銃掃射を受けた。


「うぉぉぉおおお!? 危ないでゴザルゥゥゥゥウウウ!!!!」

「おいマジかよ!」

「前に出るわ、エイジ!!」

「了解です!」


 サピロスはコミカルな動きで機銃を回避し、ローズが素早く前に出てエイジが素早い射撃で破壊する。

 一応は武器を構えたアルゴンに出番は無かった。


「手慣れてんなぁ~……」

「手慣れてますからね」


 機体の変わったエイジだが戦い方も変わっている。

 以前は攻撃で押し切る傾向にあったが、今では盾で反らして手痛いカウンターを与える技術を会得したようだ。


「いや~、助かったでゴザル……」

「おい後ろ!!」

「へ?」


 油断したサピロスはセンサーに触れて次のトラップを作動させた。


「なっ……何事ォ!?」

「お前また踏みやがったな!」

「今度はどこから……」

「上だッ!!」


 今度は天井から機銃が出現してジン達を狙う。

 だがアルゴンは素早く飛び上がり、機銃を切り落とした。







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