第46話 激戦を終えて
CAにドロップシステムは無く、撃破した敵や味方が消える事は無い。
全てはNPCかプレイヤーが回収しているのだ。
そしてグルムの残骸は討伐した本人か、協力を要請された者が行うのが習わしである。
「遠隔操縦……か」
「あぁ。それしか考えられねぇな」
最終的にはHITSへと受け渡す事になるが、ヴァイカウントの残骸は一旦ESFが回収した。
そしてタイトが残骸を調査した結果、コックピットの中は無人だった事が分かった。
「だからコックピットを貫かれても喋れてたのか……」
二本の刃はコックピットを確実に貫いていた。
だが制御装置を損傷すれば戦闘は不可能に近く、ジェネレーターまで貫通出来ていなかったら戦局を決定付けられなかった可能性もあったそうだ。
「まぁ結論としては“コイツが特殊過ぎる”って所だろうな。グルム全体どころかノーブル・ランクスの中でも異端な部類っぽいし」
「なるほどね。……で、このグルムの山は何だよ」
メンディ鉱山にはちょっとしたスクラップ置き場が併設されている。
それはどこにでもある標準的な施設なのだが、ジンが向ける視線の先には明らかに許容量を超えるグルムが積まれていた。
「えへへ……ごめんなさい、ちょっと僕が張り切り過ぎちゃいました」
今回ジン達の戦闘を直接支援する事は少なかったユウトとクレナだが、彼らは周囲のリンカーと強力しグルムを削っていた。
クレナは味方との連携を考え“ある程度”で押さえていたようだが、ユウトは途中から楽しくなってしまい歯止めが効かなくなったようだ。
「そりゃまた、なんでだ?」
「アウルムアルクスの感触が忘れられなくて……」
おかげ輸送は最後の方に回されてしまったが、ESFは楽しければ良しという風潮のユニオン。
誰も彼を攻める事は無い。
「しゃーない、のんびり待つとするか~……」
機体を降りたジン達は鉱山の管理局へ向かう。
そこにはリンカーも使用出来る休憩所があるからだ。
「よっ!」
「何だよ……またイチャモン付けに来たのか?」
「ちゃうちゃう! お礼を伝えに来たんや!!」
ジンを待ち受けていたのはヘリオスである。
彼女は今回の事で“ノーブルキング”という称号手に入れたらしく、諸々のお礼を言いに来たらしい。
同じ戦場で戦ったジンがその称号を手に入れられなかったのは、既にヴァイカウントと戦闘を行った経験があるという所が関わっていると思われるそうだ。
「それとな、良かったら何やけど……」
「訓練の手伝いでもしてくれってのか?」
ヘリオスは無言で頷く。
対するジンは無言に無表情が重なる。
「…………しょーがねぇなー」
「やったー! さっすがジンはん、ほな行くで!!」
「おう」
二人は意気揚々と駐機場へ向かい、休憩所を離れた。
「やっぱり相性良いのね、あの二人……」
「ですね……」
取り残されたクレナとユウトは、静かに飲み物を口にする。
「少し失礼する」
そんな彼らの元には、赤髪の青年とフードを被った人物が入れ替わるように訪れた。
ネームプレートが出てこない為、リンカーでは無いようだ。
「とある荷物をメビウスへ送り損ねてしまったのだけど、まだ輸送機は出るかな?」
「えぇ。まだまだかかる見通しだけど……私達の方で送っておきましょうか?」
「いや、それには及ばないよ。回答に感謝する」
フードを被った人物は一言も喋らず、赤髪の青年が短い問答を済ませる。
彼らは短時間で踵を返した。
「それでは諸君、いずれまたどこかで」
「……」
青年は部屋を後にする。
フードの人物もそれに続くが、彼はユウトだけに分かるように小さく口を動かした。
「“またあえたな”……?」
「どうしたの?」
「いえ、何でもないです」




