第39話 新たな脅威の予感
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タイトルを変更しました。
「星を越えて繋がる戦士達 ~厄災の鎧と赤い大地~」→「赤い星のリンカーネーション」
マーグヌム・カストラは地下に作られている為、外と比べればかなり狭い。
だがCAが活動するだけの広さは十分にあった。
「あー、もう! 薙ぎ払えないのムカつくなぁ!!」
アルゴンはビームトンファーと手足を利用した格闘で室内戦を生き抜いている。
長物であるバスターソード、そして強力過ぎるアウルムアルクスは使えないからだ。
「チャージレベルを下げておけば、アウルムアルクスは使えますが……」
「どこに当てるか分からないわよソイツ」
「そうそう、全部ぶっ壊すからな」
今回のミッションでは情報を得る事も必要になっている。
それらが保存されているであろう機械を破壊される訳にはいかないのだ。
「にしても、通路はかなり直線的なんだな」
「内部に入り込まれた状態での迎撃は考えられていないようですね……」
「恐らくだけど、その辺りはルフス・エフェクターに攻め込まれた経験が少ないからね。今後はかなり厳しい物になりそうだわ……」
ジン達はトラップ類も無い通路を進む。
時折グルムの生産設備や出撃機構、外部の防衛機構に繋がる装置を破壊。
辿り着いた先は研究室のような場所である。
「……なんだここ」
ジンの知る中であれば、ルイーナにあるアルゴンの研究所に近い雰囲気がある。
だが無数のパーツとコードが散らばっている、という大きな違いがそこにはあった。
「……少し探索してくるわ。ジンとユウトは周囲の警戒をお願い」
「「了解」」
クレナはレジーナから降り、コードとパーツをかき分け進む。
一部は獣道のように足の踏み場が用意されているが、それでも多くの物品が彼女の行く手を阻んでいる。
『にしても……ルフス・エフェクターってのは、随分と掃除が苦手なんだな』
「ふふっ、確かにそうね」
クレナが軽く見た感じだと、関連性のあるパーツがあちらこちらに散らばっているらしい。
当人がAIであるなら、この状態でもどこに何があるか把握出来るのだろう。
「見つけた……」
研究室であれば、研究データの保管と管理をする端末があるはず。
クレナの予想は当たった。
電源は入っており、各種データへのアクセスも問題ない。
どうやらここでは新しい機体を開発していたらしく、迷いの森で稼働チェックを実行していたらしい。
以前より上げられていた未確認機や、幽霊のように彷徨うグルムは恐らくこれの事なのだろう。
「ミドリ!」
『はいはーい、こっちの準備は終わってるよ』
「上出来ね。……ダウンロード、行くわよ」
クレナはレジーナから引っ張ってきていたコードを接続し、データの回収を開始した。
『おいおい大丈夫なのか? ウイルスとか入ってたらどうするんだよ』
『その辺は僕がチェックするから大丈夫だよ。それにルフス・エフェクターの奴はハッキングをした事も食らった事も無い、セキュリティなんて無いに等しいよ』
「あ~……なるほど。俺達側の対策は大丈夫なのか?」
『千景さんと言う超強力なAIがセキュリティを守っているそうですし……早々情報は抜かれないと思いますよ』
『ダウンロード完了、解析は僕がメインでやるけど……アル君とツグミ君にも協力して貰えるかな?』
『了解です』
『りょーかいっ!』
彼ら彼女らの解析によれば、ここでは最新型の“ホロスコープシリーズ”という機体群を作っていたらしい。
それはマザーベースと呼ばれる可動基地を中核としてスタンドアローンで稼働する機体群であり、スペックはかなり高い。
縄張りの概念を持つ事から、滅多に侵攻を行わないと予想出来る事が数少ない希望だろう。
『これは……かなりマズイかもね』
「どうしたの?」
『既にマザーベースが外へ持ち出されているみたいだ。今搬出中のマザーベースだけでも撃破しないと、後が大変な事になるかも!』
「搬出口の場所はどこ?」
『かなり近い、今ならまだ間に合うかも!』
「分かった。ジンとユウトは先行して頂戴、私は後から追うわ!!」
「オーケー」
「了解しました!」
――――――――――――――――――――
マザーベースの搬出を阻止する為、ジンとユウトは搬出口へと急ぐ。
だがそこでは多くのグルムが待機していた。
「ッチ、そう簡単には通してくれねぇか!」
アルゴンは壁に寄りかかり、角から通路の先を覗き込む。
だは赤く染まる外を僅かに見ただけで銃弾が飛び交い、すぐに切り上げられた。
「ジンさん、どうしますか?」
「どうするもこうするも……」
現在搬出中のマザーベース四機は、既に大型のロケットブースターが取り付けられている。
発射まで秒読みの今から妨害する事も出来るが、この場所で破壊すれば自分達も余波に巻き込まれてしまうだろう。
「……一旦打ち上げさせてから迎撃するしか無いだろ。ライフルの弾は残ってるか?」
「二発は残ってます」
「上等だ」
作戦は決まった。
マザーベースの発進を見届けたアルゴンはディフェンドフェーズへ姿を変え、グルムに攻撃を仕掛けた。
グラファイトは光学迷彩を起動してそこを抜け、少し離れた場所にある高台へと登る。
『僕が最初に出た二機を狙います。ジンさんは残りの二機を!』
「了解だ!!」
グラファイトが一発撃つ。
先頭から二番目のマザーベースに対して斜めに飛んだ弾丸は命中し、勢いを失う事無く内部を突き進む。
そして射線上に並んでいた先頭のマザーベースをも砕き、爆散させた。
「ひゅーぅ! やるなぁ!!」
『ジンさん、援護するので残りの二機を!!』
「サンキュー!!」
グラファイトは高台から飛び降りながら射撃し、アルゴンの周りに群がっていたグルムを撃破する。
これによってアウルムアルクスを手に取り、チャージする時間が生まれた。
「まだ敵は残っています、注意して下さい」
「おうよ!」
ジンはグラファイトへバスターソードを投げ渡す。
接近戦は苦手な機体だが、リンカーの腕とバディの補正である程度は扱う事が出来るだろう。
アルゴンも迫りくる敵を蹴り飛ばし迎撃する。
「チャージ完了!」
「待ってたぜェ? 狙撃の時をよォ!!」
ジンは飛びかかったグルムを回し蹴りで吹き飛ばすと同時に足を大きく広げ、金色に光る弓を構える。
ユウトもオクトライフルを構え、残りの二機へと向けた。
「グラファイトからのデータリンク完了、一発で行けます」
「っしゃあ!! 吹っ飛びやがれぇぇぇええ!!!!!」
赤い矢がアルゴンの手を離れ、金の粒子を纏い飛翔する。
それは三機目のマザーベースに命中するも、四機目のマザーベースは射線上に捉えられなかった。
「外れる……?」
「いや、当たるな」
三機目のマザーベース内を破壊して回った矢は、やや遅れて飛び出す。
オクトライフル程の弾速を持たないアウルムアルクスが二機のマザーベースを破壊するには、こうした偏差射撃を行うしか無いのだ。
「シミュレーションとの誤差はほぼありません……が、そろそろ逃げた方がよろしいのでは?」
「何故に?」
「だって……爆発しますよ、アレ」
「「マジですか!!」」
「マジです」
アルがそう言い切る前に、四機目と三機目のマザーベースは空中で爆散。
その破片が二機目と一機目のマザーベースにも直撃し、連鎖爆発を引き起こした。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!?!?!?」
「おっ、思ったより酷いですね!」
爆発の規模は凄まじく、森に滞留していた粒子雲を綺麗に吹き飛ばした。
更に軽量級のグラファイトはかなりの風圧を受けて後退してしまい、アルゴンも飛ばされないよう耐えるのに必至であった。
しばらくすればその爆発も収まり、緑豊かな森に太陽の暖かな光が降り注いだ。
『何だ、今の爆発は!?』
ここまでの規模であれば、後方でグルムの相手をしていたルナクス達も観測している事だろう。
「あーすまんすまん、ちょっとこっちでトラブっててな」
『……大丈夫なのか?』
「おう。こっちは全機無事だぜ」
粒子雲が晴れた影響で味方との通信も回復し、ジンが軽く状況を説明する。
だが戦闘はまだ続いていた。
「どうやらまだ終わりでは無いようですよ」
「何だと?」
「クレナさんが要塞内部で接敵、現在戦闘中です」
「マジか!!」




