第21話 レベリングミッション3
「さてと、今日の仕事は何だ?」
「敵機を迎撃しての拠点防衛、つまりいつもと同じです」
「なるほどね……」
彼らが挑んでいるのはレベリングミッション3。
エアスト等の市街地近郊よりも過酷な砂漠地帯、ヴァイト・ヴュステという場所での戦いを強いられていた。
「あのチッコイのが防衛対象か?」
「はい、ルブルムの各地に存在するインスタントベースという施設です」
アルゴンが向ける視線の先には、仮設テントがいくつか集まった施設が存在する。
あの中では防護服を着込んだ生身の人間が作業をしているらしい。
「エアスト周辺、戦闘制限区域のような行動制限はありません。ですがエアスト以上に耐久度と迎撃能力が無いので、討ち漏らしには注意して下さい」
「なるほど、りょーかいりょーかい」
流れ弾を恐れたジンはインスタントベースから離れ、しばらく周囲の警戒を行った。
その結果ジンが知ったのは、この辺りに出現する敵の数が少ないということ。そして足元が悪く機動戦が難しいという事だ。
「コッチにとっても過酷な環境ってことは、向こうにとっても過酷な環境って事なのかねぇ……」
「それもありますが、この辺りはヴァイト・ヴュステの中でも戦略的優先度が低い地域です。他地域であればエアスト同様の出現率ですので注意して下さい」
「新人には優しかったって事か。りょーかいりょーかい」
そうしてもうしばらく警戒を続けると、ジンは一機のサソリを発見した。
相手も同様にアルゴンを視認したらしく、砂漠という場所と図体にに見合わぬ速度で動き始めた。
「何だアイツ、結構足が早いな……」
「対象はスコルピウスと呼ばれるグルムです」
「ふむ、つまりサソリって事で良いか?」
「問題ないかと」
「っしゃ、じゃあ倒しますかー」
ジンは機体がレーザーライフルをしっかり握っている事を確認し、戦闘を開始した。
「まずはコイツでーっと……」
クレナは『相手が動く前に斬れば良いじゃない』と良い突撃するタイプだが、ジンは小手先で相手を見極めるタイプだ。
まずは手に持つレーザーライフルをスコルピウスへ向け、肩のレーザー砲と同時に数発撃ち出す。
その全ては命中したのだが、スコルピウスはそれらを自身の持つ頑丈な外殻によって弾いた。
「うわぁ、傷一つ無いってマジかよ……」
ジンは未知の相手との戦闘をあまり好まない傾向にある。
彼は即座に機体を反転させると、スコルピウスと距離を取り始めた。
作戦に悩んでいるジンに対し、アルは助言をする。
「スコルピウスは強靭な装甲と多脚による高い地形適正、そして尻尾による素早い刺突が特徴となっています」
「そういう事は先に言ってよねー! でも、最後の情報は助かる!!」
「……どういたしまして」
そうして話しながらも、スコルピウスと距離を取っていたジン。
だが砂漠という事もあり、話が終わる頃には距離がかなり縮まっていた。
アルの情報が無ければ無防備に近づいていたかもしれない。
だが情報を得たジンは、もうしばらく相手から離れて作戦会議と洒落込む事にした。
「折角だから聞いてみるが、アイツの対処法って何なんだ?」
「上面装甲は強靭ですが、腹部は冷却部という事もあり比較的柔らかい構造となっています。蹴り上げて腹を斬る、または爆発物を腹下に配置する等といった戦法が一般的なようです」
「ほーう……そいつは良いこと聞いたな」
そうして作戦会議をしている間にもスコルピオはアルゴンに接近しており、それは接近戦を仕掛けられる程だった。
基本的にはハサミで掴みに来るのだが、隙きがあればそれを逃すこと無く刺突を織り交ぜてくる。
アルゴンはそれを防御するのみだったのだが、考えが纏まったジンは動きを変えた。
「――別にあの尻尾を掴んじゃいけいない……なんて決まりは無いよな?」
「はい、ありません」
「よーし……」
ジンはわざと大きく仰け反りさせ、スコルピオが刺突する隙きを作り出す。
スコルピオはアルゴンの誘いに乗り、コックピットへと尻尾を伸ばした。
対するアルゴンはそれを掴み――
「――そんじゃいっちょ……そぉーれッ!!」
尻尾を基点として地面に叩き付け、アルゴンは裏返ったスコルピオのハサミは踏みつける。
そうして相手の動きを封じると、武器をレーザーライフルをバスターソードに持ち変えた。
「攻撃って難しいよな。同じ技を同じタイミングで使い続けると、こうなるんだからさ」
アルゴンはバスターソードの切っ先をスコルピオの腹へと向け、左手を柄頭に添え押し込む。
スコルピオは僅かに反撃の兆しを見せていたが、すぐにその活動を停止させた。
「お見事です」
「おう、サンキュー」




