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赤い星のリンカーネーション  作者: 鳥皿鳥助
三章 ワールドミッション
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第19話 タイトのルブルム教室






 クレナによる内装カスタマイズは事前に宣言した通り、一時間程度で終了。

 彼らは互いの連携確認も兼ね、一回だけ軽いミッションへ赴く事となった。


 だがその前に、まずはバディを交えてのミーティングが行われる。


「紹介するぜ、コイツが俺の相棒のガーナだ!」

「ヨロシク~♪」

「おう、よろしく」

「よろしくお願いします」


 直接戦闘を行う事の少ないタイト、そしてそのバディであるガーナとは合う機会が少ない。

 まずはジンにとって顔合わせとなる相手との挨拶だ。


 そしてアルは大半のメンバーが初対面……では無いが、挨拶をしていなかったので軽く挨拶を済ませた。


「――で、陣形だが……ほぼ決まったようなモンじゃないか?」

「そうね。私が前衛でジンが前衛から中衛、ユウトが後衛ってポジションになるんじゃないかしら」

「っし……じゃあそれで行こうと思うが、ユウトは大丈夫か?」

「はい、大丈夫です」

「んじゃいっちょ行きますかー」






 ――――――――――――――――――――






 Exceed(エクシード)Star(スター)Fighters(ファイターズ)の彼らは、ヒューゲル試験場に程近い“ヴァイト・ヴィーゼ”というエリアへと降下した。


 そこは比較的難易度が低い地域であり、新人の狩場には最適とされている。

 ニガーフェレスとの戦闘からそれほど間は空いておらず、辛うじて動いているレベルのアルゴンに丁度の地域だ。

 ちなみにタイト曰く、エリアの名前は“広い草原”という意味らしい。


 今回もクレナはバスターソードを持っているが、ジンはバスターソードを持っていない。

 そこには左腕がマトモに使えず、重量武器は扱いにくいという事情が存在した。


 ジンが毎回のルーティーンとなった周囲の確認を行っていると、彼のバディであるアルは機体(アルゴン)のパイロットへと話しかけた。


「マスター、前言っていたセリフは言わないんですか?」

「あぁ、アレ? オーケーオーケー。……降下完了、作戦を開始する!」

「回りに人が居るのに、そんな事してて恥ずかしく無いんですか?」

「だよね! 言うと思ってたよ、うん!! 羞恥心なんぞ持ったままVRMMOやれっかよ!!! 行くぞゴラァ!!!!」


 ジンが軽く見回した周囲には一見、何の変哲もないなだらかな地形が続いている。

 だが時折天然のトラップとでも言うべき沼が存在し、足を取られる事があるらしい。


 そうした場所で数回足を取られるが、他に大した事は無く周囲の探索は続いた。

 しばらくすると敵機を発見したらしく、優秀なセンサーを持つグラファイト(ユウト)からの報告が各機に回される。


「敵機発見。強襲型フェレスが五機、上空にカデ―レアウェスが一機です」

「……全部知らねぇ奴らだな」

「強襲猫はこの前戦った黒猫の劣化版よ。カデ―レアウェスは上から突撃してくる鳥よ。大して強くないけど気を付けてね」

「了解、まぁ何とかなんだろ~」


 バスターソードを持ったアルゴン(ジン)フェンサー(クレナ)の二機が先行し、戦闘が始まった。

 アルゴンとフェンサーを見つけたフェレス達は素早く二機を包囲。


 後衛のグラファイト(ユウト)は光学迷彩を起動したまま、後方で待機している。


『先に上を落としましょうか?』

「突撃してくる相手なら俺が受け止めれば良いだろ」

「いいえ、機体の修復は応急処置レベルなので無茶はしない方がよろしいかと」

「んじゃあ……どうするんだ?」

「上は私に任せて。ジンとユウトで猫をお願い」

「『了解!』」


 作戦は決まった。


 ユウトが猫の一機を狙撃し、包囲網に穴を作り出す。

 そこからフェンサー(クレナ)が脱出するが、残る猫は変わらずアルゴンを包囲している。


 偵察と部隊指揮の役目も持つカデ―レアウェスは、狙撃手であるグラファイトに目を定めて急降下を始めた。


 猫の包囲網から脱出したフェンサーはカデ―レアウェスと並走し――


「正に飛ぶ鳥を落とす勢い……ってね!!」


 ――ブースターを起動し、飛びかかった。


 その跳躍は相手が強襲に向けて高度を下げていたのもあり、用意に相手へ刃を届ける程の距離とする。

 フェンサーは体の捻りと共にバスターソードを勢いよく振るい、カデ―レアウェスを地面へと叩き付けた。


「ふぅ……やっぱり空は慣れないわね」

「クレナ、仕留め損ねないでよ?」

「分かってる分かってる」


 クレナは仕上げとして、バスターソードを突き刺してその活動を停止させた。


『こっちは片付いたぜ、クレナ。そっちはどうだ?』

「もう終わってるわよ」

『さっすが~』


 どうやらアルゴン(ジン)の方はグラファイト(ユウト)の狙撃もあり、簡単に片付いたようだ。


『んで、この後はどうするんだ?』

「この辺りは敵が無限湧きするわ。だから特に用事が無いのならさっさと帰るつもりだけど……良いわよね?」

『問題無ーし』

『僕も大丈夫です』

「オッケー、じゃあ帰るわよ」

『『了解!』』






 ――――――――――――――――――――






 ヴァイト・ヴィーゼでの戦闘を終えた各機はメビウスへと帰還した。

 ジンは機体(アルゴン)を格納し、ユニオンルームへ向かう。


「おっすー」

「ん? おージンさん、おかえり~。他の奴らは?」

「クレナは用事、ユウトは疲れたからってログアウトした」

「なーるほど」


 人気の少ないその場所、そこにはCAの設計図を広げたタイトが居た。


「……何してんだ?」

「あぁ、クレナの機体を作ってやろうと思ってな。とりあえず軽く設計して、どこのパーツ使おうか考えてたんだ」

「なるほど……」


 タイトから設計図を渡して貰うジンだが、彼がその内容を理解する事は出来ない。

 軽い目眩がジンの頭を襲い、思わず話題を反らした。


「あ~……俺パーツの製造メーカーとか知らないんだが、教えて貰っても良いか?」

「おう、良いぞ。ついでだから有名所のユニオンも説明してやろうか?」

「頼む」


 そうしてタイトによって始まった、二回目のルブルム教室。


 最初に説明されたのはメビウス最大の勢力であるファントム・エクスだ。

 彼らは新人リンカーの育成から自治、ルブルム攻略作戦の立案やメビウスとの連携等を担っているらしい。


「もっと細かい概要はユニオンリストで見てもらうとして、有名所は盟主のルナクスと遊撃隊のエクリプスだな。ルナクスさんの活躍は掲示板見た方が早いから省くが、とりあえずあの人の機体……ルクシオンが居たら、その戦闘は俺たちの勝ちと思って良い」

「掲示板とかRBSの特集見た感じでも何かヤバそうだったが、そんなに凄いプレイヤーなのか……」

「あぁ、とんでもなくヤバい。んで次にヤバいのがアーク連中、書き方はA-KEでアークだ」



 特殊な機体(アルゴン)に乗る必要のあるジンはあまり関係無いのだが、機体の事で困ったらとりあえずここに相談すると良いそうだ。

 ただしパイロットに変な装置の取り付けを申告する事が多々あるらしく、それは絶対に断らなければならない。


「取り付けたらどうなるんだ?」

「あ~、性能は上がるんだよ? うん。でもね? そのパーツさ……九割はこう……爆発するんだよね……」

「マジか……」

「マジ何だなぁ、コレが」


 ただしその中の一割には大当たりが存在するらしく、その“大当たり”をブラッシュアップして量産化した兵装もいくつか存在する。

 そうした大当たりの試作品は後に作られる量産品より性能が高い傾向にあるらしく、パーツの爆発に耐える度胸があるならテスターに志願すると良いそうだ。


 ちなみにジンが初めてルブルムへ降下した時……アルゴンを取りに行った時にクレナが使用した、外付けの長距離航続用ブースターユニット作ってるのも彼らA-KEのリンカー(プレイヤー)達らしい。


「ユニオンは大体この二つを覚えておけば何とかなる。で次は本命の企業だな。全て製品版からの新登場だが、大体は組織再編成だったり吸収合併だったり……まぁβテスターからしてみれば、お馴染みの職人さんが結構居るらしいぜ」

「なるほど」

「――まぁ死んで無ければの話だがな」

「メビウス死守戦か……」

「そういう事。じゃ、話を続けるぜ」



 最初に説明されたのはHITS(ヒッツ)と呼ばれる企業だ。

 バディの制御に使用するコアパーツを中心とし、機体やジン達リンカーのアバター等もここで製造されているらしい。


 初回ログイン時のチュートリアルでお世話になった訓練施設もこの企業が開発・管理する物らしく、それ以降でも依頼の仲介や装備の売買等……多方面でお世話になる企業のようだ。

 取り扱っている機体は初期機体であるフェンサーを代表とし、程々の性能で程々に扱いやすい機体を多く生産している。


 性能と値段は共に平均的だが、他企業の機体より扱いやすさを重視しているそうだ



「次はメビウス企業連合、通称は連邦とか企業連だな」

「企業連は分かるが……連邦? 何でそんな通称付いてるんだ」

「まぁ……ロボゲーやるのはロボットが大好きなオッサン中心ってこった」


 この企業は高価格で高性能な機体を生産しており、プレイヤー(リンカー)からは『紛うこと無き変態企業』と評されているいるそうだ。


 生産する機体は確かに高性能なのだが、その代償としてピーキーかつ整備性が劣悪というコンボが発生している。

 その為『金と技術に余裕が無い内は企業連製の機体には手を出さない方が良い』とまで言われているそうだ。


 また機体の販売方式も変態的であり、機体+武器を合わせた一式装備でしか機体を販売していない。

 一式では扱いにくい機体でもパーツ単位で見れば優秀な物も存在する為、そうした販売方式はそこそこ批判されている。

 勿論ジャンク品であれば交易板辺りで入手可能な場合もあるようだが。


 対象的に中級から上級へ上がる小金持ちかつ、機体カスタマイズを滅多に行わないプレイヤーにはそこそこ評判が良い傾向にあるようだ。

 勿論一式で買ったからといってその状態で使い続ける必要は無く、適当な所でカスタマイズを行う事が推奨されている。



「ンで次はZ-ONだな。本来の読み方はゼオンらしいんだが……まぁジオンって呼ばれる事が多い」

「それはもしかして……?」

「ご明察。そっち系大好きな人間が多いって事もあるんだが、一番の由来は売り出してる機体だ」


 Z-ONはコスパ重視の機体が多く、庶民の味方と称されている。

 販売するパーツの多くは汎用性が高い傾向にあり、徹底的な機体カスタマイズをする場合は絶対にお世話になるそうだ。


 それは『カスタム機を作るならとりあえずZ-ONのカタログを見ろ』という言葉が出来上がる程。

 ちなみにZ-ONの場合は機体のセット販売品を購入するよりも、バラ売りで必要なパーツだけ購入するのが安上がりにする組み上げる秘訣らしい。


 これによりグラファイトは低予算で組み上がり、オクトライフルの制作予算も工面出来た……とタイトは自慢していた。



「さー、ここからは機体製造以外で関わる企業の話しをしておこうか」

「ウッス」

「最初の企業はレーザー武器を使うなら絶対に関わるであろう所だ」


 その名はCrystal(クリスタル)Paradise(パラダイス)、通称クリパラと呼ばれている新興企業。

 かつて存在したルブルム共和国研究機関の一部が分離して設立された企業であり、特徴は名前に“クリスタル”とある通り結晶系素材の扱いに長ける事。


 ライズリアライザーのコア部分や機体各所の制御部品、関節用モニターにシリンダーやカメラ等も作っている。

 最近ではレーザー兵装の開発に力を入れており、売れ行きと開発は共に順調なようだ。



「最後はRBSだな。プライベートルームのテレビでも放送してるし、一回位は見かけたことあるだろ?」

「あぁ」

「なら話は早いな」


 RBSとはメビウスにおけるテレビ放送局の事であり、リンカー(プレイヤー)へのイベント告知等も行う巨大な影響力を持つメディアだ。


 大規模な戦闘で活躍したリンカー(プレイヤー)は特集が組まれる事もあり、ジンが目撃したメビウス死守戦のような過去の出来事をドキュメント番組として放映している事もあるそうだ。

 それ以外にもアニメや音楽番組にドラマ等……実に様々な番組が放映されており、NPC達の生活感を感じさせる要素の一つとしても活躍している。



「主要なのはこんな所かね、これを覚えとけば大体何とかなるだろうさ」

「なるほどな、サンキュータイト」

「良いってことよ」






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