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赤い星のリンカーネーション  作者: 鳥皿鳥助
三章 ワールドミッション
19/94

第18話 ユニオンルーム

【次回更新に関するお知らせ】

あらすじで予告していた通り、毎日投稿から毎週投稿へと切り替えさせて頂きます。

詳細は活動報告(https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1452073/blogkey/2748153/)にて。











 ジン達の前には、百人規模でも入れそうな空間が存在した。

 中央には大型モニターが円形に複数設置されており、その周囲を囲む通路も円形だ。そしてそのさきにはいくつかの扉がある。


「ほ~、ユニオンルームはこんな風になるのか~」

「広いですね……」


 ここはユニオンを結成したリンカー(プレイヤー)が購入出来る共用空間、ユニオンルーム。


 ユニオンを結成する事には様々なメリットがあるが、最大のメリットはユニオン専用の回線が割り当てられる事。

 そしてこのユニオンルームがメンバーのプライベートルームを繋ぐ通路となる事だ。


 これには各リンカー(プレイヤー)の交流が楽になるだけで無く、整備士の行き来が非常に楽になるというメリットも存在する。


 ちなみにこれでも最小級のサイズらしく、大抵のユニオンはスペースを持て余しているそうだ。

 これより上のグレードとなると、使用するのはCA最大規模のファントム・エクス程度になるらしい。


「百人が入っても、だいじょ――」

「――言わせるかッ!!」


 タイトの口を塞ぐジンは、最近こんな役回りが多いと思いつつタイトを締め上げた。

 一方のクレナはユウトを引き連れ、ユニオンルームの見物を続けた。


「私達には必要無いけど、ネイト達の為に生活空間もあるわ。一応使えなくも無いけどね」

「お~、良いですね……」

「雰囲気出るよな」

「カスタマイズは私がやっても良いかしら?」

「任せる」

「僕もおまかせします。共用空間のカスタマイズまでは流石に……」

「おっ、俺は……俺はやるぞぉ……」


 ジンと共に合流した瀕死のタイトだが、このゲームのアバターに体力という要素は存在しない。

 だが感覚はそれなりに再現されている為、軽くでも締め上げられればそれなりに苦しいようだ。


「じゃあ1時間後に集合ね」






 ――――――――――――――――――――






 ユニオンルームのカスタマイズをクレナに任せ、ジンはプレイベートルームへ戻った。

 戦闘へ向かおうにもアルゴンは整備中、シミュレーションも同様に機体(アルゴン)を使用する必要がある為に出来ない。

 掲示板を覗く気にはならず、暇潰しに悩んだジンは一先ずソファーに座った。


「そういえばここの機能は大体把握したが、細かいレイアウトまでは見た事無かったな。……見てみるか」


 そう思い立ったジンはプレイベートルームの物色を始め、早速格納庫の前に休憩スペース発見した。

 ここはネイト達が使用している部屋らしいのだが、目に付く場所には大きなモニターが設置されている。

 これが噂に聞く、RBSというやつなのだろう。


「何やってるんだ……?」


 ジンはリモコンを適当に操作し、チャンネルを変更する。

 そうして見られるいくつかのチャンネルでは、アニメに歌番組にドラマ等……実に様々な番組が放送されていた。


「どうやって作ってんだコレ。……お?」

『――さぁ、本日はここ……メビウスの誕生に迫ってみたいと思います!!』


 そうした中の一つに、興味深い内容を取り上げた番組があった。


 その番組はβテスト時にあったらしい出来事……“メビウス死守戦”という戦いを中心とし、メビウスの成り立ちを紹介すると言う物だ。


『時は遡り数年前――』



 技術的にも戦力的にもグルムと拮抗し、仮初の平穏が訪れたルブルム。

 そこに異界から現れし戦士、リンカー(プレイヤー)が現れた。


 彼らは“自分達が世界を救ってやる”と豪語し、ルブルムの人々に負担を強いていた。

 互いが互いを良く知らずに接する、そうなれば当然意見の衝突が生まれる物だ。


 だが一部のリンカーは治安維持を行い、ルブルムに住む彼らも考えを改める事が出来た。

 お互いが矛を収め、治安維持をしてくれたリンカー達のお陰で治安は格段に向上。

 何だかんだで仲良くする事が出来るようになった。


 そんな時に圧倒的な……とまでは言えないが、リンカーと互角以上に渡り合う事の出来るカテゴリー4グルムが現れた。

 リンカー達は数の力でグルムを圧倒する為、リンカーを統括するシステム……後のHITSとなる組織を作り上げた。


『――ですがこの時、既に最低限の動きを見せていたんですよね』


 後のHITSとなる組織はユニオンシステムを作り上げ、最初のユニオンとしてリンカー(プレイヤー)達の治安維持を行っていたリンカー集団……ファントム・エクスを結成した。


 彼らを筆頭に多くのユニオンが作られたが、グルム陣営の侵攻速度は大きく上昇。

 そうした敵に対抗する為、戦力を纏めるという観点からファントム・エクスには多くの人が集まるようになった。

 数の力でグルムに対抗するようになったのだ。


 だがそうした行動は一歩遅く、ルブルムに住まう人々の生活圏は大幅な縮小を見せる。


『――そうした困難を乗り越え、更なる困難の上に作り上げられたのが超巨大人工衛星メビウス……。そう、この場所です!』


 事の発端は当時存在したルブルム共和国という国や、ファントム・エクスのメンバーが立案した“人々を宇宙へ逃がす”という計画。


 だがそれを成す為には、ルブルム側の技術力が足りなかったそうだ。

 何でもルフス・エフェクターの暴走以前は地上や地下の開拓をメインとしており、宇宙へ手を伸ばす必要が無かったから……らしい。


 そうした検討がいくつも重ねられた結果、他の星の開拓は間に合わず……遠くの彼らが住める星を探す時間も、そこまでの距離を移動する手段を無いという結論へ落ち着いた。


 だがそんな中、一人のバカは静かに声を上げる。


“……これバカみたいにデカイ人工衛星作れば完成するんじゃね?”と。


 その案は何故か採用されてしまい、頭のネジが全部外れたようなエンジニア達がルブルムの全周を囲う計画へと昇華させた。

 そうしてバカの案をベースとして作り上げられた超巨大人工衛星メビウスの建設計画、それはいくつものブロックにメビウス分け少しずつ作り上げるという物。


 意外にも早く計画は実行段階へと移行し、メビウスは少しずつ……そして順調に打ち上がっていく。

 だがそうした行動を取れば取る程、グルムのボスであるルフス・エフェクターに気付かれやすくなる。


『そうして始まったのが今回のテーマである、メビウス死守戦です――』


 その戦いでは無数の機体が撃墜されたらしい。

 中には第六世代機……すなわちルブルム側のリンカーも存在し、平和の礎となったと紹介された。


「――コレ見て、本人は喜ぶのかねぇ……」


 そんな事を呟きながら、ジンは視聴を切り上げた。






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