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変化2
九条利子はその日料亭の席に座っていた。家族ぐるみの挨拶だからと分かっていても家族との食事が久しぶりな利子にとっては嬉しくてたまらなかった。今日は姉のお見合いだった。お見合いと言っても親同士が半ば決めた半強制的な婚約を姉は拒否できる立場では無かった。姉の向かいには自分と同じ中学生くらいの年の男の子が座っていた。橘さんの父親らしき人物が利子の父親に囁いた。
「何で長女にしたんだい。次女の方が年が近かっただろう。」
「利子は母親譲りで顔はそこそこだが頭が悪い。子供の知能は親譲りだと私自身痛感していたので、利子よりも優子の方がご子息に相応しいと思ったんですよ。」
「まあ…それなら仕方が無いか。頭の悪い子供なんて生まれたらこっちもたまったもんじゃない。」
二人は利子に遠慮する様子もなく酒の席でそう言って笑っていた。ここで利子の存在は居ないものに等しいらしい。姉と向かいあって座っている橘さんの方をちらりと見た。彼は無表情で利子の姉を見ていた。反抗し、抵抗することをあきらめた目をしていた。彼も利子や姉と同じで大人の道具として生きているのだろう。いや、私は道具としてすら扱われていないのかと利子は思った。道具になる価値すら認められない、利子は次第に自分の存在意義が分からなくなっていた。




