エピローグ①~少女~
犯罪者、九条利子の悪行は瞬く間にニュースとなった。姉の婚約者に好意を抱いていた為、偽名を使って姉の婚約者を嫉妬に狂って無残に殺した化け物は暇人と偽善者たちの都合の良いおもちゃとなった。結局は父親も愛ビーも一度たりとも表には出なかった。世間は彼女を残虐性に溢れるサイコパスとして非難したが裁判所は精神の問題を指摘し、最終的には不起訴となった。賢くない利子でもそれが裏で意図的に操作された判決だと分からないほど馬鹿では無かった。父親か、それとも―。
「久しぶりね、今話題の大スター様?」
「…不要な駒を口封じも兼ねて始末しに来たんですか?」
愛ビーの信者は利子に微笑んだ。正確にはつばの深い帽子を被っていたため表情までは分からなかったが利子には彼女が笑っているように見えた。
「そうね、今井優花と九条利子は始末しに来たの。」
「…?」
「今回の事件と繋がりとばれては大変だからね。だから今度は新しい身分でいらっしゃい。勿論汚れ役じゃなくて一般の信者としてね。」
利子は驚いて彼女を見た。
「改名でもすれば合法的に新しい身分を手に入れるでしょ?」
「…教祖様は寛大な方ですね。」
「ええ、貴方は期待通りに動いてくれたからだそうよ。」
その言葉が今までで一番利子の心を満たした。初めて自分の存在を認めてもらえた気がした。ずっと欲しかった言葉に利子はその場で泣き崩れた。無理だと頭ではわかっている。動機が何であれ自分は犯罪者なのだから。それでも少しだけやり直せるかもしれないと利子は思ってしまった。まだ私は生きていても良いのだと。




