エピローグ②~姉妹~
「人殺し。」
そう言って優子は利子の頬を引っ叩いた。
「貴方は自分が何をしたのかわかっているの?!人を殺したのよ!私の婚約者を殺したのよ!嫉妬とかいうふざけた理由でどうしてそんなことができるの?!」
泣きはらした姉の顔を見て利子は悟る。きっと本当のことを話したところで姉を絶望させるだけだと。愛ビーという巨大組織を前にしたところでなすすべなどない。それどころか姉も私もばれればどうなるか結果は目に見えている。それならせめて私が最低な人間になればいい。それで彼女の心が少しでも救われてくれるなら。
「…姉さんは馬鹿だね。」
そう小さく言う。少し考えれば偽名を使って学校に通うことなど一人でできるはずないと分かるだろうに。
「嫉妬?そんな安っぽい感情と一緒にしないで?彼は姉さんなんかよりも私の方が魅力的だと言っていたわ。勉強ばかりの頭でっかちの年増の芋女なんかよりもね。」
「勿論ベッドの上で」と付け加えると姉の顔はみるみる真っ赤になった。「貴方彼と寝たの?!」と姉はもう一度利子に手を挙げようとした。しかし直前で「もう貴方なんて妹でもなんでもない。どっか行ってよ。」と小さく言うと振り上げていた拳を静かに下ろし、利子の顔を見ずに玄関のドアを閉めた。顔を見れば気がついたかも知れなかった。利子が一筋の涙を流していたということに。




