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救済  作者: 星魚れん
10/13

救済

「…ごめんなさい。」

 利子はそう小さく呟いた。目の前の()()()()()()にはもう利子の言葉は聞こえていないと分かっていながら。利子は()()に謝った。でも、こんな奴が姉と結婚しなくて本当に良かった。婚約者の妹と寝ようとするなこんなくそ野郎、姉と不釣り合いにもほどがある。最も本人は最後まで婚約者の妹だと気付かなかったみたいだし、ハニートラップを仕掛けている時点で私も同罪なんだけどさ。ぼんやりしながら利子は薄暗い部屋の姿見のほうへ歩いていった。血を被った下着姿の少女はお世辞にも美しいとは言えなかった。

「私、本当に化け物になっちゃったみたい。」

 涙が頬を伝ってぽとりと床に落ちた。利子は声を上げて泣き崩れた。死はきっと救済だ。橘朔は死んでしまったけれど、これ以上苦しんで生きる必要がない分幸せ者だ。本当に救われないのはきっと、死と生の狭間で苦しんでいる存在なのだから。

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