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救済
「…ごめんなさい。」
利子はそう小さく呟いた。目の前の朔だったものにはもう利子の言葉は聞こえていないと分かっていながら。利子はそれに謝った。でも、こんな奴が姉と結婚しなくて本当に良かった。婚約者の妹と寝ようとするなこんなくそ野郎、姉と不釣り合いにもほどがある。最も本人は最後まで婚約者の妹だと気付かなかったみたいだし、ハニートラップを仕掛けている時点で私も同罪なんだけどさ。ぼんやりしながら利子は薄暗い部屋の姿見のほうへ歩いていった。血を被った下着姿の少女はお世辞にも美しいとは言えなかった。
「私、本当に化け物になっちゃったみたい。」
涙が頬を伝ってぽとりと床に落ちた。利子は声を上げて泣き崩れた。死はきっと救済だ。橘朔は死んでしまったけれど、これ以上苦しんで生きる必要がない分幸せ者だ。本当に救われないのはきっと、死と生の狭間で苦しんでいる存在なのだから。




