064「預言の聖女(4)」
「さて、話を戻すがその前に創造神アーク様とその下の眷属神である自然四大神の間にあと二人の神がおられる。この世界の誕生の際必要とされた構成元素は全部で⋯⋯6つ」
「6つ? 先ほど仰った『地属性』『水属性』『火属性』『風属性』だけではないんですか?」
「そうだ。残り2つの構成元素⋯⋯それは『光属性』と『闇属性』でこの2属性はこの世界に生き物を誕生させるために必要な構成元素。故に『地水火風』の4元素よりも上位に位置する構成元素となっている」
あ〜、なんかわかる〜。
光と闇の属性なんていかにも特別な感じするもんな〜。
あ、じゃあ俺の『植物ニョキニョッキー魔法』って何の属性なんだろう?
「ただ君は⋯⋯預言の聖女は《《その限り》》ではない」
「え?」
「つまり、君のあの植物を成長させる魔法のような力はこの6つの構成元素には含まれないということだ」
「え? じゃああの力は何なんですか?」
「『神の御力』⋯⋯としか言えぬだろう」
「⋯⋯」
うん。つまり、孤児院長もよくわからないってことだね!
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ここで一度セバス的執事⋯⋯執事セバスが(勝手に命名)皆の紅茶を入れ直すとちょっとした息抜きになった。
「孤児院長。先ほどの話だと『預言の聖女』の出現は大きな戦争の前触れで、同時にその戦争を治める希望の力も持つ⋯⋯だからその力を欲しようと私を攫う輩が出てくるって話ですよね?」
「ああ」
「でもそれってここにいる関係者以外で私が預言の聖女であることや、この世界に預言の聖女が出現したなんてわからなければそんな心配はないんじゃないですか?」
「その通り⋯⋯と言いたいところだが事はそこまで単純ではない」
「え?」
「創造神アーク様を崇めると同時に預言の聖女を『神子』として崇める『刻印教』は君に辿り着いていないだろうがこの世界に『預言の聖女』が出現したことはすでに知っていると思われる」
「ええっ!? ど、どうやってですか!」
「刻印教には『預言の刻印板』というものがある。これは創造神アーク様の言葉が記されている」
「えっ?! 神様の言葉!」
おお、ファンタジー。
「そして、この刻印板には預言の聖女に関するものが書かれている。以前君に話した一節がそれだ」
「あ、はい」
そういやあったね、そんなこと。
「その預言の刻印板は預言の聖女出現の際、刻印板自体が強い光を放つと言われている」
「ええ! 何その高度な技術っ?!」
神様すげー!
「まー実際本当に光るかは定かではない。噂ではそれは刻印教が自分たちの権威を主張するための作り話だとも言われている」
「あー⋯⋯なるほど」
創造神アーク様からそんな神託を受けるほど認められた存在だー⋯⋯みたいなことかな? めっちゃありそう。
「個人的に私もそれは作り話だと思っている⋯⋯がしかしアナスタシア、君が『神の御力』を発現し預言の聖女であるとわかった以上、それを作り話としてほっとくにはあまりにも危険過ぎる」
「は、はい」
「なので、私は刻印教が持つ『預言の刻印板が光る』という話を《《事実》》として考えることにした」
「《《事実》》として⋯⋯それって預言の聖女出現を刻印教の人たちは知っていることを前提にするってことですか?」
「ふむ、その理解力はさすがだな。その通り。つまり刻印教の者たちは世界のどこかに『預言の聖女』が現れたことをすでに察知し、その者を探すために動いていると見て良いだろう」
たしかに。「どうせ作り話だろう」と胡座をかいていたらいつの間にか拉致されてぴえん⋯⋯なんて現実まっぴらごめんだ!
「刻印教に見つかれば今の君の『孤児』という身分では、君の身柄を『護衛』の名の下で拘束されるとそれを止める術はない」
「⋯⋯はい」
やべー。孤児院長に言われて改めて身の危険を肌で感じて⋯⋯、
「それに君が住むあの孤児院は『刻印教』関係の施設でもある」
「え? 孤児院が刻印教の⋯⋯施設?」
シーン。
孤児院長の言葉に場が静まり返る。
カイゼルさんらを見るとこのことを知っていたのか、とても不安そうな顔をしている。孤児院長に至ってはいつも以上に眉間に皺を寄せ苦い顔をしていた。
「だからこそ君の話は急を要するのだ」
「⋯⋯」
絶句。




