表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『退魔鬼譚』 ~妖怪学校一の美少女と異世界帰りの勇者は怪異退治が任務である~  作者: 保志真佐
第四章 御剣仁と妖怪喫茶店

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/69

053座敷童子と化け狸




 「終わったな」

 「そうだね」


 斗真は2人の男たち…いや、2匹の化け狐が逃げるように店から出て行ったのを見た後、楓に終わったことを語る。


 闇狐組……恐らく、化け狐の妖怪組織なのだろう。


 「皆さん、この度は…本当にありがとうございます!」

 「私からも」


 店長は誠心誠意、感謝を込めて、お辞儀をする。

 それに続いて、家内も頭を下げる。


 「どういたしまして」

 「今回は斗真に感謝ね」

 「相手が化け狐なのは驚いたけどニャ」


 斗真は感謝を受け取り、楓は今回のことは斗真がいなければ危なかったと語り、五月は2人は化け狐であったことに驚いていた。


 「それは…そうと」


 家内はジッと、斗真たち3人を見る。


 「どうしたの、家内さん?」

 「3人は妖怪だったんだね」

 「え、あ…そっか!」


 楓は気づく。

 そう言えば、まだ自身や五月が妖怪であり、斗真が妖人である事実は店長と家内に伝えていない。


 イカサマが発覚するまで、あの2人組は普通の人間の姿であった。

 しかし、「姿化かし」の機能を持った指輪を外したことで、化け狐という妖怪になった。


 妖怪が「姿化かし」を付けて、人の姿になっている時は、普通の人の目に映るが、「姿化かし」を外して妖怪になれば、通常…同じ妖怪でないと目に見えないのだ。


 化け狐になった2人を、斗真も楓も五月も視認出来ていた。


 つまり、家内は斗真たちも同じ妖怪だと言う結論になったのだろう。


 お互いの顔を見合わせた斗真たち。


 楓は耳に着けている「姿化かし」であるイヤリングを、五月は耳に着けた「姿化かし」である装着式のピアスを外す。


 すると、楓は頭から2本の角が生え、鬼族に、五月は2つの尻尾が生え、猫又になる。


 特に、楓は鬼族になることで、周囲に強力な妖気を撒く。


 「私は鬼族」

 「私は猫又ニャ」


 自身の正体を明かす楓と五月。


 家内は楓…その頭の角を見て、特に驚く。


 「鬼族………あの鬼族?」


 あの鬼族と言うのは、かつて…日本を征服しようとしていた、あの鬼族なのか?

 という問いだろう。


 家内からしたら、噂で聞いていた鬼族が、まさかクラスメイトだったなんて…という感想だ。


 「うん、あの鬼族」


 楓は落ち込むわけでも、怒るわけでもなく、淡々と頷く。

 鬼族であることに驚かれるのは、慣れっこなのだろう。


 「あれ?じゃあ、星原君は?」


 家内は、楓と五月が妖怪という事実の中、斗真だけ…そのままということに疑問を感じる。

 斗真は頬を掻く、


 「ああ、俺は妖怪じゃない。妖人なんだ」

 「妖人。妖気を持っている人間のことだよね?初めて見た」


 家内は妖人である斗真を物珍しそうに見る。

 やっぱり妖人は、かなり珍しいのか。


 「それは、そうと……家内さんと店長も」


 斗真は聞き出す。


 そうなのだ。

 妖怪である化け狐2人を視認出来たのは、何も斗真、楓、五月だけではない。


 家内と店長も見えていた。

 つまり、この2人は、


 「うん、もう隠す必要はないかな」

 「私も、失礼します」


 そう言って、家内は大きな丸眼鏡を外し、店長は喉元に着けていた蝶ネクタイを外す。

 家内の大きな丸眼鏡と店長の蝶ネクタイは「姿化かし」だったのだ。


 すると、家内と店長の姿に変化が現れる。


 家内は先程まで、背が低い女子高生であったが、今は…さらに背が低い。

 おかっぱ頭の小さな姿。


 可愛らしい人形が立っていた。


 これは、


 「座敷童子?」

 「そう、私は座敷童子」


 家内…座敷童子が肯定する。


 座敷童子とは、子供の幽霊、もしくは妖気とされる存在。

 古い屋敷に現れては、幸運をもたらすものと言われている。


 そして、店長だが、今は人の姿では無く、


 「狸?………いえ、化け狸」


 楓がしゃがみ込み、妖怪になった店長を見下ろす。


 人の姿であった店長は今、一匹の狸に変化していた。

 さっきの化け狐と同じほどのサイズ。


 茶色い毛並みが特徴の動物は、まさに狸。


 店長は化け狸だったのだ。


 「わあ!可愛いニャ!」

 「わわ?!頭クチャクチャにしないで!」


 座敷童子となった家内を可愛いと思った五月がじゃれつく。

 同じ妖怪でも、座敷童子は可愛いようだ。


 斗真たちが通う隗隗高校は、全国から妖怪が集まる高校。

 勿論、妖怪でも無く、普通の人間には知らない事実。


 楓、五月のような妖怪だけが、隗隗高校の裏の顔を知る。


 楓の話では、高校には100体の妖怪がおり、4,5人に1人は妖怪なのだ。

 けれど、今の五月の様子から見てわかる通り、例え妖怪でも、その人が妖怪かどうか分からない。


 だけど、妖怪の中には自身が妖怪だと言いたくない者もおり、学校では妖怪全員「姿化かし」を付けている。


 つまり、自ら正体を明かさないと、クラスメートが妖怪であるかどうか分かりっこない。


 「しずっちが座敷童子だったなんてね。縁起が良いニャ」

 「し、しずっち?」

 「うん。静子だから、しずっちニャ!」


 いきなりの渾名に困惑する家内。

 そう言えば、五月は楓と友達になった翌日に、楓をかえちん…なんて読んでいたな。


 「じゃあ、私は静子かな」

 「え?」

 「友達だし、名前で呼ばないと。静子も楓と呼んで」

 「楓……うん、楓!これから宜しく」

 「ええ…これから宜しくね、静子」


 そんな楓と家内を見て、化け狸の店長は目尻に涙を浮かべる。


 「静子が仲の良い友達が……目出度い」

 「店長は五月蠅い!」

 「いてっ!」


 座敷童子の家内は、恥ずかし気な顔で店長の尻尾を軽く踏みつけるのだった。


 たぬき喫茶店には、平和な時間が流れていた。

 因みに、この後…斗真たちは普通にコーヒーを飲みながら、勉強をした。


 五月は嫌がっていたが。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ