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朧火の意志  作者: 布都御魂
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爆発は戦場の友


MG42が盛大なマズルフラッシュを瞬かせながら7.92✕57mmモーゼル弾を前方へとばら撒く。


第一次世界大戦から使用され続けられている歴史あるライフル弾だが、今尚生産が継続されているベストセラー弾であり、アナライザーが運用する銃弾としても時折使用されている。


こうして俺がばら撒いている銃弾もこのモーゼル弾であり、フルサイズのライフル弾特有の威力は現代のアナライザー戦においても優秀な威力を誇っている。


放たれた7.92mm弾が敗走してくる敵のアナライザーを蜂の巣にする。引き金を引いたまま横に薙ぎ払うだけで射線に入ったアナライザーや戦車達に無数の弾痕が刻まれ、爆発反応装甲や追加装甲をもぎ取りながら内部まで貫通してエンジンや弾薬庫を的確に破壊していく。


先頭付近を走行していた敵の主力戦車が爆発し、砲塔部分が宙を舞う。車体からは火達磨になった乗組員が悲鳴をあげながら這い出てくるが、すぐに全身が業火に包まれて炭化していった。


いい感じに敵の数を減らせてはいるが、如何せんMG42の連射力が高すぎるせいで銃身の過熱が著しい……モニターにある使用兵装の状態を示す表示には<OVERHEAT>の文字が表示されていた。仕方なくMG42をウェポンハンガーに預け、変わりにAKMを引き抜いて目の前に迫っていたアナライザーをフルオートで穴だらけにする。


近すぎて邪魔なので蹴り飛ばし、後ろを走っていた主力戦車へと敵アナライザーをぶつける。同じアナライザーからすれば然程大きく感じないが、主力戦車からすればアナライザーなど身の丈の5倍程もある巨人であり、それが正面から倒れ込んでくるとなれば待ち受ける運命は一つのみだった。


重力に導かれて倒れたアナライザーが戦車の砲塔を押しつぶし、そのまま乗組員のいる車体部分を潰して圧殺する。戦車内で圧死とか嫌すぎるな……俺はそうならない様に気をつけるとしよう。


にしても……だいぶ敵の数が減ってきたように感じる。掃討を始める前にはマップ上に赤い光点が大量に存在していたが、今じゃチラホラと光点の間に隙間が出来ている……もう少しだ。


AKMをセミオートに切り替え、しっかりと胸部装甲を狙って7.62mm弾を叩き込んでいく。必死に逃げながら反撃してくるアナライザーも居るが、隣のジャックがそう言った脅威を積極的に排除している為か此方にまで銃弾が届く事は殆ど無かった。


「残敵、残り20程度だ……押し切るぞ…!」


『オーケー、それじゃあ最後は花火と行こうゼェ!』


そう言うとジャックは腰から何かを取り出し、敵が密集している方向へと投擲する。オリーブグリーンに塗装された物体は宙を舞い──敵アナライザー達の足元で爆発した。


猛烈な爆音と共に敵の足元が爆ぜ、付近にいた戦車諸共木っ端微塵に吹き飛ばす。その爆発の規模は小型の榴弾が着弾したのかと錯覚を起こす程であり、近くにそびえ立っていた針葉樹の1本は爆発の衝撃で薙ぎ倒されてしまっていた。


「……ジャック、今投げたのって…」


『おう、()()()()()()()に調整した破片手榴弾だゼ!』


ホントに手榴弾かアレ……敵戦車木っ端微塵になってたぞ…?


「それ、量産って出来るのか?」


『そりゃモチロン!普通の破片手榴弾をサイズアップしてるだけだからナ。しかもアナライザーだから多少重くても問題ねぇんだヨ。』


確かに人間が使用する用の手榴弾であれば、携行するにあたって重力やサイズの問題がどうしても生じてしまう。火力が高くても重すぎたら持ち運べないし、逆に軽くしても火力が低ければ携行する意味が無くなってしまう。重要なのはバランスであり、第一次世界大戦の頃から各国の技術者達が必死に積み上げてきたからこそ、今の手榴弾があるのである。


しかしながら、アナライザーが運用する手榴弾であれば話は変わってくる。サイズはともかく、重さに関しては人間以上の積載上限を持つ為、多少重さのある手榴弾であっても運用そのものに問題は生じないのだ。


手軽に大火力を発射機無しで運用できるのは、戦場においてかなりの強みとなるのだが、付近に味方がいれば纏めて吹き飛ばしてしまう可能性がある為、運用には一定の習熟が必要となってしまうのである。


とはいえ手軽な爆発物は戦場の友であり、吹き飛ばされる側にとっては悪魔の代物でしか無いので、運用できるに越した事はない。爆発は正義であると、どっかのお偉いさんが言ってたっけ……知らんけど。


『つっても試作品だからなぁ……改良はいるだろうヨ。』


AKMで戦車を撃ち抜きながら、ジャックがボヤく。


「ジャック、後で試作品とデータを送ってくれ。新規開発部門で改良して量産してみるから。」


『お、マジで?んじゃ帰ったら試作品ごとデータ送っとくゼ。』


こういう時、技術部所属だと動きやすいんだよなぁ……試作品の改良や新規開発案の実現、果ては既存兵器の近代化改修に至るまで、技術部の予算で自由に行えるのだから。まぁ使い過ぎればヴァネッサに怒られるので、線引きはきちんと行っているけどな。


なんて考えているうちに、敵の敗走兵が僅か3機へと減っていた……最後までしっかりと仕事をこなすとしようか。


AKMをフルオートに切り替え、コックピットのある胸部を徹底的に蜂の巣にする。多少弾薬が勿体無い気もするが、確実に仕留めきれるのであればこの程度は安いものである。現に穴だらけとなったアナライザーがスパークを走らせつつ体勢を崩し、雪の積もる地面へと後ろ向きに崩れ落ちていった。


マガジンを交換してコッキングし、もう一機のアナライザーにも同じようにフルオート射撃をお見舞いする。同タイミングでジャックが放った7.62mm弾も敵アナライザーに着弾し、より濃密な弾幕がたった一機のアナライザーに襲い掛かった。


2丁のAKから放たれた7.62mm弾をモロに受けたアナライザーは体中を穴だらけにされ、物言わぬスクラップとして雪原の大地へと還っていった。


「撃破確認……アンジェの方は──」


『こっちも終わったよーー!!』


ガンブレードと化した『CBJ-MS』を敵アナライザーの胸部にぶっ刺したまま、アナライザーの手を此方にブンブン振るアンジェ。……せめてガンブレード抜いてあげなさい、可哀想だから…。


「メルトよりヴィンセント、向かってくる敗走兵の掃討を完了した。」


『良くやった。反転して向かってくる奴は少数だったが、全て撃破してある……掃討前に逃げ出した奴はともかく、逃げ出し始めた連中は全て撃破できている筈だ。』


どうやら少しは反転していた敵がいたらしい……まぁ退路も絶たれてしまっているとなれば、ヤケになって突撃する奴がいるのも仕方ない事か…。


特攻するくらいなら投降すればいいのにな……まぁ共産主義という偏りまくった思想に賛同するような人間が、不利になったからといって投降するとは思えんけどな…。


『よし……作戦終了、これより帰投する。』


『『「了解。」』』



やっと終わったな……早く帰って暖かい飯でも食うとしよう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「食事中に大変申し訳無いんだが……仕事の時間だ。」


………マジかよ。


非常に申し訳無さそうな顔で仕事の始まりを告げるヴィンセントに、少しばかりの怪訝な顔を向けてしまう。ついさっき帰ってきて、やっと飯にありつけたばかりなんだが………?


「……内容は?」


「敵の空挺部隊が此方に迫って来ているらしい。エリア020を巡回していた国境線警備隊所属の偵察ヘリが飛行中の輸送ヘリコプター数機を目撃したらしい。」


ここエリア020の国境線警備隊にも、数は少ないが航空戦力が配置されている。偵察用のステルスヘリである『HH-7』や兵員輸送用のアメリカ製汎用ヘリコプター『UH-60ブラックホーク』、攻撃用に用いるアメリカ製攻撃ヘリの『AH-64D』等、幾つかのヘリが配備されているのが現状だ。


輸送ヘリを撃墜していないという事は恐らく、偵察に出ていたのは『HH-7』なのだろう……あの機体は武装が機関砲のみである為、基本的に戦闘には向かない代物なのだ。


「既に攻撃ヘリを出撃させてはいるが……撃ち漏らせば此方に被害が及ぶ……頼めないか?」


飯を食ってる最中ではあるが、別に断る理由はないので承諾する。まぁ軍人である以上、こういった事が起きるのは折り込み済みだ……まぁ飯が中断された恨みは、敵の空挺部隊にぶつけてやるとしよう。


残り少しだったスープだけ飲み干し、席を立って出撃準備に入る。大きい作戦の後というのもあって厚めの肉が出ていたんだが……まぁ仕方ない。


「……すまんな、私の機体が動かせないばかりに…。」


「ははっ、そういう事もあるさ。むしろ少しは休んでてくれ、仕事は俺が終わらせてくる。」


実は今、ヴィンセントの機体は修理に出されているのである。


ヴィンセントは量産機である『SA-36』が寒冷地での使用で動かなくなってしまい、現在整備スタッフ達が必死に修理を試みている所なのだ。まぁ使用期間の長い機体ではあるし、度重なる酷使に加えてこの寒さだ……壊れてしまうのも無理はない。


「メルト、俺も出るぜ。」


ジャックが食事を切り上げて準備を始めようとする。


「……いいのか?」


「仲間働いてんのに呑気に飯食ってる訳にはいかねぇダロ。ま、ちゃっちゃと撃ち落としてやろうゼ?」


「私も行くよー!」


さっきまでモグモグしてたアンジェも立ち上がる。……嘘だろもう食ったのか…?


「助かるけど………食うの早くない…?」


「えへへ……お肉美味しくてさ…///」


………可愛いからまぁいいか。


「んじゃ行ってくる。」


「すまんな……気をつけて行ってこい。」


パイロットスーツとヘルメットを装着し、昇降用ワイヤーでコックピットに乗り込む。起動句を唱えてシステムを立ち上げ、防壁の門を潜ってからブースターで空へと飛び上がる。





待ってろよクソ野郎共……このタイミングで来たことを後悔させてやる…!





お読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m

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