表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
朧火の意志  作者: 布都御魂
79/95

供与された武器達


白い雪に覆われたエリア020。


ドイツ革命派として、遂に侵攻に踏み切ったあの日。


私は、1機のアナライザー兵として戦場を駆けた。


この侵攻が、我々の掲げる革命の礎となると信じて。


……だがあの戦場は。


そんな勇気と希望に満ち溢れた場所では無かった。


天から舞い降りた、一匹の竜。


いや、アナライザーだったのかもしれない…。


……どちらでもいい。


私達にとって、あれは天から舞い降りた殺戮の暴君でしか無かったのだから。


今日に至るまで、私はあれ程死を身近に感じた事は無い。


白雪の暴竜を、止める術は……無い。



──ドイツ社会主義共和国軍兵士"オールク・マルセイ"著、『ありし日の革命記』より──




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


前線で大暴れを始めてから、30分が経過した。


周囲には敵アナライザーの残骸が山積みになり、今なお抵抗する革命派のアナライザー達も、徐々に味方が減りゆく状況に焦りを覚えていた。


目の前で西華連邦製の『95式自動歩槍』を構える敵のアナライザーを大剣でぶった斬りながら、メルトは思考を巡らせる。エリア020革命派の連中が運用しているアナライザーの大半は、革命以前のドイツ連邦共和国時代に製造された『G3』や革命後の国内工場で製造された『UMP』、アメリカの短機関銃である『M3』のデッドコピー品らしき国内生産の短機関銃『PMP3』を主に運用している。


自国生産の兵器を運用するのは普通の事なのだが、此処エリア020のアナライザー達は半分以上が他国製の兵器を運用していた。先程脳天をカチ割ったアナライザーが持っていた西華連邦製の自動小銃である『95式自動歩槍』やフランス製の半自動小銃『MAS-49』など、ドイツ社会主義共和国と同盟を結んだ国の兵器が多く運用されているのが現状だ。


ドイツ社会主義共和国──面倒だからドイツ革命派でいいや──が運用する兵器とは弾薬の規格が異なる物が多い為なのか、エリア022ではあまり他国製の兵器は見かけなかったが……戦力を蓄えていたエリア020の革命派にとって他国製の兵器であっても喉から手が出るほど欲しい兵器だったのだろう。


先程から斬り払っているアナライザー達の多くが、他国製の兵器を抱えている……正直、ドイツ製の兵器達よりも厄介だ。


西華連邦製の『95式自動步槍』は独自規格の弾薬である5.8✕42mm<B>弾という小口径かつ貫通性能に優れた銃弾を使用するブルパップ式のアサルトライフルであり、他の小口径弾薬を用いるアサルトライフルと比較しても優れた貫通性能を有する自動小銃として、国内外で運用されてきた実績が存在する。


その貫通性能はサイズアップされた事によりアナライザーにも通用する程であり、彼等の運用する『アルゲマインB3』の装甲は意図も簡単に貫通するし、戦団の運用する『SA-36』の装甲でも被弾箇所によっては貫通を許してしまう恐れのある弾薬である為、各種兵器を運用する革命派のアナライザーの中で一番警戒すべき兵器がこの『95式自動歩槍』持ちのアナライザーなのである。


前方で95式自動歩槍を連射するアナライザーにブースターによる擬似的な瞬間移動で肉薄し、大剣による横薙ぎを叩き込む。引き金が引かれたままアナライザーの上半身が宙を舞い、周囲に展開している他の革命派アナライザーに5.8mm弾の雨を降らせる。彼等のアナライザーに5.8mm弾を防ぐ事の出来る程の装甲は搭載されていない為、彼等は敢え無く味方の放った銃弾によって、負傷もとい戦死する羽目になるのだった。


「フレンドリーファイアとは……嫌なもんだな。」


俺はそんな経験をした事は無いが、戦場じゃ良くある事故の一つだからな……まぁ銃弾が掠りそうになった事くらいならあるけどさ。


大剣の柄を両手で握り雪に覆われた大地を蹴って跳躍してから、重力と遠心力をフル活用した一撃をお見舞いする。性能が底上げされた『デュランダル』の放つ一撃は大地に降り積もった雪を巻き上げながらアナライザー達を縦に斬り裂き、周囲に発生した衝撃波が付近のアナライザー達の腕や脚部をもぎ取っていく。


着地と同時に大剣を引き抜き、ブースターの推力を合わせた回転斬りで腕無しとなったアナライザー達を薙ぎ払う。回転斬りの衝撃で舞い上がった雪が翼の様に広がり、まるで白く輝く竜の翼の様に背面に広がる。


先程からちょくちょく舞い上がった雪が竜っぽくなっているのは、俺も見えてはいるものの狙ってやっている訳ではないので勘弁して欲しい……というか狙ってそんな事をしている程、戦場は暇じゃない。


大地を踏み締めて距離を詰め、両手持ちした大地を薙ぎ払いながら確実に数を減らしていく。時折飛来する銃弾がアナライザー達を仕留めているが、それは恐らくヴィンセント達の狙撃によるものだろう……さっき近くの木陰にヴィンセントの機体が見えたし、間違い無い筈だ。


少なくとも遠征軍の兵士達では無いのは確かだ。彼等は国境から少し離れた場所で迎撃しているらしいし、今の所は徐々に押し返しているとの事なので、彼等がコチラの支援をしているという事はまず無いだろう。


……というかさっきから数が減らないのは押し返された奴らがコッチに向かって来てるからなんじゃないのか…?


若干そんな気もしつつ、大剣を振り回して迷いを払拭する。どちらにせよ殲滅する必要はあるのだし、俺は特に考えずに向かってくる敵をぶった斬ってればいいのだ。……うん、それでいい筈。


ガキンッ、と肩の装甲を銃弾が掠める。弾道から予測するに、撃ったのは恐らくMAS-49を持ったあのアナライザーだろう……こちらに銃口を向けたMAS-49から少しばかり湯気が立ち上っているしな。


別段掠った程度では何の問題もないが、他の連中と比べて被弾の衝撃が大きかったのが、微妙にイラッときた………正確には凄いウザいと思った。


大剣を地面に引き摺りつつそのアナライザーがいる方向へと駆け出し、雪を巻き上げながら大剣をカチ上げて道を作り出す。衝撃波によって開かれた道を通り抜け、先程MAS-49を放ったアナライザーの目の前まで接近する。


「遠巻きからちまちま撃ちやがってよぉ、当てんなら仕留めきれってんだ!!」


感じた不快感を大剣に乗せ、上段から思いっきり振り下ろしてぶった斬る。狙撃でも無いのに遠くからちまちま撃たれるというのは、たとえ無傷であっても不快に感じるものである……それが多対一で周囲に気を配り続けている状況であれば尚更だ。


そのまま付近のアナライザー達を狩り続ける事10分。かなりの数がいた革命派のアナライザー達も、ようやく目視で数えきれる程度にはその数を減らしていた。


とはいえまだまだ数十機はいるので、戦闘続行である事には変わりない。再び大剣を構えて斬りかかろうとしたその時、ヴィンセントから通信が入る。


『メルト君、こちらヴィンセントだ。遠征軍が敵部隊の迎撃に成功、敵部隊が敗走を開始したとの事だ。恐らく敗走中のアナライザーと戦車達がそちらに向かう筈だが……大丈夫かね?』


「継戦自体には問題無いが、万が一にも敵兵が国境線方向に引き返すのは困るしな……ヴィンセント、敗走兵が国境線方向へと戻って行かないように動いてくれないか?」


流石に俺一人で敗走兵全部を管理しつつ殲滅するのは不可能だからな……ヴィンセントなら状況判断も適切に行える筈だし、適任だろう。


『了解した、そのように動こう。そちらへと向かう敗走兵達は、可能な限り殲滅してくれ。敗走兵とはいえ敵軍の……それも共産主義を掲げる兵士達だ……火種は先に潰しておく必要がある。』


「…了解だ、ジャック達とも合流して殲滅する。」


ヴィンセントとの通信を終了し、変わりにジャックとアンジェに通信を繋げる。流石に突っ立ったままとは行かないので、大剣からAKMに持ち替えて射撃しつつ通信を始める。


「ジャック、アンジェ、聞こえるか?敵の敗走兵達が此方に向かっている、掃討戦に移行しようと思うんだが、合流できるか?」


『おうよ、合流するんだな?ちょいと待ってな、すぐ行くゼ。』


『今行くから待っててねー!』


通信が切れ、変わりにAKMの奏でる銃声が大きく聞こえてくる。セミオートでぶっ放しているが、敵が多いせいで弾薬の消費が激しいな……。


弾切れとなったマガジンを外して新しいマガジンと交換、コッキングレバーを引いてから再び敵アナライザーを狙い撃つ。7.62mm弾の強烈なストッピングパワーが装甲を貫き、コックピット諸共制御領域を破壊して機能を停止させる。


大剣も良いが、やっぱAKだな。確実に動き、確実に敵を殺傷する……雪に埋めようが砂に埋めようが確実に銃弾を放ってくれる堅牢さは、西側諸国の銃器にはない信頼性と言えるだろう。反動の少なさを取るか、信頼性を取るかの違いではあるのだが……俺は後者だな。


迫ってくる敵を撃ち抜いていると、東側の雪山からジャックとアンジェの機体が滑り降りて来た。アンジェは降りてすぐ短機関銃で肉薄しつつ敵アナライザーを蜂の巣にし、ジャックは斜面を下りつつ対物ライフルで狙撃して敵アナライザーを一撃で仕留めていた。器用な事すんな、ホント…。


「……今から敗走中のアナライザーや戦車達が押し寄せて来る……二人とも、準備はいいか?」


『当然!全員血祭りにあげてやらァ!』


『もっちろん!誰一人逃さないんだからね!』


頼もしい限りだよ、全く…。


「それじゃあ………掃討、開始だ!!」


『『応っ!!』』




1機たりとも通さねぇぞ、共産主義(アカ)共……!





お読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ