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朧火の意志  作者: 布都御魂
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積もるは雪か、薬莢か


AKMを構え、敵アナライザーの胸部を狙って7.62mm弾のセミオート射撃をお見舞いする。敵の持つサブマシンガン──恐らくUMPだろう──よりも遥かに口径のデカい7.62mm弾が、敵アナライザーの胸部装甲を引っ剥がしながら機体をズタズタに引き裂いていく。


とはいえ流石に改良によってコックピットの保護が為されているのか、敵のアナライザーはまだ動き続けていた。手に持ったUMPでサイズアップされた9mm弾を腰だめ撃ちでばら撒いてくる。針葉樹に身を隠しつつタイミングを見計らい、UMPが弾切れで沈黙したのを見計らって木陰から躍り出る。


先程引っ剥がしたコックピット付近の装甲が剥き出しになった胸部に、直接7.62mm弾を叩き込む。撃ち込まれた銃弾が敵のパイロットを殺害したのか、破壊されたコックピットの隙間から血が流れ落ちる。


操縦者を失ったアナライザーは沈黙し、近くの木に寄りかかる様に崩れ落ちていった……ひとまず、1機撃破だ。パッと見ではあるが、敵の偵察部隊はジャックが撃破した奴と今のを含めて4機だった筈……残り2機はどこだ…?


辺りを見回すと、ヴィンセントが遠くの針葉樹に向かってストーナー63を発砲しているのが見えた。という事はあの辺か………いた、同型の『アルゲマインB3』だ。発砲してきているヴィンセントに気を取られているのか、敵はヴィンセントに向かってUMPの弾薬をばら撒いている……少し手助けしてみるか。


AKMを構え、針葉樹に身を隠しているアナライザーの足元付近を狙って引き金を引く。銃弾は狙い通りに足元付近の根っこと地面を抉り取り、乾いた音を立てる。別方向に敵がいると察したのか、敵アナライザーがこちらの射線に入らないように逆側へと機体を隠す。


すぐに敵の射線から身を隠すのは懸命な判断だと言えるが……()()()()()()()()()()()()


俺の銃弾から逃れようと機体を移動させたのが命取りとなり、まんまと射線に躍り出てきた敵のアナライザーをヴィンセントが仕留める。5.56mm弾を複数発コックピット付近に撃ち込まれたアナライザーは機体の正面を足元の雪に埋もれさせるかの様に倒れ、沈黙した。


『──ナイスアシストだ、メルト君。』


「なら良かったです。」


さて、残る1機は……?そう考えていると、すぐ近くで銃声が鳴り響く。レーダーの反応的に接敵しているのは恐らくアンジェだ。機体を動かして針葉樹の間を抜け、銃声のする方へと足を運ぶ。するとそこには短機関銃を両手持ちしたアンジェと革命派のアナライザーが、お互いに短機関銃の弾薬をばら撒きつつせめぎ合っていた。


敵のアナライザーがやり手なのか、アンジェが機動力で翻弄しようとするのを上手く躱しつつ的確に進行方向へ銃弾をばら撒いている。アンジェの機体が運用するメインアームは9mm弾を使用する『CBJ-MS』というスウェーデン製のPDWだ。魔改造によりガンブレードと化したそれを巧みに扱って攻撃を仕掛けているが、小口径の拳銃弾であるが故に決めてに欠けるのだろう。


「アンジェ、こっちで敵の動きを妨害するから、そこを仕留めてくれ。」


『オッケー!サポートお願い、ねっ!』


アンジェが弾薬をばら撒きつつ突撃して来るのを回避しようと、敵のアナライザーがバックステップを駆使して後退する……狙うなら今だな。


AKMで敵アナライザーの脚部を撃ち抜き、機体の動きを妨害する。脚部の膝関節付近を撃ち抜かれた事によりバランスを崩したのか、バックステップの勢いのまま後ろへと転倒する『アルゲマインB3』。そこを狙って仕留めに掛かるアンジェに向かって、敵のアナライザーがUMPを突き出す。


「──させねぇよ。」


AKMによる精密射撃でUMPの銃口付近を吹き飛ばす。アンジェを迎撃する為に突き出された武器を破壊された敵アナライザーに、別の武器を取り出す時間は残されていなかった。


アンジェのガンブレードの刀身が装甲を貫き、敵アナライザーに深々と突き刺さる。アンジェは突き刺さったままガンブレードの引き金を引き、ゼロ距離での連続射撃をお見舞いする。距離を詰める事により集弾性の高まった9mm弾が装甲を食い破り、内部をコックピットの中にいるパイロット諸共ズタズタにする。


中枢を破壊された敵アナライザーはまるで死にゆく人間の様に腕を天に伸ばしていたものの、最終的に重力に導かれるように雪の積もる大地へと力無く崩れ落ちていった。


『敵、撃破完了っ!』


ガンブレードを引き抜きつつそう言うアンジェ。なんとかなって良かった。


『全員、良くやった。……一度合流するぞ。』


ヴィンセントから招集が掛かったので、近くにいたアンジェと共にヴィンセントの元へと合流する。ジャックは……既に合流していたのか。


『よっ、お疲れさン。』


『全員揃ったな……哨戒はこの辺にしておこう。余り国境線から離れ過ぎては、敵勢力の真っ只中で孤立する事になりかねない。』


ここは既に国境線を越えた先、エリア020だからな……このメンバーといえど、敵陣に深入りし過ぎるのは良くないか。


『現時刻を持って哨戒を終了、国境線基地に帰還する……撤収だ。』


『「了解。」』


『りょ〜かい!』


来た道を戻り、針葉樹林地帯を後にする。基地に戻る間も念の為哨戒は続けていたが、特に敵影を見ることもなく国境線基地へと帰還する事ができた。


門を通過し、自分達のテント付近にアナライザーを停めてから昇降用ワイヤーで地面へと降り立つ。短い哨戒任務だったとはいえ、少しばかり疲れたな…。同じく機体から降りてきたヴィンセントがコチラへとやって来る。


「私は今から国境線警備隊の隊長へ報告に行ってくる。君達はゆっくりしていてくれ。」


「OK、んじゃ俺は飯でも作っておくカ。」


「俺も手伝うよ。」


「私も〜!」


ヴィンセントと別れ、2人と一緒に専属輸送車から調理用のガスコンロと大鍋、そして調理器具を運ぶ。途中で離脱したジャックが食材を持ってきた……どうやら食材は兵員輸送車で色々と運搬してきているらしい。正直輸送だけならトラックでもいい気がするのだが、戦場も近いのでこれ以上は野暮というものだろう。


流石に保存のきく食材が多いが、ジャガイモや人参、キャベツにベーコンといったスープに使えそうな食材は割とあった。まぁこの辺寒いし、雪に埋めとけば数日は保つしなぁ…。


というか食材がほぼポトフの材料じゃねぇか。


ジャックも食材を見る俺の視線を何となく察したのか、苦笑いしながら下ごしらえを始めた。俺も皮剥きをしてから食材をカットして、料理に使用する食材の下ごしらえを進めていく。隣ではアンジェがジャガイモの皮剥きに苦戦している……ピーラー使っても難しい時あるよな、ジャガイモって。


切り終わった食材を纏めてジャックに渡す。受け取ったジャックが既に水が入れてある大鍋に食材を固い物から順に投入していく。ちなみに念の為メニューを聞いてみたがやっぱりポトフだった。まぁジャックの切り方を見た俺も察して切ってたけどさ…。


煮込み作業はジャックがやるとの事だったので、アンジェと共に食事の準備を始めておく。簡易テーブルと折りたたみ式の椅子を設置して、食器となる金属製のスープカップを用意する。ジャックとヴィンセントの分のカップも一緒に鍋の元へと持って行き、スープを入れてから席に戻る。戻る頃にはヴィンセントも報告を終えて戻って来ていたので、皆で一緒に食事を取る。


スープとは別で用意しておいたブロックパンを分けつつ、食事が始まった。


4人で談笑しつつ、湯気の立ち昇るスープを飲む。味方陣営の基地付近とはいえ、戦場で温かい食事を取れるというのはありがたいものだ。食事の質と温度は兵士の士気に直結すると、どっかの専門家や将校が口にしていたっけ……誰だったかは覚えてないけど。


パンとスープを食べ終え、食器と調理器具を片付ける。俺達のチームはジャックがいるからマトモな食事にありつけるが、チームによってはマトモな料理が出ない事もあるらしい……さっきも料理下手なチームが、他のチームに助力を願いに行ってたしな。


道具を片付け、テントに入って暖を取る。ストーブのおかげでテント内は暖かく、断熱性のあるマットやテントの生地も相まってか予想以上に快適であった。このテントを作った企業には頭が上がらないな……国によっては薄いテントにそのまま雑魚寝なんて事もあるらしいし。


夜も更けてきたので、体力温存の為に早めに就寝する。隣ではジャックとヴィンセントが既に眠っていた……早ぇなアンタ等。


俺も寝袋に包まり、目を瞑る。明日からも忙しくなるのだ……寝れる時に寝ておかなければ。




そんな風に考えている内に、俺の意識は眠りへと沈んでいくのだった。





お読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m

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