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朧火の意志  作者: 布都御魂
100/110

中衛を担う者

『朧火の意志』、ついに100話となりました⸜(*´꒳`*)⸝

ここまで読んで下さった皆様に感謝を…!m(_ _)m


今後とも『朧火の意志』をよろしくお願い致します…!

               布都御魂


「スヴェル2より防衛班、これより戦団海軍に代わり襲来する敵艦隊の撃滅を行う。手が空いている者は撃滅作戦に参加せよ。」


モーリス達作業班を除いたスヴェルチームの防衛班に指示を出しつつ自らも敵艦隊の元へと向かってブースターを噴かせる。


防衛班である私が今回乗るのは、サクセス・コーポレーションが製造したアナライザーの中でも最新の機種である『SB-18』だ。メルト君が前に乗っていた試作機『SB-1』を元に製造された最新鋭のアナライザーであり、流線型のフレームを新たに採用しつつタザナイト複合装甲を取り入れた非常に高性能な機体となっている。


元々乗っていた『SA-36』はというと、長い間使い続けただけあって各所にガタが来ており、つい先日解体が行われたばかりだ。長らく乗っていたのもあって愛着のある機体だったが……されど兵器は兵器。更新すべき時は気持ちを切り替えて更新するべきだろう。


……まぁ装甲の一部を使ってナイフは作ったがね。愛着とは得てして形を変えて残るものだ。


さて、こうして今更新された『SB-18』に乗っている訳なのだが、機体更新を期に戦闘スタイルを少しばかり変える事にした。従来通りアサルトライフルを使用する事は変わらないが、今後はそれに加える形で『グレネードランチャー』を使用しようと考えている。


何故ならウチのチームには戦術的な偏りが凄いからだ。ヘンリクは言わずもがな近接特化の脳筋戦術でアンジェもヘンリク程じゃないが近距離戦に特化してる。モーリスやヴァネッサは中衛寄りだがそもそも戦闘に出る事が他より少なく、ジャックやトリシャは遠距離中心だがトリシャがオペレーターとして抜ける事もあって狙撃手がジャックだけになってしまっている。


そしてメルト君だが、初期の頃はアサルトライフルを用いた中距離戦闘が中心だった筈なのに今では近距離戦中心の脳筋(ヘンリク)タイプになってしまっている……中衛で動ける人間が私しかいない状況下で、その中衛としての動きが微妙になってしまうのは非常に良くないのである。


中衛は前衛を補助し、それでいて後衛を守る『継戦』においての要。だからこそ柔軟に動けるようにしなければならないし、誰よりも的確な行動を取らなければならない。


だからこそ選んだのが、この『ダネルMGL』というグレネードランチャーだ。南アフリカで開発された回転式弾倉を持つグレネードランチャーであり、計6発のグレネード弾を装填する事ができる優秀な代物である。


ではこのグレネードランチャーが何に役立つのかというと、スヴェルチームには無い『爆発系』の攻撃手段となる事だ。私達スヴェルチームのメンバーは全員が小銃等の銃弾を用いる銃火器を使用しており、あのヘンリクであってもサブウェポンには拳銃を用いている。しかしそうなると多対一の状況下においては不利に働く事も多く、面制圧が必要な場面において弾薬の消費が激しくなる事が多かったりする。


とはいえ前衛で動き回るメンバーに持たせれば立ち回りを変えざるを得なくなる上、至近距離での爆発は使用した自身にも被害が発生する恐れが出てくる。なら後衛のメンバーなら大丈夫……と言う訳でも無く、シンプルに距離が遠すぎるという問題が生じてしまうのである。


グレネードランチャーはあくまでも『手榴弾と迫撃砲の隙を埋める兵器』であり、狙撃手が使用するのであればグレネードランチャーではなく迫撃砲の方となる……遠距離から狙撃してる最中だというのに、わざわざ前に出てきてグレネードランチャーぶっ放す狙撃手はいないだろう。


だが中衛である私ならば、前衛の味方を巻き込まないタイミングを見計らいつつ、適正な距離からグレネード弾を叩き込む事ができる……今の私に、これ以上ない程向いている兵器と言えるだろう。


……丁度いい、考えついでに『ダネルMGL』のチェックをしておくとしよう。私が使用するMGLはストックが取り外されており、アナライザーで運用する際に取り回しが悪くならないように工夫がなされている。ストックがない事で反動を逃し辛いというデメリットはあるものの、そもそもが運用をアナライザーで行う為、グレネードランチャー程度の反動であればわざわざ反動を逃がす必要性がなかったりするのだ。


お陰でよりシンプルな見た目となってしまったが、まぁシンプルな分使い勝手も良い筈だ……兵器とはシンプルであればある程良いのだから。


『スヴェル6よりスヴェル2、作戦は決まってるの?』


チェックを終えたタイミングでアンジェが問い掛けて来る。作戦……という程のものではないが、まぁ多少なりとも考えくらいはある。


「こちらスヴェル2。集まっているのは……スヴェル1、スヴェル6、スヴェル7の三名か。見事に前衛ばかりだな…。」


『確かに……ま、なんとかなるだろ。』


メルト君の脳筋(ヘンリク)化が進行している……早急に手を打たねばなるまい…。


『……スヴェル2、何か失礼な事を考えてはいないかね?』


「………気のせいだろう。…では作戦を伝える。スヴェル1及びスヴェル7は敵艦隊を撹乱しつつ各個撃破を狙え。二人共近接武器のみだが……二人なら大丈夫だろう。」


『うむ、任された。』


「オーケー、任せてくれ。」


「スヴェル6は周囲に展開するフリゲートを頼む。速度で翻弄しつつ弾幕を張り、撃墜されないように注意しつつ殲滅しろ。」


『りょーかい☆』


「私は駆逐艦を相手取る。グレネードランチャーで吹き飛ばすから巻き込まれないように注意しておけ。……では総員、作戦開始!」


『『『了解!!!』』』


ブースターを噴かせて突撃していく彼等を他所に、グレネードランチャーを構えつつ駆逐艦へと距離を詰める。詰める角度は()()()()……擬似的な急降下爆撃という訳だ。


『SB-18』に更新した事により強化された外音取り込み機構により、下の方から駆逐艦の乗組員が騒ぐ声が聞こえてくる。ダイヤルを捻って消してもいいが……このまま聞いておくというのも一興だろう。


『──おい、上だ!なんか降ってくるぞ!?』


『なんだあれ、アナライザーか!?』


……下は順調にパニックのようだ。


では彼等に、最高のお届け物を配達してやるとしよう…!



血と鉄の包み焼き(ミートパイ)のお届けといこう…!」



ダネルMGLの引き金を引き、サイズアップされたグレネード弾を銃口から解き放つ。グレネードランチャーは本来放物線を描いて着弾させる代物だが、こうして真上から放ってやればただの爆弾と代わり無い。重力に従ってそのまま落下し──そして爆ぜた。


駆逐艦の前部甲板に着弾したグレネード弾が、甲板を剥ぎ取りつつ艦内を爆炎で食い荒らす。燃え盛る爆炎と激しい衝撃波が前部甲板に設置されていたVLSに到達し、誘爆して一面を炎の海へと変貌させる。


誘爆により船体前部が吹き飛び、タイタニック号のように艦首側から沈んでいく革命派の駆逐艦。あの様子では完全に沈むのも時間の問題だと判断し、次の駆逐艦へと標的を移す。


一度飛翔し、艦隊から距離を取っていると、モニターに危険を示す<EMERGENCY>の表示が現れる。システムによると後方からミサイルが飛来してきているらしい……大方、駆逐艦を撃破した際に近くにいた他の艦艇が、私を撃墜しようと放ったものだろう。


どうやらミサイルの反応は複数あるようだ。私1人撃ち落とす為にこの量とは……随分贅沢なものだな。だがまぁ───


「──私を落とすには、その程度のミサイルでは足らんよ。」


MGLを一度ウェポンハンガーに預け、代わりに『ストーナー63』を取り出す。防衛部隊時代から使っている年代物だが、こういう状況下では使い慣れた物が1番良い。


ミサイルに銃口を向け、短く引き金を引いて擬似的なバースト射撃を飛来するミサイルに撃ち込む。これが普通の小銃弾なら無駄な抵抗となるが……サイズアップされた銃弾であれば話は別だ。


銃弾を複数発叩き込まれたミサイルが爆発し、近くにいたミサイルを巻き込んで空に黒い煙を撒き散らす。そんな黒煙を突き抜ける形で別のミサイルが飛んでくるが、そのミサイルも擬似的バースト射撃で叩き落とす。やってる事は正直艦艇のCIWSと変わらんが、アナライザーの機動性がある分、CIWSよりは使い勝手が良い筈……これやってる事は人間砲台だな。


……よし、考えるのを止めよう。


飛び回りつつライフルで迎撃し、その勢いのまま駆逐艦に向かって突撃する。せっかくこうしてミサイルが追って来ているのだ、コレを利用しない手は無い。


駆逐艦が目前に迫る瞬間にブースターを噴かせて駆逐艦の逆側に周り、ミサイルが向きを変えられない状況に仕立て上げる。着弾すると同時に離脱すれば……この通り、ミサイル(荷物)の返送の完了という訳だ。


「……着払いの荷物を勝手に送るな、この野郎。」


自分のミサイルで撃沈していった駆逐艦を後にして、残る駆逐艦へとウェポンハンガーから取り出したMGLを向ける。ヘンリク達も着々と殲滅を進めている事だし、そろそろ侵略者共にはこの海域からご退場願おうか。


……いや、違うな。


()()()()()より、ご退場願おうか。






「さぁ、血と鉄の包み焼き(ミートパイ)のおかわりといこうか…!」






お読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m

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