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神々の加護で生産革命 ~異世界の片隅でまったりスローライフしてたら、なぜか多彩な人材が集まって最強国家ができてました~  作者: 風来山
第三章「地中より迫る」

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177/178

177.聖都の地下には

 神帝竜シュウドウの神竜一閃拳を喰らった反神の軍師シェイド。

 砦の玉座があった場所は、大穴が空いており、さすがのシェイドもひとたまりもないであろうと思われた。


「まだニャ! タダシ陛下、奴は下ニャ!」


 おそらく、反物質の力を使ったのだろう。

 いつの間にか開けられた大穴から、やつが降りていくところだった。


「逃さんッ!」


 ブワッと空気が爆発したのかと思ったら、神帝竜シュウドウが一人で飛び込んでいった。

 神竜一閃拳で倒しきれなかったのが、よほど悔しかったのか。


「シンクー!」

「タダシ陛下、今回は追うニャ!」


 前は、罠があるかもしれないと慎重だったシンクーの態度が変わっている。

 何か考えがあるのか。


 まあどちらにしろ、神帝竜シュウドウを一人で行かせるわけにもいかない。

 全力の神竜一閃拳で倒せなかった敵なのだ。


 油断できるわけがない。

 タダシは、叫ぶ。


「何が待ち構えているかわからない。付いてくるのは、力の強い者だけだ。いいな!」


 そうしてシンクー達とともに、地下の穴蔵へと降りて行く。


「まるで、ダンジョンニャ」

「そうだな、しかしこれは深いぞ!」


 その場で作った穴ではあるまい。

 時間をかけて、入念に掘られたような跡があった。


 進む毎に、嫌な予感が増大してくる。

 穴の先から、バンッ! と、激しい爆発音が響く。


 彫り抜かれた穴の底から、激しく吹き荒れる爆風。


 ゴゴゴゴゴッ……。


 地面全体が激しく揺れている。

 どこまで深い穴なのだと思いながら、自然落下速度よりも加速をつけて降りていく。


「シュウドウ!」

「すまぬ、ぬかった……」


 穴の底では、神帝竜シュウドウが倒れていた。

 タダシは、彼を助け起こす。


 すでに、彼は身体の鱗をえぐられて満身創痍だった。

 大陸最強、神にも迫る強さを持つ帝竜をここまで傷つけられる攻撃だと?


「来たか、タダシ」


 大きく空いた空洞の底で、タダシ達が来るのを待ち構えていたらしい黒ローブに白い無貌(むぼう)の仮面を付けた男。

 反神の軍師シェイド。


 タダシは、やつに神帝竜シュウドウを倒すほどの力は感じなかったのだが。

 地中の底から大量に漆黒の結晶が林立している。


 結晶はまるで帯電しているように、紫電がバチバチとほとばしって、周りの大気に触れるたびに小さな爆発が起こっている。

 これが、原因か?


「シェイド、これはなんだ」

「おっと、それに触れないほうがいい。そこのバカ竜のように、弾け飛びたくはないだろう。ましてや、この量の反物質が一気に誘爆したら、この場もどうなるかわからんぞ」


「これはなんだと聞いている!」

「もう聞かなくてもわかっているだろう。それは、反物質の塊だ」


 これらすべての反物質が物質と反応して対消滅が起これば、とんでもない爆発が起きることになる。

 遅れてやってきた、猫耳賢者シンクーが言う。


「シェイド! この聖都を破壊する計画ニャー!」


 それを聞いて、反神の軍師シェイドは笑い出す。


「ふははははははっ、これは面白い。タダシの軍師とやらは、その程度なのか」

「何がおかしいニャー!」


「ここだけではない! 反物質の結晶は、お前らの王都にも、帝都にも、大陸の至るところの地中に存在するぞ。破壊するのは、この大陸そのものだ」

「嘘ニャ! そんなことをする時間はなかったはずニャー!」


 タダシは、その言い争いを余所目で見ながら、冷静に世界樹の種を使い、根を伸ばして反物質を消滅させていく。

 反応することで凄まじい爆発力を持つ反物質だが、タダシの加護の力により増幅された世界樹の増殖力によって中和できる。


 それを見て、反神の軍師シェイドは笑うのをやめる。


「ほう、これだけの情報でそこまで読むか。さすが、私の策をことごとく破ったものだ」


 知恵のあるものには敬意を表するのか、シェイドは意外に素直に嘘を認めた。


「シェイド! この大陸を、お前の自由にはさせないぞ」


 タダシは、睨みつけて言った。


「そんなに怖い顔をするなよ。私は、助言してやろうというのだぞ」

「言ってみろよ……」


 敵の言うことだ。

 その情報は嘘であるかもしれないし、毒を含んでいるかもしれない。


 それでも、ここは聞かなければならないときだ。


「タダシよ。俺は、お前のことはずっと見ていた。お前は、かつての戦いで宇宙を見ているな、つまり、この世界が丸い球体で出来ていることを知っている」

「……ああ、俺が昔いた地球のようにだろ」


 タダシがそう言うと、反神の軍師シェイドは嬉しそうにする。

 無貌の仮面をつけていても、狂喜しているのがわかる。


「ああタダシ、やはりお前は良いな。この世界で、この惑星の大きさが理解できるのは、お前と……せいぜい、俺の策を見抜いてみせたその横の可愛らしい猫耳軍師くらいか」


 猫耳賢者シンクーは、ぶんぶんと手を降って怒った。


「お前みたいな陰険な男に褒められても、ちっとも嬉しくないニャー!」


 それは、タダシもだった。

 そんなタダシたちを見て、シェイドは愉快そうに笑った。


「理解できなければ、脅すこともできないからな」

「脅しだと?」


「ああ、俺は……いや、反神は、どうやって反物質を仕掛けていると思う?」

「それはお前が仕掛けたんじゃ」


「違う! 反物質は、この下から来ている」

「地中?」


「もっと下だ。この惑星の裏側には、ネフィリムという大陸がある。お前達が、暗黒大陸と呼んでるものだ」


 本当かとタダシは、シンクーを見る。


「本当ニャ。船乗りの間で、暗黒大陸の伝説はあるニャ」

「ネフィリム大陸には、反神を奉じる民族と国家がある。そして、この反物質の攻撃はそこから来ている」


 そう言われて、タダシはハッとする。


「わかるか。この惑星の地中を通して、直接反物質を送り込めるという意味が」

「おいおい、惑星のコアにそんな物があたったら、この世界が滅びるじゃないか!」


 現代人であるタダシは、反物質がどれほど恐ろしいものか知っている。

 SFでは、決戦兵器として使われるような武器にもなるのだ。


「クックックッ、いいな実にいいぞ。話が早くていい」

「そうか、わかったぞ! 世界が滅びるのは、お前も望んでないんだな。シェイド」


 その言葉に、反神の軍師シェイドは少し考えるように押し黙ると、話を続けた。


「……反神は、一万年前に始まりの女神アリアが、世界の滅びの運命を拒否したときに生まれた。その定めに従えば、全てを消滅させることもできた」


 そうシェイドは言う。

 そこに、交渉の可能性を感じてタダシは言う。


「だが、お前たちはそうはしなかった!」

「そうだろうな。反神は、この世界を滅ぼしてしまうのが惜しく感じるようになったのだろう」


「だったら、和解することはできないのか。お互いに、関わり合いのない違う大陸を統治しているなら、それでいいだろうに!」


 タダシが、そういうのは意外だったのか。

 反神の軍師シェイドは一瞬、言葉に詰まる。


「ほう、世界を滅ぼす反神に、和議を提案するとは思わなかった」

「反神だって世界を滅ぼしたくはない。自分の大陸を持っているのだろう、こっちだってそうだ。だったらお互いにこれ以上ぶつかり合わずに世界を分けることだってできるんじゃないか」


 それが最良ではないかと、タダシは言うのだ。


「面白い。実に面白いな、世界を半分くれるというのか……だが、それはできない」

「なぜだ! なぜお前たちはそうやって争う!」


 それは、タダシの疑問だった。

 これまでの多くの敵もそうだ。


 タダシは、限りある土地で有り余るほどの食料をつくることができる。

 それをみんなに分けてやることだってできる。


 争うことを止めることさえできれば、死ぬこともなくお互いに傷つけ合うこともなかったのに。


「お前の奉ずる神々も、それでは納得すまい」

「俺が責任を持って説得する! お前達にも民族や国家があると言ったな! 俺は、これ以上傷つけあいたくないんだ!」


 タダシの言葉に、反神の軍師シェイドは息を呑んでから、話す。


「なぜ争う、か……。タダシ、やはりお前は面白い。なぜだろうな、考えてもみなかった。おそらく、反神が反神として生まれた存在の本性なのだろう。敵対する神々を滅ぼさずにはいられない。この世の(ことわり)というものだ」

「こうして言葉で語り合えるなら、和解の道だって」


 さらに地中からゴゴゴッと唸りが聞こえた。


「おっと、話はここまでのようだ」

「シェイド、何をした!」


「フッ、俺はなにも。ただ、反神は、世界を滅ぼせるだけの力をお前達に見せることをお望みのようなのでな」


 両手を広げる反神の軍師シェイドの周りを囲むように、漆黒の結晶が次々と地中から飛び出してくる。

 とんでもない量だった。


「シェイド! これだとお前まで死ぬぞ」

「どうだっていい。タダシ、この世界を滅ぼしたくないなら、ネフィリム大陸にくるがいい。あらかじめ言っておいてやる、これは罠だぞ」


 シンクーが呆れたように叫ぶ。


「シェイド! それを、罠を掛けたお前が言うんかニャー!」

「ハハハッ、罠なんて最初からバレバレだろ、それでも世界を人質に取っているのだからタダシは来ざる得ないのさ。ここで死にたいならそれでもいい!」


「やめろシェイド!」

「お前たちとの語らいは、思いの外楽しかったよ。だが、ここでの仕事は全て終わった。さあ、お前らもろともすべて吹き飛ばしてやろう」


 タダシ達の周りにも、次々に漆黒の結晶が氷柱のように突き上がってくる。


「まずい、みんな逃げろ!」


 タダシは、世界樹の種の力を作って連鎖爆発する反物質の力を創造の力で抑える。

 みんなは這々の体で、穴から地上へと脱出した。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ……。


 まるで世界そのものが震撼するような、激しい爆発に巻き込まれる瞬間。

 反神の軍師シェイドの無貌の仮面が落ちて、一瞬だけタダシと眼があった。


「さらばだ、タダシ!」


 その顔は少し、泣いているようにも見えた。

 そして、奴の影は幾重にも重なる激しい爆発の閃光の中で、崩れ落ちて消えていった。

次回更新は、コミック7巻発売日の4月30日にします。

ぜひご予約よろしくお願いします。

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※ なろうの書報 ※

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