第100話 近づく戦の足音
第100話です。分量が短くてすみません。
「戻った、か」
「ええ、戻りましたよ」
俺は柴田邸から羽柴邸に戻った。
「それで金森に会えたか?」
秀吉は俺にニヤニヤしながら聞いてきた。
信長にサルと呼ばれていた秀吉であるが、笑うとかなり猿顔だなと思ってしまう。まあ、そんなことを本員に言ったら俺は斬首かな。
そんなことは言い。俺は、秀吉に文句を言う。
「そのことなんですけど、金森殿が羽柴殿の放った間者だってこと知らなかったんですけど」
「きくはそのことを伝えていなかったのか」
俺は羽柴邸であったことについて秀吉に言う。文句だ。文句だってことは分かっている。
「えへへへ」
きくは、秀吉の質問に対して笑いながら誤魔化した。
秀吉はそんなきくに対して甘かった。
「そうか、そりゃ仕方ないよなあ」
女好きの秀吉だ。
きくのこともどうせ側室にしたいのだろう。そんな下心が見えた気がする。
いや、すごい。すごいの一言しかない。
「なんか、変なこと考えていないだろうな?」
ギ、ギクッ
「そ、ソンナコトナイデスヨ」
何で、俺が考えていたことがバレたのだろうか。
ひ、秀吉。恐ろしすぎる。
驚愕していた。俺は。
しかし、その横で外野もうるさかった。
「いや、だってね」
「小田先輩って隠し事下手だからね」
「おいっ、外野うるさいぞ」
「怒ったあ」
「事実じゃないっすか」
水上、そして河合の2人が言う。
2人とも後輩であるのにどうして先輩の俺をおちょくるんだ。
むぅ
俺は、ムカムカする。
「まあ、怒らないでくださいよ」
「そうすっよ。まったく、小田先輩は面白い人ですね」
相変らずからかわれている。
そんな自分に申し訳なく思える。
「むぅ」
「あははは」
「受けますね」
「いいだろ! 何で、そんなからかうんだよっ」
「反応がいいんですよ」
「反応がおもしろいっす」
水上、河合の2人が相変らず俺をおちょくってくる。
どうでもいいような会話がずっと続く。
「それよりも、今後のことはどうするんだ?」
「今後ねえ、どうするっていうのは歌川先輩のこと?」
「そのあたりは、秀吉様次第じゃない?」
「儂はいつでもいんだぞ。早く柴田を倒したいし」
秀吉としては早く柴田を倒してもいいようだ。
だが、今は1582年だ。そして、史実で柴田勝家を豊臣秀吉が倒した1583年。つまり、まだ時間がある。1583年のいつあったのか知らないけど少なくとも1年以内にある。
俺が積極的に歴史に介入すれば歴史は変わってしまうだろう。
滝川一益の歴史をすでに変えているのだから。関東の歴史も変えている。
だから、俺は秀吉に言う。
「柴田を討ちましょう」
賤ヶ岳の戦いがすぐそこまで近づいていたのだった──




