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黒の英雄譚 ~漆黒の女帝~  作者: 涙目 ホクロ
職人の街 ファージ
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第62話 ファージの街決着編2

wgaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa


炎の獣が水の巨人に牙をむき、水の巨人は獣を振り払う。


振り払ったと思ったら、水の巨腕が獣に迫る。


まさに一進一退の攻防。


ましてや、二体の大きさは規格外。


そうこれはまるで、大怪獣映画だ。


まぁ、あれはテレビや映画の世界だからいいんだけど現実では被害は半端ない。


現に、炎は城壁を保護しているゲンブの結界に燃え移っているし、何より戦場のあちこちに火が舞っている。

「今ここは地獄だ」

誰かにそう言われても、今ならオレは信じるだろう。


だから、早く何とかしないといけないのはわかっている。


だが、まだだ、水の巨人。まだもってくれ。


オレの魔力はもう尽きた、だから、失敗は許されない。


早く隙を見せろ!!


炎の獣が、咆哮し、高く跳躍し膨張する。


その間、およそ3秒とないだろう。


だが、そのタイミングを待っていた。


「さぁ、今度こそ、幕だ。業火を纏った炎の獅子よ、色欲の魔の力をもって汝に命じよう。サン・ディーヴァ・ヴァーミリオン」


魔王の振り上げられた手から、炎の獣へと魔力が注がれる。

まるで巨大な太陽だ。だが、もう一人のオレが見せた黒の凶星の威力に比べたら、まだ勝機はある。


「今だ!! アトラス」

『今ここに解き放つのは、太古の記憶、悠久の楽園、母なる海の守護神に問う。我らにその恩恵、その加護と共にその姿をもって厄災を退けろ。ニライカナイ』


アトラスの詠唱が終わると同時にオレの姿は水の王から元の黒龍装備になった。

恐らく今の魔法攻撃でアトラス自身の魔力も尽きたのだろう。


wgaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa―――――――


辺り一面に炎の獣の断末魔が響く。

ニライカナイ、水属性魔法最上級クラスの魔法。ドラキラにおいてはの話だがこの世界でも恐らく健在だろう。効果は、広範囲に及ぶ、水属性+聖属性攻撃、エフェクトは津波を起こし、津波が敵を飲み込んだら渦潮となり敵が絶命するまで逃さない。

ドラキラでは、湖や海辺でしか出せない。条件付きの強力な魔法それがドラキラでの認識だ。

まぁ今回は地下水を掘り起こしたおかげで、その条件を無理やりクリアしたみたいな感じだけど。

だが、オレの知るドラキラでは威力はここまでない。恐らく何らかの違いがあるのだろう。


「フ、フハハハハハハハハハハハハハハハハ」

「アスモデウス様!?」


魔王の突然の笑い声に部下が戸惑う。ついに頭が湧いたのか?


「よい、実によい。我らが願いを成就する計画の第一歩で、もはや何処の者かも分からないものにここまで邪魔されるとはな。我の初めの攻撃を弾き、我が幕といった攻撃を防ぐとは、これが笑えずにいられるか。魔王になって悠久の時を過ごしてきたがここまで興が乗った催しは久しぶりだ」


あぁ、そうだ思い出した。この世界の住人はヒョウや修羅姫にしろバトルジャンキーが多い。

ましてや魔族はこの世界の種族のなかでも戦闘意欲が高い、必然的にバトルジャンキーなのもうなづける。


「名を申すことを許そう。貴様の名は何だ?」


魔王が問う。

教えるべきか?


「雪サクラ。雪と呼ばれている」

「しかと覚えさせてもらった。光栄に思うがいい」


頼むから、名を書いたら死んじゃうノート的な攻撃はやめてくれよ。

そういう類の攻撃は防ぎようがないからな。


「でわ、雪よ。貴様は我の期待をいい意味で裏切る。二度あることは三度あるともいうし、はたまた三度目の正直という言葉がある」


そう言うと玉座と呼ぶにふさわしい椅子から立ち上がり、マントをとる。


「して、貴様は我の攻撃をすでに二度破った。試してやろう、我が色欲の力を」


魔王の肉体から、魔力が溢れ出す。

おいおいおいおいおい、ふざけんよ。

コイツ……今までが本気じゃなかったみたいだ。


「色欲とは、本来は本能に従った性欲を意味するのだが、我は色欲とはそれ以外にもあると睨んでいる」


魔王の肉体が光りだす、いや、違う。魔力の属性が……変わったのか!?

しかもこの属性は。


「闇と光は表裏一体の存在だ。それを同時に扱うのは難しい。だが、逆を言えば決して扱えないわけではない」


光が収まるとそこにあったのは黄金に輝く翼、頭上に光る輪。


「代々色欲の魔王に選ばれる種族は天使である、その理由はなぜか分かるか?」

「それは……美しいから」


自分でもびっくりしている。魔王に対してそんな言葉が出てくるなんて。

だが、ほんとに美しい。

だからこそ、分からない。天使とは文字通り天に使えるもののはずだ。

なのに何故だ? 


 天使は真逆の存在である魔族になるのか?


「あぁ、それだ。『美しさ』それが色欲の魔王である我の強さである。だがな、この美しさにより我が先祖である初代色欲の魔王は嵌められた。故に美しさとは罪なのだ。周りの者を惑わせる理由でな」


何だろう。よくラノベを読んでいて自分のことを美しいと思っているナルシストを思い出した。

でもまぁ、目の前の魔王はそんな類じゃない。

何というか重い。ラノベのナルシストと一緒にしたらいけない。


「さぁ、剣をとれ。雪よ、我との一騎打ちだ。先の言葉がどちらに転ぶか。フハハハハハ、我を楽しませよ」


刀を構える。もう戦う力なんてとうに使い果たした。

だが、思い出せ。もう一人の自分の言葉を。

『今が限界を超える時だ』


「あぁ、オレは負けられないんでね。限界超えさせて貰おうか」


さぁ、ラストスパートだ。

14日遅れだけど『あけましておめでとうございます』

ファージの街もいよいよ終わりが近づいてきましたので、もう暫くお付き合いください。

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