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黒の英雄譚 ~漆黒の女帝~  作者: 涙目 ホクロ
職人の街 ファージ
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第55話 ファージの街総力戦 東の門 炎の王

「ここはどこだ?」


体が軽い。というか浮いている。

いや違う地面がないのか。


「よぉ、初めましてになるのか?」


声のする方に目を向けると何かがいた。

形はぼやけて、ノイズ交じりの声。

だが、どこか懐かしい感じがする。


「アンタは?」

「名前か? そうだな……ヒデって呼んでくれ」


ヒデ、どこかで聞いたことある気がするが思い出せない。

まっいいか。

何というかここはとても心地いい。


「ここは?」

「そうだな、夢の中と言っておこう。」

「そうか」


夢の中……ヒョウたちの再設定を行った場所とはずいぶん違う。

だが、この心地よさ現実では味わうことはないだろう。

何というか、全てを投げだしたい。


「その思考だけは、許せないな」

「?」

「もう時間か。桜坂吹雪、忘れるな。黒は強さと同時にそれに見合う凶暴性を兼ね揃えている、いいか黒であることに誇りを持て。先輩からのアドバイスだ」


ヒデがそう言い終わると、視界がぼやける。

いや違う、この体を包み込むような風の働きは……落ちている。

地面が見えないところから落ちている。

ただ単に落ちてる。


「誰か止めてててぇぇぇぇぇぇええええええ」


とっさにそう叫んだ。


ドタンッ

音と共に首筋辺りにものすごい衝撃が走る。

だが落ちた高さと痛みが釣り合わない。

目を開けてみると、見慣れた天井。荷馬車でオレが使っている部屋だ。

そして落ちたオレの隣にはベッド。

まさかの夢落ち? いやそもそもなんでオレは自分の部屋にいる?


「やっと起きました、雪」


声のした方向を見るとツバサがいた。


「広場であなたが倒れてるのを修羅姫が見つけてきてくれたんですよ」

「倒れてた?」


広場にいたのはクレナから強制退出を食らったからだろう。

それにしても今の夢は一体?


「そう言えば雪、東の門は大丈夫なのですか?」

「あ」


慌てて玄関を飛び出した。




東の門の状況は、予想以上の被害だった。

ゴーレムの大半が壊され、その瓦礫を積み重ねバリケードとして活用していたのだろう。

今ではもう役に立たないほど崩壊している。


《酷いありさまだな》

あぁ、そうだな。立て直すことは可能か?

《この程度の魔獣、我らにかかれば》

《無論、余裕だな》

そうか、それは安心した。

《だが我らの力を使うのなら、門を開けよ。無駄に死者を出したくない》

巻き込まない方法は?

《《ない》》


二人が息をそろえて言う。

そう簡単に行ってくれるけど、ゆうこと聞いてくれるかな? 

特に帝国兵さん、頑固者多い感じがする。


「全員退却しろ、これ以上の戦闘は無意味だッ」

「誰が小娘なんかの言う事を聞くかッ!! 危ないから、街の中に入ってろ」


やっぱりそう簡単にはいきませんよね。


「ぐほぉ」


オレに気を取られたせいか、帝国兵の一人が敵にやられる。

だから言ったのに、退却しろって。

とりあえずポーションかけとりゃいいかな?

「ゴ、ゴホッ」

咳をしたってことはどうやら何とかなったのかな?

うん、何とかなったということにしておこう。

さて、どうしたら頑固者さんたちが言う事聞いてくれるのやら。


「うおぉぉぉおおお!! 前線を立て直せ!! それまでは死んでも死にきれないぞぉおお」


帝国兵にはあんな老人もいるのか!!

ブラック企業すぎでしょ。

さてとどうやら、前線を立て直すことが出来ればいいのか。


「ちょ、お嬢ちゃん。何してんだ、腕に覚えがあるとしてもここは俺たちに任せて早く街に戻れ」


後ろからオレのことを心配してくれてか、帝国兵から忠告が入る。


だけど


「その忠告はそのままアンタらにお返しするよ。黙って見てな」


抜刀、一閃

斬られたカマキリ型の魔物が黒い塵となる。

まずは一匹。


『『PDUOOOO!!』』


仲間がやられた敵を取る為か、他のカマキリ型の魔物が寄ってくる。

どうやら前線に攻めていた、魔物もこちらに来たみたいだ。

好都合。

この世界に来てまだ試していないことがあった。

『ウェポンスキル』俗にいう必殺技だ。

確かドラキラのこのアバターにはソードスキルを何個か覚えさせていたはず。


PDUOOOO!!


ちょうど一体こちらに飛びかかってきた。

カウンターやってみるかな。


えぇと、確かゲームでの行動はこんな感じに構えて…


煙逆えんぎゃく


襲い掛かってきたカマキリの鎌を捌き、首元にもう一本の刀を刺す。

その一連の動作が、まるで実態を持たない煙のようにクネクネした動きの為その名がつけられたらしい。

まぁ、名前負けだね。


「さてと次は、大軍技」


『ザラサラマ』


魔力を込めた刀を振れば、その斬撃が其処に留まるというソードスキル。

カマイタチの現象を参考にした技だ。

簡単にいうと斬撃を設置する、時限式爆弾みたいなものだ。


今の攻撃で、大変が塵となった。

これで、頑固な帝国兵も退却す――


「新手だ!! 森の中より複数の毒樹人ポイズン・ジュレイトス及びに腐敗した大山羊ゾンビ・カプリコーンの群れが出たぞッ!!」


―る気はまだないみたいだ。


近づかれる前にかたをつける。


《ティターニア!!》

《承知した》


首輪が赤い光を放ち、その光がやがて俺を包み込む。

暖かい、それでもって優しくて安心できる光だ。


≪ユニットチェンジVer炎の王≫


深紅のドレスに身を包み、燃え上がるようなオレンジ色の紙が風に揺れる。


「お、お嬢ちゃんなのか?」


前線にてオレを心配してくれた帝国兵だ。

どうやら危険を承知でここまで追ってきてくれたらしい。


「アンタ、危ないぞ。心配してくれたのはうれしいけど、今すぐ街の中まで避難しな」

「しかし、嬢ちゃんは!? それに俺は帝国兵だ、俺いや、帝国兵全てはこの街を守るためにここに来た。退却するわけには」

「なら、アンタの上司に伝えな。東の門には、『陽炎の魔術師』が参上したとな」


≪宿主、我が力を使え。≫

我が白き炎は終焉を知らせる、火蓋也。

今ここに終わらせるためにこの力を振るうおう。

顕現せよ、《|終焉を告げる白き夜明け(サグピース・ホワイトアインワフ)》


指輪から赤い光が溢れ視界を奪う。

だがそれは一瞬の出来事で、光が収まるとオレの両手には二丁の白い銃が握られていた。

凄く重たい、物理的な重さとかじゃない。これは、平和に対する信念によってできている『思いの強さ』だ。


《さぁ、舞うぞ宿主。退屈なステップは踏むなよ》

「あぁ、最高の舞台にしてやるよ」


そう言ってオレは、銃に魔力を込めた。

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