第51話 ファージの街総力戦 西の門 白虎vs黒獅子 後半
青白い光を輝かせる落雷が先ほどまでいた地面を焦がす。
が、避けた先にもすぐに落雷が走る。
常に動いていなければならい。――全く雷は厄介だ。
だが、あちらもタダで雷を生み出しているはずはない。あれだけの数の雷を起こせば、それ相応の魔力を消費しているはず。
雷が途切れた時、そこを一気に叩く。
DOGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNNNNNNNNNN
一際大きな音を立てて雷が落とされる。
先程よりも速く大きく、それで眩しい閃光、避けるのは難しい。
ならば、こうするまで
『対魔の魔眼』
雷を魔眼で相殺する。
恐らく今の雷で決めに来たのだろう。
その証拠にあんなに激しかった雷の雨が止んだ、でわ次はこちらから攻めるとしよう。
『無化の牙』
この技はファージの街に来る途中、主から提案された技だ。
「獣なら獣らしく爪や牙を使って野生感出して戦ったらかっこいいよな」
あの時の主は目を輝かせていた為、「遠慮する」とは言えなく、一緒に技を作り上げたがよくよく考えたらとても強力な技となった。
元々獣に備わっている鋭い牙を魔力で補強し、更にそこに魔力で覆った牙をベースに邪眼の力を纏わせる。
故にこの牙はいかなる身体強化の魔法を貫く……はずだった。
何故だ? 何故牙が通らない?
これではまるで鋼を噛んでいるような感触。
「パキンッ――」
「チッ!?」
牙を折られた。素手でだ。
信じたくはないが身体強化をせずにこの強度だというのか?
「フッ、フフフ、フハハハハハハ」
笑えてきた。
だがこの自然と出る笑いは、戦意を喪失して全て諦めた為ではない。
あぁこれは強敵と戦える時の喜び。
「ウラアァアアアアア」
追い打ちをかけるかのようにビャッコ殿の姿が青く光りだす。
あの姿がうわさで聞いた『白雷の姿』か。
確か己の中に流れる生体電流を操り、自身の筋肉の制限を限界を一時的に解除し、己の限界を超えた力を使うようになるだったか?
それはまさに諸刃の剣。反動は我が思っている以上の痛みを味わっているはずだ。
限界は近い。しかもあのままでは間違いなく体が崩壊する。
彼女がなぜそこまでして勝ちを取りに来るのかは分からないが、わかることは今の我に勝ち目はないということだ。
獣の牙を通さぬ肌は先ほどよりも柔らかくなっているだろうが、我の牙が届く前に恐らくやられる。
だがそれは、今の我だったらの話。
我が授かった力は、別に変身する能力ではない。
『進化し続ける』これが我が主から授かった力。
あくまでベースが、「ヒューマン」「セリアンスロゥプ」「ビースト」なだけだ。
さぁ超えるか、今の我を。
欲するのは今よりも強い力。
欲するのは今よりも速い速さ。
欲するのは今よりも高い魔力。
そして、今よりも強力な魔眼、いや、もっと上……我が欲するのは邪眼!!
我がそう願った瞬間、体が紫色の光に包まれる。
体が再構築されていくのが分かる。
細胞一つ一つが熱い。
やはり想像していたよりも痛むな。
だが、目の前で今でも倒れそうにも関わらず、戦う姿勢を見ているとこう思ってしまう。
彼女が倒れる前に早くこの姿で戦いたいと。
「ウォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!」
紫色の光がはじけ飛ぶ。
古い皮膚の下から強靭な新しい皮膚が生成され、折られた牙は、生え代わり鋭くより殺傷能力に長けたものになる。
爪は、大地を掴みやすく、その上力を籠めやすい形に。
そして瞳は、赤き魔眼から魔族を連想させるもっと濃い赤色へ。深紅の邪眼へと進化を遂げた。
力が沸き上がる。これが進化か。
「待たせたな。ビャッコ殿、さぁ戦いの続きと行こうか」
「ウラァァァァァァ」
まるで我の進化が終わるのを待っていたかのように、ビャッコ殿は立っていた。
いや訂正しよう。口元がにやけている、待っていたようだ。
自分の意識がなくても本質のバトルジャンキーは発動しているみたいだ。
ビャッコ殿が、地を蹴ることを合図にこちらも動く。
ドンッ――
ビャッコ殿の飛び蹴りに対しこちらは受けの姿勢をとる。
力は互角。
だが、速さは向こうの方が上。
それに、四足歩行ではビャッコ殿の技を捌くことはできない。
ならばこうするまで
「モード:セリアンスロゥプ」
変身中、ビャッコ殿の怒涛の拳が襲い掛かかろうとするがもう遅い。
残念だがそれは残像だ。
残像に攻撃を仕掛けるビャッコ殿に今度はこちらから攻撃を仕掛ける。
「ぐはぁ」
綺麗に鳩尾に入った。
その際にビャッコ殿の口から空気と共に黄色い鱗粉が吐かれる。
「ゲホッ、ゲホッ、わ、私は今まで何を?」
どうやら体内にあった鱗粉が出た為正気に戻ったらしい。
「敵の策略にはまっていた。大丈夫か?」
「えぇ、そうですか。私は従者失格ですね、主様の命により街を守るように言われたのに逆に滅ぼす側に回っていたなんて」
ビャッコ殿が肩をすくめる。
今回の場合仕方ないかったので主は許してくれると思うが。
彼女は彼女なりに追い目を負っているんだろう。
「起きてしまった過去を変えることはできない。ならば今からそれの償いを行えばいい」
「償い?」
「あぁ、我はビャッコ殿との戦いに夢中で今更気づいたのだが敵が進軍して来ている。これを打破することが償いだ」
「やります、是非償わせてください」
「宜しい、ならば。一時的だがこれは我からの付与効果だ受け取れ」
邪眼の効果、一時的だが対象者に魔眼の効果を付与する。
つまり、我はの持つ邪眼は対魔の邪眼、そして今ビャッコ殿の瞳に宿るのは対魔の魔眼。
これでビャッコ殿は鱗粉の中を自由に動ける。
「さて我は先ほど見つけた鱗粉を降らせている大元を叩きに行ってくる、地上の敵は任せるか?」
「えぇ、勿論」
「大元を叩いたら我もそちらに向かう」
「そのころにはもう地上の敵はいないようにしています」
「そうかそれは頼もしいな、でわまた」
「はい」
さて、進化した我が力思う存分使わせていたたこうか!!




