第45話 ファージの街防衛線
雪様が迷宮に赴いたタイミングでのこの蟲の魔物たちの進行。
偶然とは少々思いずらいですね。この騒動が終わったら犯人を炙り出してあげましょう。
おっと、また一人冒険者の方が倒れましたね。
見た感じ死んではいないようなので念動力で安全地帯まで送ってあげますか。
それにしてもこの街の冒険者の皆さんはレベルが低いですね。
逆にここまで弱いと足手m……冒険者の方々の被害が大きくなりそうです。
ですが、人手が足りなくなるというのはというのはずいぶん痛い。
さてどうしましょう?
……ん? その心配はやっぱりありませんね。
いったん冒険者の皆さんには下がってもらいましょう。
「すまんな狐の嬢ちゃん。うちの者の面倒駆けちまって」
「いえ、私は雪様に言われたことを私はしただけです。それよりもオキナさん、冒険者の方々に前線から下がるように頼めませんか?」
「出来ないことはないがどうしてだ?」
「足手まt、いえ冒険者ギルドの力を借りなくてもこの程度の敵は私達だけで十分だということです」
「ええ?」
だってこの魔力は私の最強の主様、雪様ですから。
◇
全くどうなっているんだ?
迷宮から出てきたらそこら中魔物で溢れかえっているは、やっとの思いで森からでれたと思ったら、ファージの街は魔物の群れに襲われているは、しかもなんだあれ前線が機能していない。
ギリギリ街の外で冒険者たちが張っている感じだな。だが崩れるのは時間の問題だな。
オレがいない間に何があったんだ?
「主様、ここから先は私が道を開らきます」
迷宮での攻略で蟲の魔物は火を嫌うことが分かった。
そのため、本来ならスザクに任せたいところなのだが先程の豚の伯爵の殺意に当てられた修羅姫が伸びているため修羅姫をおぶっている。
本来ならオレがすべきなのだろうが、扱えるのは一発の魔力の消費が悪く、そして先ほど使えるようになったばかりの白炎魔法だけだ。
それにあの調子ならファージの街での戦闘は避けられないだろう。なら今はビャッコに甘えよう。
「しかしおかしいですね。こんな数の魔物が一斉に街に攻め入るなんて、まるで何者かが意図的に、しかも普段単独で活動する魔物が……指揮系統がいるのか?」
「カガト、憶測でものを言わないでください。主様の思考に邪魔が生じます」
「それはすみませんビャッコさん。ですので手の中で発生させている雷解いてくれませんか?! それが今にもこちらに飛んできそうで怖いのですが……」
魔物の群れを抜けてファージの街まで突っ切っているのにあまりにも緊張感がない。
器用なものでこの二人走りながら喧嘩している、というかこの二人あまり親しいイメージがなかったのだが迷宮から出てきてからずっとこうだ。
まぁ同じ雷魔法を扱う者同士にしか分からないものがあるのかもしれない。
ただカガトが言ったことは可能性としてはあり得る。だとしたらそいつを潰せば、
「ほら、今ハエの魔物仕留め損ねましたよ」
「あれはあえて仕留め損ねたんです。無駄な魔力を使わない賢い選択です」
いや、今の魔物をビャッコは仕留めようとしていた。
だがハエの魔物に避けられた。
ビャッコのレベルはおよそ700あるこの時点でもはや敵なしといっていい……魔族以外は。
何故避けられた?
「ああっ、主様大変です。ゲンブが張っていた結界に綻びが」
ビャッコが叫ぶ。
まずいな。ゲンブが操る植物の結界をアリ型の魔物が……ってこの世界にもシロアリはいるんですね。
結界が巨大な大樹のためアリの数も膨大だ。
綻びがどんどん大きくなっていく、このスピードではオレ達が付くころには全壊している可能性が高い。
だけど一度にファージの街になだれ込むのをみすみす逃すわけにはいかない。
「アトラス、行くぞ」
《承知した》
ユニットチェンジ、ver水の王
ゲンブが張っている結界の上に巨大な雨雲をイメージする。
幸いにもゲンブが張っている結界は神樹の結界、効果は物理攻撃のダメージカット、水属性の攻撃の無効化。
だからファージの街の影響を考えずに撃つことができる。
《にわか雨にしては、少々やりすぎる気がするが》
アトラスが静かに告げる。
と同時に結界の上に尋常じゃない激しい雨が降り出す。
やがて雨水は濁流となり、神樹の木目を伝い地面にアリどもを叩き落とす。
この隙を利用して、結界が修復されていくさすがゲンブだ。
ん? 蟲の魔物たちが一斉にこっちに来ている?
連帯しているのか? これはカガトが言っていた可能性が濃ゆいな。
だが、ちょうどいい。この魔物の群れを一掃しますかね。
この数の敵だ。求めるものは効率と数、先程よりも大き目の雨粒を降らし、より多くの雨を降らす巨大な雲を作り出す。
うん、意識はしてなかったけど完璧な積乱雲ですね。
「全員オレの近くに固まれ!! これから降るゲリラ豪雨の巻き沿いになりたくないならな」
オレから半径三メートルまでは雨の範囲から除外する。
全員、逃げ込んだのを確認して大雨を降らす。
雨粒を大きくしたのは、雨粒自身の重量を上げ多のは落下のスピードを上げるためだ。
これにより大地に降り注ぐ雨は地面を抉るほど破壊力を得る、勿論直撃を食らった魔物はスクラップ状になっている。
「これは、天変地異なみの魔法ですね。まるで先程の豚の伯爵が使うほどの、使われている魔力はそれ以上の」
カガトが小声でそう呟く。
多分、オレに聞こえないように言ったつもりだろうが今のオレは水の王。
オレが操る水が聴いた音や見た映像は頭の中に直接入ってくる。
まぁ自覚してるから今更傷ついたりはしないが。
さて、自分でやっておいてあれだが雨量をミスったみたいでこの殺人雨は止む気配がない。
雨が止むまではこちらも身動き取れないが、蟲の魔物の全体の四分の三は潰せた。
あとはファージの街にいるみんなを信じてこの雨が止むのを待つしかないな。




