第41.5話 ガラクタの王ジヤ
ほんとは子供のころから憧れてきた冒険者になりたかった。
だけど夢というものはいとも簡単に期待だけさせて結果はいつもオイラを苦しめてきた。
冒険者の夢は魔力が足りないから無理。オキナのじいちゃんに勧められて作り始めた武器造りも形は良くできていても、肝心の中身が何もない。
――使えないただのガラクタ。
オイラの武器を手にしたものみんながそういった。
いつからだろう。
自分の小屋に籠ってただ自分の魔力を上げるために研究に没頭し始めたときは。
少しでも効果が見込めるといわれたものを片っ端に試していって、気が付いたらオイラの体自身が限界を上げてボロボロになって。
だけど魔力は手に入らなかった。
神様をどれだけ恨んだだろう、なぜオイラをこんな体にしたんだって。
また恨んだ後には対照的にどうか魔力をくださいって願った。
だってそうだ。
魔力があれば冒険者にもなれたし、鍛冶師でもクレナ様みたいになれたかもしれない。
魔力が欲しい魔力が欲しい魔力が欲しい魔力が欲しい魔力が欲しい魔力が欲しい魔力が欲しい魔力が欲しい
気が付いたらもう後戻りできない場所まで来ていた。
禁術を使って、魔族と取引をした。
内容は膨大な魔力と引き換えに街の結界を消す。
分かっていた。
街の結界を消すという行為がどれだけの被害が出るか。
だけど魔力が欲しくてたまらなかったオイラにとってこの条件はとても甘い響きがした。
――でも現実はそう甘くなかった。
魔族がくれたもの、それは確かに膨大な魔力だった。
しかしそんな魔力オイラの肉体じゃ支えることができなかった。
だから火の妖精族としてのオイラは一度死んだ。
そしてオレは生まれ変わった魔妖精として。精霊の誇りも捨て、肉体を捨て、すべてを新しく作り変えた。
湧き出る無尽蔵な魔力、以前の肉体ではありえなかった身体能力、そんなオレに更に力を与えてくれるユニークスキル『無限の武器庫』。
しかしこの時点でオレは魔族に嵌められていた。
その魔族と協力して作った人工迷宮はオレを幽閉するための場所。
魔族はオレがここまで強くなると思わなかったみたいだ。
ましてやユニークスキル持ち、いつ自分が裏切られるとしたら十分危険な存在だと判断されたらしい。
だから魔族はこの迷宮の最終エリアにオレを幽閉した。
ただ広い部屋に一人で何週間も過ごした。
別に退屈はしなかった。
剣を作って作って作りまくった。
この時にはすでに外側はどうしても納得のいくものが作れなくなっていた。
そしてオレはようやく気付いた。
どんなに強い力を手に入れても、オレが作れるものはガラクタだということに。
一度、最終エリアから出てマグマが沸くエリアで全て処分した。
無論ただ処分したんだじゃない。
ユニークスキル、『無限の武器庫』を使用してエリア中にいた魔物をすべて狩りつくした。
もともと魔物に当たって一発で壊れるほどの使い物にならない武器だ、後悔なんてしいない。
武器がすべて尽きたころオレのレベルは100代だったものが気が付くと800にまで上がっていた。
試してみたい、今の自分の実力を
だがここにはもう強い奴はいない。かといってこの迷宮から出たとしたらあの魔族に気付かれる可能性が高い。
「ちくしょう、何もできないじゃねえか」
怒鳴り声が誰もいない部屋に響き渡る。
やりたいことができない=退屈
「そうだ、武器でも作るか」
しかし武器は作る気が起きない。
やる気が起きない=退屈
「なぁ誰か助けてくれよ。退屈で死にそうなんだよ」
そんな彼の独り言が静かに響いていった。




