第41話 初の迷宮探索(8)
「さてとこれどうすればいいかな?」
天秤の欠片は四つのうち三つは手に入った。
しかし索敵スキルを使用し場所を確認してみるもやはりマグマの中に沈んでしまっている。
というかなんでマグマの中に沈んでんのに溶けてないわけ?
見た限り、他の三つは鉄製だぞ。
まぁ、この際それはどうでもいい。
肝心なことはマグマの中の物をどうやって回収するかだ。
いくらレベルがカンストしていてもさすがにマグマの中に入ることは不可能だ。
またオレの知る限り、マグマに潜航できるようになるスキル、アビリティは一部を除いては知らない。
そう一部を除いてだ。
ドラキラのモンスターにはマグマの中で生活を営む魔物やドラゴンがいる。
そしてそのモンスター達にはマグマ潜航というアビリティが具わっていた。
もしこのエリアにそんなモンスターがいたらテイムすれば……。
ってここトラップ階層じゃん。モンスターいないじゃん。
てっことはツミゲーじゃん。うわーまじないわー。
いやいや、ちょっと待て。
マグマからくるダメージは火属性のダメージに分類されたはず。
なら火属性のダメージを軽減するアイテムを使ってオレが入れば……
ってオレは自殺志願者か? あほなのか?
いやでも確かに今の案は使える。
オレの変わりにククル糸を使えば何とかなる。
そうと決まればやることは一つ。
ククル糸に魔力を込める。するとククル糸が魔力を帯び黒くなる。
えっなんで!?
色が変化したことに驚いて鑑定スキルで見てみたら、どうやらククル糸は何度も魔力にあてられることでより強靭により伸縮性の高い糸になるみたいだ。
正直な感想、これは糸ではないワイヤーに近い。
まぁ強靭になったのならこちらとして支障はない。
とりあえず対炎魔法の巻物<スクロール>を取り出しククル糸に付与させる。
そして完成した対炎魔法が付与されたククル糸をマグマに浸けてみる。
うん、溶けてない。これはいける。
徐々にククル糸を浸していきかき混ぜるみたいにマグマの中を探っていく。
カツンッ――
何か硬いものに先が当たった。
多分場所的に天秤の破片だろう。手繰り寄せるようにこちらに持ってくる。
!?
お、重い。
先ほどまでこちらが手繰り寄せていた天秤の破片から逆に引っ張られる。
最悪だ。ちょうどこの場所に索敵スキルに敵影反応が出ている。
鑑定スキルで相手の情報を表示させようとしたときより一層強い力が加わり阻止された。
「いいよ、そっちがその気なら本気で付き合ってやるよ」
ククル糸に流していた魔力を弱め、伸縮可能な状態に戻す。
「そおれぇ―――――――――――――!!」
ククル糸を力技で全て引き上げる。
その衝撃で出来たマグマの大波からそいつは現れた。ちょうど頭のてっぺんに禍々しい光を放つ破片を載せて。
PAAAAAAAOOOOOOOOONNNNNNNNN
わぉ、さすがにこれは予測できなかった。まさか|象が釣れる<・・・・・>なんて。
万環の象、ガネスファント。
ドラキラのモンスターで唯一環境により生態が変わる魔物だ。ちなみに火山では皮膚が岩ごとく硬くなり耐熱性や炎に対する耐性も上がっているためマグマにもぐることもできる。
性格は非常に温厚だったはずだがどうもこのガネスファントは荒々しいみたいだ。
それにこのガネスファント腹が妙に膨れてる。
妊娠している可能性がある。
これは少しやばいかもしれない、ドラキラでは繁殖期の魔物やドラゴンは確か強化個体だった。
もしこれがこちらの世界に適用されるとしたら……。
鑑定スキルでガネスファントとの状態を確認していく。
レベル700でやはり妊娠している、そしてこのガネスファント擬態のアビリティを持っている。
道理で索敵スキルが発見できなかったわけだ。しかも状態異常が暴走状態となっている。
暴走状態なのは多分天秤の破片の影響だろう。
どうしようかな、ただでさえ繁殖期の相手は厄介なのに暴走状態ときた。
出来れば頭に乗っかっている破片だけ取りたいがあそこに上るのは少し隙ができすぎてしまうな。
魔物には悪いが、やはり倒してしまうのが無難だろう。
刀を抜き構える。
PAAAAAAAOOOOOOOOONNNNNNNNN
自分に今から起こることを察してか、咆哮を上げながらその巨大な鼻をオレに向かって叩きつける。
もちろん避けたが衝撃で砕かれた岩盤の破片がこちらに飛んでくる。
まぁ破片はレベル補正のおかげで見切れることができるため、そこまで避けることには苦労しない。
しかしこの破片のせいでガネスファントに近づくことが一向にできない。
この破片どうにかしないと。
「痛っ」
いくら見切れるとはいえ対策を考えるのに夢中で被弾してしまった。
しかし痛みは一瞬で収まった。
ソフトボールサイズの破片が肩にめり込んだというのに。
元の世界だとしたら、腕は骨折どころでは済まなかっただろう。
だけどおかげでこの現状を打破できる方法をおかげで思いついた。
――それは突撃あるのみだ
飛んでくる破片を避けることはしない。
鋭い破片で何度か切り傷ができたが、もう次の足を踏み込む時にはすべて塞がり元通りになる。
PAAAAAAAOOOOOOOOONNNNNNNNN
ガネスファントが鼻からマグマを放出してきたがそんなもの当たらなければ意味はない。
足に魔力を込めマグマが当たるか当たらないかのところでさらに加速する。
その際、足裏で何か爆発したような感触が伝わってきたがその爆発の感触でオレは勢いがついたまま前に飛び出る。
「おんどりゃああぁぁああああ!!」
勢いに身を任せてどこかの調査する兵長さんもびっくりするような回転切りをガネスファントに与えた。
『魔力爆発』のスキルを手に入れました。
ステータス画面にそんな文字が表示される。
PAOOONNN・・・・・
後ろから倒れる音が聞こえた。
さて、破片を回収しよう。
「なんだ?」
後ろを見たときなぜかこのガネスファントと目が合った。
ガネスファントに聞いたのは何となくだ。当然言葉なんて通じるわけでもない。
ただこのガネスファント何か変だ。
もうとっくにエイチピーは0の数値のはずなのになぜ消えない?
いや違う、何故ここまでして生にこだわる?
ぴちゃ、ぴちゃ
ガネスファントから傷口から流れる血とはまた別の液体が地面を濡らす。
まさかこの状態で破水しているのか?
paoon
弱弱しくガネスファントが吠えた際、肛門から順に頭、体、そして尻尾が現れる。
この状況で出産した。あたかも自分の命を奪ったもの前で新しい命を産み落とした。
ガネスファントは自分が産んだ子供を見ると喜びに満ち足りた目で見つめ、安心した様子で光の粒となり消え去った。
何故かその光景に何故か深い悲しみと罪悪感を感じた。
paoon paoon
生まれたガネスファントは母親を探しているのだろうか?
目がまだ開いてないらしく放っておいたらマグマの中に落ちてしまうかもしれない。
≪開け、我が宝物庫≫
別にこのガネスファントをテイムしようとは思っていない。あくまで保護だ。
もともとはこの迷宮は虫系の魔物しか生息していなかった。
つまりガネスファントはこの迷宮の外部から連れてこられた可能性がある。
この件が終わったら生息地を調べて送り届けてあげよう。
ガネスファントはまだ歩くことすらできない状態のため、宝物庫についてある納屋に連れていく。
宝物庫までは魔法道具の人形の執事を使用して運ばせた。
後、人形の執事にツバサにガネスファントの世話を任せる伝言を頼んだんため心配はいらないだろう。
さてと、天秤を組み立てて早く次の階層に向かいますか。




