第35話 初の迷宮探索(2)
二日連続投稿。
前半は雪視点、後半はキツナ視点です。
「ぬはははは。貧弱、貧弱ぅ!!」
唯一精霊以外で斥候部隊に放り込まれたあh……ではなくてスザクが先程からキャラ崩壊を起こしている。
どこぞの吸血鬼かな?
まぁそのスザクのおかげでオレがいる本隊は稀にスザクの業火を潜りぬけ瀕死の状態の魔物にしか遭遇しない感じだ。
ちなみに瀕死の状態の魔物は、修羅姫が止めを刺している。
そのおかげで修羅姫は迷宮に入ってから6レベルは上がっている。
また迷宮は別に入り組んだりしているわけでもない為、今のところは一本道だ。
「隊長、前方およそ20メートル先に上に登れそうな階段を発見しました」
精霊の目を通して、隊員が告げる。
ちなみにオレは精霊召喚をしてみたが、召喚できる精霊はいなく魔力の無駄遣いになってしまった。
え? んじゃ何でスザクの状況が分かるかだって?
簡単だ。
あのアホがはしゃいでいるせいで、うす暗い洞窟だった迷宮もアホの炎で所々燃えている為だ。
足元が分かるくらい照らされている。
「全員詠唱開始。ゲートキーパーの出現に備えろ」
バチョフが指示を出す。
ゲートキーパーとは迷宮の階層主と捉えていただければいいだろう。
PIIIIIIIIIIEEEEEE!!
甲高い鳴き声が迷宮に響き渡る。
さっそく出てきた。
多分、今出てきた魔物がゲートキーパーだろう。
見た目はカエルだが、鼻先に鋭い角がある。
そしてサイズも大きい。バチョフが上に乗っても潰れないだろう。
イッカクガエル。
ドラキラでは初心者向けに作られたモンスターだ。
だが、レベルが高いため油断はできn
――シュパン
訂正しよう。
油断があっても大丈夫だろう。
なぜなら、アホが一撃で仕留めた。
「次の階に行くぞ」
アホが先頭を切って階段を登り始める。
バチョフは苦笑いしつつ、隊員に告げる。
「スザク殿につづけ」
バチョフの命令でオレ達は次の階層に進む
◇
~ファージの街の外壁の周辺より~
「とりあえず、結界の方は魔力を供給するパイプに問題があったみたいですね。お手伝いありがとうございますキツナさん」
カガトがそう告げる。
雪様からの命令でなければ、こんな男となんて当然一緒に居ない。
それに今回の件が終わったら雪様が褒美として『一日だけ何でも言うことを聞く』という約束をしてくれた。
あぁ今からでも楽しみです。
お昼の間は二人きりでお出かけをそして夜になったら二人きりで熱い夜を……。
「あぁ、雪様そんなだめです。そこはそこだけはッ……!?」
「あのキツナさん……?」
おっといけない、願望が口から漏れていました。
ん? カガト何でそっぽを向いて言うんですか! 何で赤面してるんですか!?
こちらまで恥ずかしくなるじゃないですか!!
「それでは問題は解決したという風に捉えればよろしいのですか?」
慌てて平常心を作り出します。
「いえ、まだ終わってはいません。結界をを張りなおすには新しいパイプが必要になります。パイプは報告があって早くて一週間で帝国から届くと思いますが、その期間中だけはこの街は無防備になります。その期間の間だけでも魔法に長けているファルゥ様のお力を借りようと思いましたがまさかの魔族落ち。しかも自殺をされていましたし」
ファルゥという名前が出てきて少し焦りましたが、自殺と処理されたみたいですね。
しかし確かにこの街はしばらく無防備になりますね。
外壁の門は閉めたとしても、空からの敵は防げませんし。
「どこかにこの街覆うほどの結界を張れるくらいの驚異的な魔力を持った魔術師なんているわけないですよね」
カガトが苦笑いしながらいいます。
どうしましょう。
一人だけ知っています、しかも今この街にいます。
「その結界は必ずしも半透明のような物だけに限りますか?」
「それができるのは巫女様くらいだけでしょう。 仮にできたとしても普通の魔術師の結界は曇りガラスと例えるのがよろしいかと」
「曇りガラスですか、では曇りガラスではなくてどんな攻撃にも耐えうる丈夫な大樹の結界等はどうでしょう?」
カガトの目が光る。
「木の精霊の力を借りて結界を張るということですか? いい案だと思いますが一番近くの森は迷宮の影響により瘴気に侵されている為、木の精霊を使うことは無理だと思いますよ」
今の言動から察るにこの世界の生き物より精霊界に住む精霊たちの方が魔力量は多いみたいですね。
「いつ誰が精霊に頼るなんて言いました?」
「へ?」
カガトが間の抜けた返事をしましたが、一応許可はいただけましたし呼び出しますか。
《雪サクラの宝物庫の番人として命じる。主の障害を討ち滅ぼさんとするために力を貸せ!!》
詠唱が終わると目の前に魔方陣が現われ、強い閃光を発しながら回転し始めます。
そして一気は眩しい閃光が終わると魔方陣の中に片手に本を持ちその男は立っていました。
「全く。近くに居るのだから召喚などしなくてよろしかったのでは?」
「呼びに行くのが面倒でしたので、結界を張ってください。ゲンブ」
守護者一高い防御力および魔力を誇るゲンブ。
そんなドラゴンだったゲンブの二つ名は『堅甲鬼亀』。
鉄壁な守りと強大な魔力により放たれる魔法の一撃で幾度もドラキラのプレイヤーを苦しめてきた鬼の強さを持つ亀と雪様から説明を受けたことがあります。
そんな彼に任せれば大丈夫でしょう。
「お任せを」
ゲンブはそう言うと地面に片手をつけ一言。
「緑よ芽ぶけ」
一瞬で膨大な魔力が地面に送り込まれ、地震が起き外壁を囲むように次々と木々が次々と生えていきます。
例えるなら花の成長記録を早送りにして一瞬で花が咲く。
それの木のバージョンだと思えばいいかと。
そして遂には外壁にツタをからませ外壁を飲み込み、石で造られていた外壁が元々から木で作られていたようにもみえるまで達します。
神樹の結界、攻撃を加えてきたものに対し巨大樹が攻撃を返すドラキラの木属性最強の魔法の一つ。
「あ、あり得ない。人がこんな魔法をくりだすなんて」
カガトが興奮気味に言います。
雪様からの話ですと、この世界の龍は絶滅した。
生物最強クラスの龍が扱う魔法の強大さなんて初めて見たのでしょう。
まぁこれでも本来の力の半分も出している気はしませんが。
「結界は無事張り終わりましたよ」
ゲンブが涼しい顔でそう告げてきます。
「お疲れ様です。意外と早く済ませましたけど手を抜いたりは……」
「残念ながらしてませんよ。それより私は早くこの単語の意味を知りたいから戻りますね」
ゲンブはそう言うと歩きだします。
言ってくれれば先程と同じように荷馬車まで送って差し上げるのに。
カガトは隣であの植物結界を観察してから戻ると言ってますし、雪様が早く戻ってくること祈りつつ私も荷馬車に戻りますか。
あぁ雪様早く戻ってこないかな。
キツナ視点では少しだけお色気(?)要素入れてみました。
少し不快になった方には申し訳ないです。




