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黒の英雄譚 ~漆黒の女帝~  作者: 涙目 ホクロ
職人の街 ファージ
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第33話 ファージの街(11)仮題

「お母さん?」

「……へっ?」


ヒョウが連れて来ていた少女が目を覚ましたと聞いたので様子を見に来た。

どうやら記憶が混濁しているようで俺のことを母親と見間違えてしまったらしい。


「あれっ、私、何を言ってるんだろう?」


「いいよ」と返したもののこの先はどうすればいいだろう。

ヒョウから聞く限りでは自分の名前も思い出せないらしい。

記憶喪失、強いショックを受けて過去の出来事や名前、最悪の場合幼児退行などになってしまう意識障害。

元の世界ではドラマなどの設定で見たことがあったが、いざ本物を見るとどう処置すればいいか分からない。


「主よ。鑑定スキルでハクを見ることは可能か?」


ヒョウが提案してくる。

そうか鑑定。鑑定スキルで鑑定すると鑑定したものの情報が知れる。

そうだ。何で忘れていたんだ? 


「ああ、やってみるよ」


鑑定スキルを発動する。

普段なら視界に鑑定したもの情報が表示されるのだが。


「なんだこれは?」


ほとんどの情報は文字化けしていた。

名前、スキル、出身地、称号全て文字化けしている。

唯一分かるのはレベルと愛称、種族の項目。

どうやら鑑定スキルで生き物を鑑定する際は、鑑定する生き物の意識に関係があるらしい。

昼間の影蜘蛛(シャドースパイダー)の死骸が鑑定できなかったことがいい例だ。

種族は半魔族の混血種、レベルは42とかなり低い。

半魔族とは人と魔族、もしくは魔族と獣人が交配することで生まれるらしい。

元の世界で例えるならハーフというところだろう。


「何か分かったか?」


ヒョウが質問してくる。


「いいや何も分からない。」

「そうか。やはり一筋縄ではいかぬな」


それにしてもこの白髪どことなく俺に似ている。

案外この子の母親は俺に似ているのかもしれない。

ん? そういえば何でさっき俺のことをお母さんと呼んだんだ?

何か手掛かりになるかも。


「ねぇ、ハクちゃん。どうして俺のことお母さんと思ったのかな?」


できる限り優しくハクの目を見ながら聞く。

ハクの目は美しい赤色の目で見ていると吸い寄せられる感じがする。


「私、雪さんを初めて見たはずなのに何故か懐かしくて安心して口から出てきた単語が――ッテあれどうしてだろう? 涙が」


地雷を踏んでしまったかもしれない。

昔から明によく言われたな「吹雪はデリカシーの欠片もないよね」って。


「ごめん。その何か喋りたくないなら喋らなくていいから」


ヒョウがお前って「ホントデリカシーナイヨネー」と目で訴えてきているなか俺は必死にハクを慰める。

てかヒョウお前少しは手伝ってくれよ!?


「すみません。取り乱してしまって」


ようやくハクは少し落ち着いてくれた。

俺が慌てふためいている間にヒョウは部屋から退室し、この時間的にロビーのソファーでツバサ達と本を読んでいるだろう。

後で覚えてろよ。


「あの雪さん。私ここに居て迷惑じゃありませんか?」


不安そうなにハクが聞いてくる。

小さいのにしっかりした子だ。


「大丈夫。記憶が戻るまではここに居ていいよ」

「不安ではないのですか? こんな得体の知らない私をここにおいてくださることは」


本当にしっかりしている。

むしろこんな状態の子を一人で野放しにする方が不安だ。


「不安がないわけじゃない。正直不安だらけだよ。でもねハクちゃんをこのまま一人にさせることがもっと不安かな」


本で読んだことだが何千年も前に戦争は終わり、魔族、魔人の差別は世界の決まりで事実上(・・・)無くなった。

だが未だに戦争の名残で差別は現在も残っている。

その為、魔族のほとんどは魔族領から出たがらない。中には差別を無くそうとして勇敢に立ち向かうものもいるらしいが。

しかし、魔族領から出た者の行く末は奴隷落ち。

してない冤罪の罪を課せられ、奴隷として働かせられか性奴隷として他種族の快楽の為だけの道具として扱われる。

胸くそ悪い話だ。


「それにさ、ここは怪物の類しかいないから大丈夫だよ」


そうここに居るのは龍、妖狐、天馬、魔獣、修羅姫はどうなるだろう?

まぁいいか。


「だからさ、安心してここに居ていいよ」

「ヒョウさんと同じこと言いますね」


ようやく笑ってくれた。

それにしてもヒョウがこんなことを言うとは、先程の件はチャラにしよう。


「ところでお母さん……ボフッ!!」


何となく今のハクの気持ち分からないわけではない。

小学生の頃の担任のことをお母さんと呼んでしまった恥ずかしい気持ち。

間違いなくハクは今その気持ちを味わっている。

ハク自身自覚はしていないだけで多分母親の雰囲気と俺が似ていたのだろう。

ん、そうだ。


「ねえハクちゃん。ここに居る間は俺のことをお母さんと思っていいよ」


自分でも何を提案しているのか理解できない。

というか顔が熱い。多分俺は今赤面している。

ハクは一瞬「ナニイッテンダコイツ?」みたいな顔をして、俺の言葉を理解してくれると全てを悟ったような顔をして一言。


「そうゆう趣味なんですか?」


違ああぁああう。

次から迷宮攻略へ行こうと思います。

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