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黒の英雄譚 ~漆黒の女帝~  作者: 涙目 ホクロ
職人の街 ファージ
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第30話 ファージの街(8)仮題

な、なんなのだ、この少女は。

言われるままに連れられてきたが、まさかこんな亜空間を作り出すとは。

連れてきたカガトに至っては状況を読みこめていないな。


「さぁ始めましょうか。バチョフさん」

「ま、待て。疑っているわけではないのだが貴方がこの空間で不正を働いているか確かめさせてほしい」


これは夢だ。

このような魔力の濃さの亜空間は巫女様が作られる『神の遊び場』と同じくらいだ。

でわ何故このような少女に作られようか?

いや、無理だ。仮に魔族でも力の強い者なら匹敵するかもしれないが目の前に居る少女は人間だ。

まぁそれは今どうでもいい。

私は勝てるのか? 

いや勝たねばならまいここで無駄に若者の命を散らすことが止めることができるなら。

もうベルのような未来ある者の命を見捨てる気はない。

絶対に勝つ!!


「お待たせした、それでは始めよう。カガト合図を」

「はい、バチョフ様。それでは試合開始!!」


さぁ、どこから掛かってくる?


しかし自分の予想とは裏腹に彼女は仕掛けてこない。


「何故掛かってこないのですか? 貴方にとってはこれが最後のチャンスかもしれないのに」


彼女は何も言わずただ自分に向かって手招きする。


なるほどカウンターを得意とするとみた。


それにしても先程の件といいずいぶん舐められた物だ。


これでも千年帝国の第八部隊隊長を張っているんでね。


――負ける訳にはいかない。


「でわこちらから参るとしよう。何まずは下見程度だ」


私は体を魔力を覆う。


さぁ行くぞ!!


魔力で強化した足で少女との間合いを詰める。


そして自慢の丸太のような剛腕で少女を吹き飛ばす。


普通の少女ならこれで致命傷だろう。最悪は死んでいる。


――が今私が戦っている相手に対してはそれは失礼だろう。


「いやぁー、女相手に手加減ないですね」

「千年帝国で第八部隊は守りの部隊として名が知れ渡っているのでな。どうやら腕が鈍っていたらしい」


やはりな、手応えがなかった。


「動きだけなら貴方は怪物ですよ」

「本物の怪物がそういうか?」

「仮にもレディーに対して失礼じゃないですか?」


これから目の前に居る少女を人として扱うのはやめよう。

なんせこの攻撃を魔法を使い避けた痕跡はない。

つまり肉眼で音速に匹敵する剛腕を見切り、避けたということ。

人ができる業じゃない。

人の形をした化け物としてこれからは扱おう。


「まぁ先ほども言っただろう。これは下見だ」


そうこれはあくまで下見。

本番はこれからだ。

背中につけていた盾を手に取る。


「我が望み。――それは万人が望む平和を守る壁となること。力を貸せ『絶対的守りを誇る盾ナイト・オブ・キャッスル』」



最初は盾だけで戦うつもりだった。

しかしこの胸が高ぶる感じは久しぶりだ。

先程から自然と口が笑みを浮かべてしまう。

長い間、忘れていた感情『歓喜』。

すまないなベル、兄ちゃんは少し昔に戻る。

一緒に冒険者をしていた時のように、そんな俺を許してくれ。


「この俺に『ナイト・オブ・キャッスル』を使わせるなんてお前死ぬかもしれないな」

「うすうす思っていたがお前転生者だろ。今思い出した。見たことあるもんその盾『ナイト・オブ・キャッスル』は変形すると腕に纏わり付いて二本のブレード状になる。ドラキラでそんな武器を使う海外の兄妹のプレイヤーがいたことを憶えている。確か大会に向かう途中の飛行機の事故で亡くなったと聞いた」

「へぇーってことはアンタも転生者か? いや違うな転移者か、まぁいいそれならそのでたらめな強さに納得がいく」


そう、俺と妹は死んだ。

そして転生してこの世界に来た。

時間軸はどうやら世界によって違うらしく、俺と妹はこの世界で16年間同じ村で育った。

最初は不安だけだったが幸いにも転生しても俺達は兄妹だった。

そうやって何年も過ごしていくうちに、俺達はこの世界に慣れて行った。

そして転生前からのあこがれ冒険者になった。

転生者というわけで異世界補正も入っていたため何とかなると思っていた。

だが、現実はそう甘くなかった。

妹が死んだ理由それは俺が強いモンスターを討伐しまくった為、冒険者ギルドの連中からの期待の的で俺の妹を見ていた。

そんな俺に追いつきたくて妹が向かった先、この世界で一番難しいといわれる迷宮ダンジョンに挑んだ末に死んだらしい。

同行していた冒険者によると妹は強いレベルのモンスターに微笑みながら自分から突っ込んでいったらしい。

まるで俺が強いモンスターを相手にしていた時のように。

そして妹は自分よりも強いモンスターに無謀に挑み殺された。

骨すら戻ってこなかった。

そこから俺が冒険者を辞めるまでそう時間はかからなかった。


俺がこいつを止めた理由はこいつに妹を重ねてしまったからだろう。

全く自分が情けない。

いつまでたっても妹の幻想を探している自分が。


だがまぁ約束は約束だ。


俺が勝ったら、こいつらには悪いが迷宮から手を引いてもらう。

盾が二つに分断され、俺の両腕に纏わり付く。

そして腕全体を包み込むと形状を変え、手首から肘にかけて鎌状の刃をもつ腕へと変わる。



「攻撃は最大の防御ってな。死にたくなきゃうまく避けろよ」



本気の俺を見せてやるッ!!

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