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群青のアウトル  作者: しゅん
8/15

アレンの相棒

この作品はフィクションです。

実在の人物や団体とは関係ありません。


 “リーン“


 アレンはまだカリスティにいた。


アレン「この音はルシエル公子様にわたしたベルの音だな。」


 カリスティの港にためた自分の商船でアレンはお茶を飲みながらくつろいでいた。アレンのイヤーカフにルシエルに渡した鈴の音色が聞こえた。そんなアレンの隣には女性がいた。彼女はアレンの姉である。名をアヴィアという。


アヴィア「あら、お仕事の連絡?」


アレン「そう。どうしたんだろ?何か急用かな?」


 アレンは立ち上がって、口笛を吹いた。すると、空から白い鳥がビュンと飛んできた。甲板に立つアレンの前に留まるとその形状をゆっくりと変えていく。鳥の姿から少年の姿へと変わった。


アレン「仕事だよ。カルファ。」


 白い肌に白い羽毛を持った少年カルファ。彼は、動物の特徴を持つ人の種、デミリアだ。


カルファ「ちょうど暇してたんだ!何処にいけばいいんだ?シーラか!?それともアクアか!?オイラは蘭華がいいなぁ〜!綺麗なメスがたくさんいるからな!!!!」


アレン「はははっ、ごめんね。アリスチナだ。」


カルファ「アリスチナだと!?すぐそこじゃないか!!!」


アレン「ごめんね。でも大事なお客様だから、ちゃんと届けて欲しいんだ。」


カルファ「わかったよ。アレンの頼みなら仕方ないか。」


アレン「ありがとう。あとで姉さんがクッキー焼いてくれるみたいだから、戻ってきたら一緒に食べよう。」


カルファ「アヴィアのクッキーか!?やったぜっ!!!」


 カルファは嬉しそうにはしゃいで、再び鳥の姿に戻った。


アレン「この手紙を、ルシエル公子様に届けてね。あ、カルファがデミリアであることはバレちゃいけないよ。」


カルファ「わかってるさ!」


アレン「頼もしいねカルファ。いつも助かるよ。」


カルファ「えへへっ。任せてくれよ!相棒!」


 そう言ってカルファはアレンの周りを一周すると、凄まじい速さでアリスチナの方に向かって行った。


アヴィア「あっ、カルファちゃん。もう行っちゃった?」


 慌てた様子で来たアヴィアの手には、巾着袋が握られていた。


アヴィア「お弁当なくて大丈夫かな?」


アレン「向かったのはアリスチナの王都だから、問題ないよ。わざわざ準備してきたの?」


アヴィア「帝国内なのねっ!よかった!」


アレン(姉さん……可愛い。)


 その頃、カルファはアリスチナにもう到着していた。


カルファ(ベルの位置は…このあたりだ。)


 カルファには自分の羽の位置追従の能力をを持っている。連絡用のベルにはカルファの羽がついており、カルファはその羽を目印にベルの持ち主のところまで行くことができる。


カルファ(あの部屋だな。)


 カルファは王宮にいるルシエルを見つけた。部屋の窓際に止まって窓を叩いた。


 中にいたルシエルはそれに気がついた。


ルシエル「鳥?」


 窓を開けて、カルファと相対した。カルファは目の前に現れたルシエルをみて驚いた。


カルファ(すげぇ美人!!アレンのやつ、こんな美人のお客さんもいるのかよ!!!)


ルシエル「珍しい鳥だな。」


 そう言ってルシエルはカルファを掴んだ。


カルファ「ピッ!?」


 片手で体を鷲掴みにされて、じっくり観察された。少し雑な掴み方で握られて、苦しくなったカルファは暴れてルシエルの手から逃れた。


ルシエル「わっ、ごめんごめん。」


カルファ(なんなんだこのメスは!!!!!美人のくせにオスみたいなやつだな!!!!)


 怒りながらカルファはルシエルに自分の右足を差し出した。それをみて、ルシエルはカルファの足についた手紙に気がついた。


 鳥の姿のカルファを撫でながら、ルシエルはその手紙をよんだ。


【ご連絡ありがとうございます。僕は今、カリスティの港にいますので、至急の用事であれば、用件をこのカルファに付けていただければご対応できますよ。】


 ルシエルはそれをみて少しホッとした。アレンがドレスの取り扱いをしているかは賭けではあるが、選択の一部としてアレンに連絡をした。


ルシエル「君、カルファっていうんだ。」


カルファ「ピッ」


ルシエル「いい名前だね」


カルファ(アレンがつけてくれた名前だからな!当たり前だ!!)


ルシエル「少し、待っててくれるかな?」


カルファ「ピッ」


ルシエル「いい子だね。」


 ルシエルはカルファを撫でて、手紙を書き始めた。青色のドレスを探していることと、それが至急必要であることを手紙にまとめた。


 アレンは届いたその手紙を読んで、倉庫にピッタリなものがあるのを思い出した。


カルファ「あのメス、美人なのに、オスみたいにガサツにオイラを掴んだんだ!!」


 アレンの元に戻ってきたカルファは、ぷんぷん怒りながらソファに寝転がってクッキーを食べていた。


アレン「メス?あの人は男性だぞ。」


カルファ「なっ!?あいつオスだったのか!?」


アレン「そうだよ。確かに公子様は綺麗な顔してるもんね。勘違いしてもおかしくないよ。僕も能力がなきゃ、きっと勘違いしていただろうし。」


 そう言いながら、アレンはドレスが入った箱をいつくか船の倉庫から持ってきて机の上に広げた。アレンは広い人脈から、たくさんの商品を取り扱っている。見たものの価値や詳細がよくわかるアレンは取り扱う商品の種類に限りがない。


アレン「青色じゃなきゃいけない理由はなんでなんだろう?そもそも、公子様がどうしてドレスなんか?」


カルファ「メスに渡すんだろ?あんなに綺麗なオスなら番がいたっておかしくないだろ。鳥の世界じゃ、美しいやつがモテるんだ。」


 そこに、クッキーのおかわりを持ってきたアヴィアが部屋に入ってきた。


アヴィア「あら、アレンは知らないの?カリスティで有名なロマンス小説のワンシーンにあるじゃない。」


アレン「それ、前に姉さんがハマってたやつ?」


アヴィア「えぇ!“ 愛しい君には自分の色を身につけてほしい。“って、そう言って自分の瞳と同じ色のドレスをヒロインに贈るのよ。とってもロマンチックよね。」


 うっとりしながらそう語るアヴィアを見て、アレンとカルファは顔を見合わせた。


カルファ「それの何がいいんだ???」


アヴィア「愛されてるって感じがするでしょ?」


カルファ「オイラは鳥だからわかんないや。」


 そう言ってクッキーを手に取ってまた食べ始めた。カルファの大好物はアヴィアの焼いたクッキーである。


アヴィア「アレンはそう思うでしょ?」


アレン「あー、んー、えーと…」


カルファ「アレンも人間だからわからないんだろ。」


アヴィア「やだ!私だって人間よ!!」


カルファ「そういえばそうだった!あははは!」


アヴィア「もう、失礼なんだからっ」


 ぷんぷん怒りながら、カルファの隣に座って同じようにクッキーを食べるアヴィア。これが彼らの日常風景である。


アレン「姉さんがドレスを欲しがっていたって、兄さんに伝えておくよ。」


 アレンがそういうと、アヴィアは驚いた顔をしながら、耳まで真っ赤にした。


アヴィア「そんな…私は別に舞踏会に出る予定なんてないのよ!」


カルファ「照れすぎだろ。」


アレン「特別な日にもらうんだろ。なら、もうすぐ姉さんの誕生日だし。誕生日は特別な日だろ?」


アヴィア「でも…ドレスなんて……もらっても勿体無いわ」


アレン「着る機会がないわけじゃないし、いいじゃん。…うん、そうしよう。兄さんもどんなものを贈ろうか、この間悩んでいたしね。」


カルファ「ボスももうネタ切れなんだろ。素直に貰っておけばいいだろ。」


アヴィア「ネタ切れって言わないでよぉ…」


 アヴィアは真っ赤にした顔を隠すように手で覆って俯いた。そんな様子にアレンは微笑んで、手紙を書き始めた。


アレン「カルファ。明日また、アリスチナに向かってもらってもいいかな?」


カルファ「おう!いいぜ!またあのメスオスのところに行けばいいんだな!」


アレン「…メスオスって、失礼だろ。」


カルファ「オイラは鳥だから、人間のそうゆうのはわからないんだ。人間の社会は狭くて自由に飛べやしない。」


アレン「カルファは自由だな。」


 そうして翌日、カルファは再びアリスチナにいるルシエルの元に朝早くに飛んだ。





 

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