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075⚫️言った以上は
また座礁した・・・。
工廠に届いた報告書を読みながら、アーレン・フォルクスは深く息を吐いた。
図面に間違いはない。
船体の強度も、帆の設計も、補強材の選定も、すべて計算通りだ。
それなのに、どの航路を選んでも必ず座礁する。
’何かにぶつかる’という曖昧な表現だけが、報告書の欄を埋めていた。
「岩礁の位置が移動するはずもないのだが・・・。」
独り言が漏れる。
技術者として、説明できない現象ほど気味の悪いものはない。
そこへ、工廠の扉が勢いよく開いた。
「アーレン・フォルクス、至急来い。将軍閣下のお召しだ。」
バルハイン将軍。嫌な予感しかしない。
だが、呼ばれた以上、行かないわけにはいかない。
将軍の執務室に入ると、バルハインは机を叩きつけるように言った。
「どんな岩礁に当たっても、損傷しない船を作れ!」
アーレンは一瞬、耳を疑った。
「・・・将軍、それはつまり、決して沈まない船を作れと?」
「そうだ。」
「不死身の艦、ですか?」
「そうだ。」
無茶にもほどがある。
だが、バルハインの目は本気だった。
’闘う前に敗北している’という焦りが、言葉の端々から滲み出ていた。
アーレンはゆっくりと息を吸い、そして吐いた。
「承知しました。技術屋として、必ず解を見つけます。」
言った以上は、やるしかない。
技術屋とは、そういうものなのだ。




