38/74
054⚫️アーレンという男 & 055⚫️工廠会議:混乱から始まる創造
054⚫️アーレンという男
工廠を統括する、アーレン・フォルクス。
四十を過ぎた技術者だ。頑固で、口が悪い。
だが、工廠の若い連中からは妙に慕われている。
’失敗は恥じゃない。考えないことが恥なんだ’
それが彼の口癖である。
前王が一代で南の大陸を統一できたのも、
アーレンのような技術者を基盤として育てて来たからである。
彼らは技術を武器にしている。その誇りは、誰にも負けない。
055⚫️工廠会議:混乱から始まる創造
工廠の大広間に技師たちが集まった。皆、緊張した面持ちだ。
黒板に大きく書かれた文字
空を飛ぶ巨体をどう仕留めるか?
若い技師が手を挙げた。
「巨大な鳥のようなものなら、翼を狙えば落ちるのでは?」
「翼があるかどうかも分からん」と別の技師が返す。
「では、網で絡め取るのはどうでしょう。漁師たちがクジラを捕らえるように。」
「空で網を広げるのか? どうやってだ」
議論は紛糾した。
だが、私はその混乱を見て、むしろ安心していた。
混乱は、考えている証拠だからな。




