第14話「フーカ」‐①
「少し困っていることがあって。最近こちらへ干渉しようとする者がいるの」
お使いを終え、二人は各々割り当てられた部屋で休息をとっていた。タイハクはひと眠りした後に、アバニの手入れをするために外に出る。おそらく外は夕方になっているのだろうが、
この世界は変わらず高い青空が広がっていた。落ちかけた染料をつけ直し、装備品の数や状態を確認する。そうして休んでいると、タネが話があるとわざわざ外に呼びに来たのだった。
居間では先に呼び出されたのだろう、オウが待っていた。
「こちらに干渉って……」
切り出された話題に、魔法使いは小首を傾げる。
「私の家ね。花畑と、池、それから……この小屋」
「でも、普段は魔法で隠してるんでしょ? そんなほいほいと開けられるものじゃないと思うけど」
「そうね。ヒビがあっても本来は見つけられないはずなのだけど……少し抜け道があってね。それに気づいた人がいるみたい」
「もしかして……その人から、ここを守ってほしいってこと?」
「いえ、それは難しい話でしょう。そんなに簡単な相手ではないわ。引越しをするの。その間だけ守ってほしいのよ」
「護衛ですか」
「そういうことなら!」
「それはよかった。じゃあ少し用意をするから、それまで部屋で休んでいて」
そう言ってタネは用意をするために部屋の外へ出てしまった。居間に残された二人は、顔を見合わせる。
「抜け道って……そんなものあるのか?」
「どうだろう。この空間、結構強固な作りになってるし……内側からじゃないと開けられないと思う」
「外から勝手に開けて入る場所ではない?」
「そうそう。……確かに言われてみれば変な話なんだよね。私だって、鍵のかかった入り口を、こう……無理やり壊して入ったようなものだし」
「あの時そんなことやってたのか!?」
「まぁ……急ぎだったから」
「やってることは強盗と変わらないんだな……」
「ま、間違いないけど、言われるとちょっと」
照れくさいなあ、などと言いながら、オウは頭をかく。そうじゃないと言いかけて、タイハクは話を戻した。
「つまり、抜け道は元々作ってあった?」
「そうだね。それこそ本人しか通り抜けられない道があるんじゃないかなとは思うんだけど……それを見つけるってなると、私以上の魔法使いか、それ以外のなにかか……分かんない」
「普通の人が見つけられるものではないんだよな」
「そのはず。だけど、なんか変な気もする」
いまいちしっくりこない、そんな風に魔法使いは首を傾げて話をしめた。




