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三〇〇年目のラスト・オーダー

コールドスリープから目覚めた時、宇宙船の空気は死に瀕していた。それも物理的に。人工知能「ステラ」の声が、無機質に状況を告げる。


「おはようございます。目的地まで残り1%。ですが、酸素供給維持装置が限界です」


一気に目が覚めたわたしはステラに尋ねる。

「解決する方法は?」

「コールドスリープ中の搭乗員全員分の酸素を賄うために私の酸素を遮断します」

それはステラにとっては自殺と同義だった。生体コンピュータの維持にも酸素が必要なのだ。

他に眠る乗客千人ためにステラの酸素供給を遮断し生命維持に回す。それが彼女の決断であった。わたしが困惑していると、彼女はホログラムの指先で、かつて彼が教えた「微笑み」を不器用に再現した。


「では、お疲れ様でした。良い旅を」


一分後、船内の淀んだ空気を吹き飛ばすように新鮮な風が吹き抜けた。そして私はマニュアルでの運転の準備に向かいながら、強く壁を叩いた。

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