表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/7

SIDE 伊緒 -カオス-

どうしたら良かったんだろう。

菫さんが受話口で言った”付き合ってる訳じゃない”。

これを受け入れるのに、脳が遅滞する。

あれから一週間が経過していた。


解んない。

その足で菫さんのアパートのドアを叩けば良かったの?

次の日にでも図書館に行き、想いを告げれば良かったの?


「田口、この返却図書、棚に戻して。」

同じ図書委員の津田に言われ、俺は何冊かを手にし、図書室を歩き回る。

「この織戸悠ってお前がよく読んでるやつだろ?何か賞、取ったよな?母ちゃんが買ってた。」

それ、菫さんから借りるって言ってた本だ。

「面白かったって?」

「んあ?何か深い、とか、解ってんだか解ってねーんだかの感想だったな。」

津田が鼻で笑った。


織戸悠の作品は、時折、彼の中だけで話が進行しているような描写がある。

勿論、それを理解させるだけの布石は、作品の何処かにあるのだが。

全てに受け入れられる推理小説だとは思わない。


・・・俺の中だけで、恋の様な気持ちを押し進めていた?

菫さんに想いも伝えず?

”キスしたい”と言った事や、彼女を抱きしめたいと言う感情は彼女の中に

布石として伝わっていただろうか。

・・・伝わっていなかった。


これは現実で、ストーリーではない。

言葉にしてぶつけなければ伝わらない事だってある。




菫さん、貴女は知らないだろうけど、俺は貴女の名前をもうずっと前から知ってました。


3ヶ月前、初めて菫さんに図書館で声を掛けられて、お茶をしたファミレス。

貴女が「安藤菫」と名乗った時、俺の心臓が跳ねたのを貴女は知らないのでしょう?


2年になって図書委員になった俺は、当番の日に図書室の端末をいじくっていた。

端末上に素通り出来ない程の”アンドウ スミレ”と言う名前。

”アンドウ スミレ”で検索を掛ければ、彼女がどんな本を何日間借りていたのか判ってしまう。


この時から菫さんの名前は、俺の中にインプットされていた。


「そーいやお前、年上のセフレどうしたよ。」

「いつ俺が菫さんをセフレだなんて言ったよ。」

「え?付き合ってんの?5歳も年上と?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ