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第九話「鬼ごっこ」


夢の修行――半年が過ぎた頃。

その日、しとりは鬼になった。

いや――違う。

“そう見えた”のではない。

“そうだと、理解してしまった”。

理解より先に、

身体が“拒絶した”。

――あれは、人ではない。

金棒かなぼうを肩に担ぎ、ただ立っている。

それだけで、空気が地に叩きつけられていた。

重い。

冷たい。

「今日は――鬼ごっこだ」

軽い声。

だが、その言葉は地を伝い、足元からい上がる。

「鬼ごっこ?」

桃太郎は笑おうとして――止まる。

世界の方が、しとりに“従った”。

音が消える。

風が止まる。

色が、濁る。

「ルールは簡単だ」

「私が鬼となり、お前を追う」

一歩。

距離の感覚が、狂う。

「そして――渾身こんしんの一撃を放つ」

沈黙。

「生き残れば勝ち。死ねば負けだ」

息を吸う。

――満たされない。

「本気でやる」

その瞬間。

――恐怖が、流れ込んできた。

(……動けない)

足が凍る。

指の感覚が消える。

心臓が、速い。

ドクン、ドクン、ドクン――

(死ぬ)

理解した瞬間。

――そこで、普通は終わるはずだった。

――もう一つの鼓動が、混ざった。

ドクン。

“違うリズム”。

(……何だ、これ)

身体の奥で、何かが目を覚ます。

熱い。

恐怖とは、逆。

燃えるような衝動。

(壊せ)

(分かるだろ)

声がした気がした。

(逃げるな)

(それが一番、楽だ)

胸の奥、魂の底から響く。

(――壊し尽くせ)

「――」

視界が、わずかに赤くにじむ。

しとりの姿が、“敵”として輪郭を強める。

(あれを、壊せばいい)

一歩、踏み出しかける。

――その瞬間。

「……違う」

一歩、踏みとどまる。

桃太郎は、歯を食いしばった。

(これは……オレの“まま”じゃない)

熱が、暴れようとする。

内側から突き上げてくる。

胸の奥底……魂。

(全部、壊せばいい)

(こんな恐怖――消せる)

「……ふざけるな」

低く、吐き捨てる。

(これは……“力”だ)

(オレじゃない)

呼吸を整える。

無理やりにでも。

吸う。

吐く。

暴れる鼓動を、押さえつける。

「……使うもんだろ、力は」

目が、戻る。

赤が引く。

まれるもんじゃない」

その時だった。

「一分やる」

しとりの声。

まるで、慈悲のように。

「――逃げろ」

……一分?

(……嘘だ)

(こいつが、待つはずがない)

(動け)

今度は、動く。

恐怖はある。

だが、さっきとは違う。

“理解している恐怖”。

(死にたくない)

それだけを、握る。

弾けた。

走る。

地を蹴る。

振り返らない。


(この夢の中の一年――)

しとりの声。

(あいつは――二つを持っておる)

(人の弱さと、“それ以外”)

得体えたいの知れない魂)

(どちらに傾くかで、すべてが変わる)


「――遅い」

背後。

“いる”。

振り向く前に。

金棒かなぼうが、落ちる。

――何も起きない。

一拍。

もう一拍。

世界が、消えた。

轟音ごうおん

衝撃。

気づけば――空にいた。

理解が追いつかない。

ただ、逃げている。

わしつかまって飛んだか。仙術せんじゅつ軽身けいしんを覚えたな」

下を見る。

そこにあったはずの山が、消えている。

音だけが、遅れて届いた。

仙術せんじゅつ極爆破ごくばくは

内部から破壊するわざだ。極めれば山一つ消し去ることなど造作ぞうさもない」

桃太郎の鼓動が、高鳴る。

(……さっきの衝動なら)

ふと、よぎる。

(あれと、やり合えたかもしれない)

「……違う」

即座に、打ち消す。

(あれは――勝ちじゃない)

(ただの、破壊だ)


走る。

限界が近い。

だが、止まらない。

(来る)

「もう一撃だ」

今度は、見る。

理解する。

軌道きどうを読む。

“逃げるために”。

振り下ろされる。

結果が来る。

大地が裂ける。

(右――!)

紙一重で、外す。

身体が悲鳴を上げる。

それでも。

――生きている。


「……なるほど」

「一度見ただけの極爆破ごくばくはを、見よう見まねで繰り出し、威力を殺したか……」

しとりがつぶやく。

あらがったか」

わずかに、笑う。

「よく逃げ切った」

「桃太郎。お前の勝ちだ」


意識が、落ちる。

その直前。

ドクン。

――ドクン。

二つの鼓動。

だが今度は。

もう一つの方が、

ほんのわずかに、

“主張していた”。

(……抑えきれて、ない……)

暗転。

「……鬼は、突然現れる」

しとりの声。

「そして――内にも、な」

桃太郎を見下ろす。

「さて……どこまで人でいられるか」

「それもまた、“鬼ごっこ”じゃ」

風が、吹いた。

その胸の奥で。

二つの鼓動が、

静かに――きしみ合っていた。

まだ、どちらも譲らないまま。

しとり鬼バージョン

18歳の少女。

落ち着いた雰囲気をまとい、静かに立っているだけで周囲の空気を引き締めるような存在感を持つ。

細く整えられた眉はやや吊り上がり、深みのある紅色。

鋭くまっすぐな瞳は強い意志を宿し、相手を見極めるような視線を向けている。

口元には余裕のある微かな笑み。

勝気で自信に満ちた性格が自然とにじみ出ている。

長い紅い髪を後ろで一つに束ね、動くたびに揺れて活発な印象を与える。

前髪は軽くふわりと流れ、顔まわりに柔らかさを加えている。

体つきは引き締まった健康的なシルエット。

寅柄(虎柄)をモチーフにした戦闘用の軽装衣装(ビキニ風デザイン)を身につけており、

装飾的な帯や布が加わることで、露出を抑えつつも野性味と力強さを感じさせる。

巨大な金棒を軽々と担ぎ、圧倒的なパワーを感じさせる。

強い眼差しと堂々とした立ち姿。

まるで「私に勝てる?」と問いかけるような、自信に満ちた少女。画像生成。


ChatGPTで画像生成できます。

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