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第四十五話大和編『鬼侵戦・地獄界攻略篇』終局

大和編『鬼侵戦・地獄界攻略篇』終局

三つの地獄が、同時に軋む。

炎が唸り、

空間が歪み、

斬撃の“結果”だけが、現実に貼り付いている。

世界が――耐えきれない。

空気が悲鳴を上げていた。

その中心で。

静かに、拍手が響く。

王仁

「……見事だ」

黒衣の男は、ゆっくりと歩み出る。

その眼は、もはや観察者のものではない。

測り終えた者の目だ。

「計測は終わった」

一歩。

空間が沈む。

「次は――戦だ」

重圧が、落ちる。

炎が膨張し、

空間が裂け、

見えない斬撃が、現実を削る。

三つの地獄が、溶け合い――

圧縮される。

歪みは、やがて“形”を持つ。

複合地獄界――《王理奈落》。

王仁

「私の地獄界は単一ではない」

手を広げる。

「最適化された支配構造――」

一拍。

「“王の理”だ」

空間が、完成する。

桃太郎が、笑う。

桃太郎

「……やっと本番か」

神庭の雷が、弾ける。

神庭

「最初からそれ出せよ」

残像が揺らぐ。

「手間かけさせやがって」

矢掛が、静かに分析する。

矢掛

「三重……いえ、それ以上」

目を細める。

「空間・因果・現象――すべて同時に握っています」

哲西(獣)

「……来る」

その瞬間。

“欠けた”。

音もなく。

前触れもなく。

“そこだけが存在しない”。

???

「……腹が、減った」

裂け目から現れる。

骨。

骨。

骨。

無数の死体を繋ぎ合わせた、巨大な骸。

喰界鬼――餓者髑髏。

眼窩の奥で、“飢え”が燃えている。

「強い魂……巫女か」

次の瞬間。

消失。

美咲

「――え?」

奈義の銅鐸が鳴る前に。

真備が振り向く前に。

日生が紙を裂く前に。

四人の巫女が――

“存在ごと消えた”。

風だけが、遅れて通り過ぎる。

神庭

「……は?」

低い声。

「今、何が起きた……?」

矢掛が、断言する。

矢掛

「転移ではありません」

一拍。

「“捕食”です」

静かに。

「存在ごと、喰われた」

沈黙。

桃太郎の笑みが、消える。

桃太郎

「……返せよ」

低い声。

怒りは、静かだ。

だが――

王仁が、笑う。

王仁

「目的は達した」

指を鳴らす。

その瞬間。

赫牙。

玄策。

裂蒼。

すべての鬼が、一斉に気配を引く。

神庭

「逃げる気かよ!!」

踏み込む。

だが――

進めない。

触れた瞬間、削られる。

王理奈落。

絶対支配領域。

王仁は、背を向けたまま言う。

王仁

「勘違いするな」

歩みは止まらない。

「退いたのではない」

一拍。

「“選別”が終わっただけだ」

空気が、凍る。

「お前たちは――」

振り返らない。

「盤上に置く価値がある」

一拍。

「だから、生かす」

その言葉は、あまりにも軽い。

桃太郎

「……どこへだ」

王仁が、わずかに顔を向ける。

底のない目。

王仁

「鬼ヶ島ではない」

闇に溶けながら。

「王の戦場は、もっと深い」

完全に消える直前――

「鬼ノ城」

「すべては、そこで終わる」

闇が閉じる。

王理奈落が、崩壊する。

地獄が解ける。

静寂。

残されたのは――

崩壊した大和。

裂けた大地。

焼けた空。

そして。

奪われた、仲間。

神庭

「クソが……!!」

雷が爆ぜる。

哲西が、膝をつく。

哲西

「……連れていかれた……」

声が震える。

矢掛が言う。

矢掛

「……宣戦布告です」

一拍。

「救うか、捨てるか――選ばせるための」

沈黙。

桃太郎は、空を見上げる。

拳を握る。

そして。

前を向く。

桃太郎

「……決まってる」

一歩。

踏み出す。

「取り返す」

もう一歩。

「全員だ」

風が吹く。

焼けた匂いの中に――

新しい戦の気配。

これは終わりではない。

始まりだ。

――鬼侵戦・地獄界開闢

前哨戦、終結。

そして。

――鬼ノ城決戦へ。



 

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