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第二百九十二話 横に並ぶ信頼

 


「お願いします、助けてください! あのままだと、エリンジくんが、エリンジくんが!」


「わかった、わかった。分かったから、あぶねーから、そんなボスボス叩かないでくれるかね」


 遥か上空で待機していたムーワ団バナスコスの肩を、リリアは激しくビシビシ叩いていた。


 エリンジによって転移魔法で離脱させられたリリアは、飛行魔道具で空中待機していたムーワ団のど真ん中に転移させられた。


 焦っていたとはいえ、完璧主義のエリンジが誤爆したとは考えられない。

 意図的にムーワ団に飛ばされたのだと、リリアは察した。


「エリンジくんが、ここなら安全だって、私だけここに飛ばしたんです! だから、だから……!」


「……へぇ。あの坊ちゃん、結構信頼してくれてんだねぇ」


 飛行魔道具の上で暴れるリリアの話を聞いて、バナスコスがニヤリと笑う。


 舞踏会の会場では、それぞれが動いて警戒に当たっていた。

 ラグンセンの残党がいると思われる会場では、どこに敵が潜んでいてもおかしくない。

 レチマスの屋敷のどこが安全か、あの時点のエリンジにも分からなかったのだ。


 だからエリンジは唯一信頼出来て安全圏であるムーワ団のところに、リリアを転移魔法で飛ばした。


 リリアにとってバナスコスたちムーワ団は、シマスでパピンクックディビションを止める際に協力してくれた義賊でしかない。


 だがルドーやエリンジとバナスコスたちムーワ団には、お互いの信頼関係があるようだった。

 リリアの知らない間に、双方に何かあったのだろう。


 エリンジがムーワ団を信頼したなら、リリアもエリンジを信じて、ムーワ団に頼るしかない。

 だからリリアはバナスコスに、エリンジの危険を必死に訴えた。


 エリンジに頼られた信頼が嬉しいのか、バナスコスはニヤニヤと不遜に笑っている。


「にしてもレチマスの島領主屋敷ねぇ。うちらは招待されてないし、ここからだと少しかかるよ」


正義(ジャスティス)! しかし盟友の危機とあらば、馳せ参じなければムーワ団の名折れだ!」


 すぐ傍で浮遊していた、ムーワ団団長のラモジが大きく叫ぶ。


 リリアの懇願に、ムーワ団はすぐに応えてくれた。

 この様子から、エリンジの救出にも協力してくれるようだ。


 バナスコスが不敵に笑いながら、外していたフルフェイスヘルメットのゴーグルをカチッと戻す。


「ヒヒッ、そんじゃ全速力でかっ飛ばすかい。総員、動くよ! ついて来な!」


正義(ジャスティス)!」


 バナスコスとだみ声とラモジの掛け声と同時に、リリアの身体がグワンと揺れた。

 リリアは慌ててバナスコスの背中にしがみ付く。


 飛行魔道具から伸びる羽が、大きく羽ばたき始めた。

 バイクのような小型飛行魔道具が旋回し、背後のジェット機構から、魔力がドウッと噴出する。


「きゃああああああああ!」


 流星のような恐ろしい勢いで滑り出した飛行魔道具の上で、リリアは悲鳴を上げた。


 ムーワ団が一斉に剛速球で隊を組み、レチマスの屋敷に向かう。

 リリアが着ていた前ミニドレスの裾と髪飾りの花が、バサバサと激しく風に靡いた。


 背中にしがみ付くリリアの反応を心底面白そうに、バナスコスがだみ声で笑う。


「あんま叫んでると舌噛むぜ、お嬢ちゃん!」


「あのっ、そもそも、なんであそこにいたんですか!?」


 景色の変わらない海の上で、リリアは声を張り上げた。


 レチマスの屋敷に招待されていないにしても、待機するなら近場でもいいはず。

 わざわざあれほど離れた海上にムーワ団がいた理由が、リリアにはよくわからなかった。


 リリアの質問に、バナスコスが正面を向いたまま答える。


「あそこねぇ。シュミックの聖女婆さんが占ってたとこなんだけど、なーんか変なんだよね」


正義(ジャスティス)! 何らかの妨害で、周囲と変わらぬ何の変哲もない海に偽装されているようだ。だが如何せん妨害が解けず、何があるかもわからん!」


 ラモジの話に、リリアは疑問を抱いた。


 リリアも正装に着替えた後、双子王子からエリンジと同様の話を聞いていた。

 古代魔道具としか思えない、巨大な鉄の塊が海から出現したと。


 シュミックでは国で保管している古代魔道具は存在しなかった。

 だから初めての古代魔道具だと、王族は期待して浮足立ったのだという。


 しかし経年劣化が見られたので、古代魔道具の線は消えた。

 なんだ違うのかと王族たちは落胆し、シュミックでの話はうやむやになった。


 だがそれだけで話が終わるなら、わざわざ妨害魔法で海を偽装する必要はない。


「ひょっとして、誰かが、古代魔道具じゃないって、偽の報告をあげた……?」


「少なくとも、並の魔道具じゃないねぇ。妨害解除の魔道具が何一つ通じねぇからさ」


 ハンドルを握ったまま、バナスコスが推測を述べる。


 ムーワ団もただ占われた海の上にいたわけではない。

 魔力が乏しい集団ながら、何かないか探ろうと、魔道具を使用して色々と調べていた。


 しかし使用した魔道具が、尽く弾かれて使い物にならなくなった。

 普通の魔道具なら、上手く動かないだけで壊れるまでに至らない。


 強力な何かが魔力エネルギーを逆流させて、魔道具を破壊してきた。


 魔力を溜めた複数の魔道具にそんなことが出来るもの、古代魔道具ぐらいでなければ説明がつかない。


「我々はそこまで魔法が使えん! 魔道具で調べられん以上、手の打ちようがない! そこで諸君たちが調べやすいよう、何かないかと目で見張っていた次第だ!」


「正式な海路にも空路にも組み込まれちゃいないのに、飛行船やらが周辺飛んでたっぽいからねぇ」


 ラモジとバナスコスが、超速で移動する音をかき消す大声で話す。


 本来は東三連諸島のどの島にも接続しない海域。

 人通りはなくて当たり前。

 しかし記録を見る限り、やたら飛行船やら地元の船が動き回っていた情報があったそうだ。


 そのほとんどが非公式船で、調べていたムーワ団も詳しい記録は見つけられなかったようだが。


「でもうちらが見張ってる間は、トンと姿がなかったんだよ。外部者のうちらにも、見られたらまずいと来たもんだ。イヒヒヒ、きな臭いきな臭い」


 だみ声で笑うバナスコスに、リリアは不安を募らせる。


 状況証拠だけではあるが、怪しい情報が積み重なってきている。

 あの海の上には、確実に隠された何かがあるとしか思えなかった。


「エリンジくん、大丈夫かな……」


「そう心配しなさんな。あのガキんちょも強いから、並大抵のことは――――」


 突如としてドオンと大きな音が聞こえて、バナスコスが言葉を切った。


 海の先に島が見えたと思った瞬間、屋敷と思われる建物のあちこちが爆発し始めていたのだ。

 遠目に飛び散って行く屋敷の瓦礫が、宙を舞うのが見える。


 思わずリリアは悲鳴を上げた。


「エリンジくん! お兄ちゃん! みんな!」


「なんだぁ?」


「爆発とは穏やかじゃないな、速度上げろ!」


 バナスコスとラモジが超速飛行しながら正面を睨み付けた。

 超速移動していた飛行魔道具の群が、ラモジの掛け声と共に更に唸りをあげる。



 ――――だがその瞬間、リリアはあることに気が付いた。




「待って! エリンジくんが移動した!?」


 バシバシとリリアに叩かれたバナスコスが、グイッとブレーキを踏んでブオンと空中に停留する。


「移動したぁ?」


「この位置……嘘!? この真下の海の中!?」


 リリアはそう叫んで、移動魔道具の上から身を乗り出して海を覗き込む。


 夜の真っ暗な海の表面には、なにも浮かび上がってこない。

 だがリリアには怪我人探知で、肩を負傷したままのエリンジがはっきり認識できた。


 海のかなり深い場所。

 もしエリンジが上下を把握できていなければ、自力で海面まで上がって来ることは出来ない。


 リリアはバナスコスに振り返った。


「お願いします、海の中に!」


「ちょっ、うちらは空賊、海賊じゃないよ! 飛行は出来ても、海中は進めやしない!」


正義(ジャスティス)! 海に落ちた瞬間、ジェット機構がお釈迦になって海面を漂うしかなくなってしまうぞ!」


「そんな!」


 慌てた返答をしたバナスコスとラモジに、リリアは絶望した。


 リリアが怪我人探知で見るエリンジの場所は、かなり深い。

 その上呼吸が出来ていないのか、少しずつエリンジの反応が弱くなっている。


 このままだとエリンジが本当に危ない。


 リリアは半狂乱になって飛行魔道具の上で暴れた。


「私が、私が泳いで!」


「バカ言うんじゃないよ! 地元漁師でも転覆するのに、海舐めてたら死ぬよ!」


「でも、でも、エリンジくんが――――!」


「リリアちゃああああああああん!」


 海上から叫び声が聞こえて、リリアたちは一斉に振り返る。


「……メロン?」


 目に入った光景に呆然とリリアは呟く。


 海の上で、メロンが見たこともない乗り物から顔を出し、ブンブンと両手を振るっていた。


 船ではない。

 丸みを帯びた胴体が海に半分以上沈み、丸いハッチのような出入り口から、メロンは上半身だけ乗り出していた。


 近付いてくる海上の謎物体。

 ラモジとバナスコスは顔を見合わせたが、リリアとメロンを近付けるようにゆっくり降下し始めた。


 メロンは黄色いベアトップドレスのまま。

 リリアたちに向かう乗り物の上で、ブンブン両手を振り続けている。


「リリアちゃん、アリアちゃんが攫われちゃったの! 見なかった!?」


「アリアさんが? みんなで守ってたんじゃないの!?」


 海面スレスレまで降りた飛行魔導具の上で、リリアはメロンの話を聞いた。


「それがさっき爆発して、人混みにまみれて動けなくなったところを……」


 屋敷の方向を指差しながら、メロンは大声で慌てる。


 レチマスの屋敷を吹き飛ばした爆発の前に、小規模の爆発が発生して、舞踏会の会場はパニックに包まれた。


 平和維持機関エレイーネーの生徒と、その付き添い。

 一般の参加者たちは、助けてくれと我先にその場に残っていたメロンたちに群がる。


 人混みで身動きが出来ず、視界が遮られた。

 その一瞬で、アリアがメロンたちの前から消えてしまったのだ。


「だから私たち、アリアちゃんの魔力の流れを追ってきたの! そしたらリリアちゃんがいて……なにか見てない!? 飛行船とか、怪しい人影とか!」


「見てない……でもこっちも助けて! エリンジくんが海に!」


「なんですと!?」


 海面に向けてリリアが指差すと、メロンが大声で驚愕した。


 リリアはかいつまんでメロンに状況を説明した。


 ラグンセンに移った、鉄線元幹部があの場にいたこと。

 エリンジに転移させられたこと。

 そのエリンジが負傷したことが、怪我人探知で認識できたこと。

 つい先程、そのエリンジの反応が、海の中に移動したこと。


 リリアの説明を聞いたメロンは、足元に呼びかけるようにガンガンと何か叩く音を立てて下を向く。


「ねぇ! これ、海に潜ったりできる!?」


「痛い痛い! 具現化魔法の潜水艦ですから、多分出来ると思いますけど!?」


「メロン、暴れないで、揺れる」


「ハイハイハイ! 思い込みなら任せてください!」


 メロンの下から、ヘルシュ、イエディ、ウォポンの声が響いて聞こえた。


 どうやらこの見たことない乗り物は、ヘルシュ曰く潜水艦というらしい。

 ヘルシュとウォポンが魔力伝達を使い、思い込みの洗脳魔法と具現化魔法を組み合わせて、これを作り上げて乗り込んでいるようだ。


 メロンが確認したあと、大きく両手を広げた。


「リリアちゃん、乗って!」


「全員は乗れない、さっさと行きな!」


「我々ムーワ団は吹き飛んだ屋敷の確認に向かう!」


 バナスコスとラモジの声を背に、リリアは靡くドレスの裾を抑え、潜水艦のハッチに飛び込む。


 両手を広げたメロンに、リリアは飛び込むような形でキャッチされる。

 同時に上空からドウッと、飛行魔道具が飛び立っていく音が聞こえた。


「急いで! もうエリンジくんの反応がほとんどない!」


「近くに行けば、エリンジくんの魔力の流れは分かるから! ヘルシュ、全速前進!」


 叫ぶリリアとメロンの背後で、ガコンとハッチが閉まる。

 具現化魔法の潜水艦は、急速潜航した。


 ◇



「う……」


「エリンジくん!」


 ゴホゴホと海水を吐き出し始めたエリンジを見て、リリアは涙が止まらなくなった。


 具現化魔法で作り上げた潜水艦の中。


 リリアがほんの僅かになった怪我人探知で探し出し、メロンが魔力の流れを必死に手繰り寄せる。

 そうして溺れて気を失っていたエリンジを、リリアたちは真っ暗な海の中で見つけ出した。


 リリアの結界魔法でエリンジを包み、なんとか潜水艦の中まで引き上げたのだ。


「気がついた!」


「ふおおおお! 間一髪!」


「ハイハイハイ! 無事で何よりでした!」


「心臓が縮みましたや! なにしてるんですや、全く!」


 ヘルシュとメロンとウォポンとカゲツが、一斉に両手を挙げて喜ぶ。


「怖かった。ほんとに、死んだかと思った」


『呼吸しにくいなら、気管支拡張薬いる? (・_・;)』


 イエディとノースターが、ホッとした様子で胸をなで下ろす。


 リリアたちはエリンジを引き上げ、背中を叩いて海水を吐き出させながら、必死に回復魔法をかけた。


 エリンジが溺れてから、かなり時間が経っていた。

 中々気が付かず、全員がまさかと覚悟した瞬間、エリンジが息を吹き返したのだ。


 狭い潜水艦が歓喜でグラグラ揺れる。


 しかし次の瞬間、パァンという平手打ちの音が響いた。

 その場の全員が、歓喜した姿勢のまま固まる。


 リリアがエリンジの頬を、思いっきり引っ叩いた音だった。


「無茶して危ないことしないでって、いつも言ってるのに!」


「悪かった」


「無理して私を逃がしたから、動きが一手遅れたんでしょ!?」


「その通りだ」


「そのせいで回復する余裕もないくらい、危なかったんだよね!?」


「言い訳もできん」


 涙目になって、リリアはエリンジにまくし立てた。


 周囲はその勢いに圧倒され、ゆっくりと両手を下ろして一歩下がり始める。

 エリンジはどこまでも無表情に、リリアの叱咤を受けていた。


「いつもみたいに自分のことだけ考えてればいいのに、なんで私を助けたの!」


「そうしたかっただけだ」


 肩で荒い息を上下させるリリアに、エリンジが短くそう返す。


 入学式の郊外講習で、エリンジは周囲を捨て置けと吐き捨てた。

 そんなエリンジが、リリアを庇って負傷し、海に投げ捨てられるなど、どうして想像できるだろう。


 同一人物の行動には、リリアにはおおよそ見えない。

 お人よしのルドー()と行動することで、エリンジもそれなりに影響されたのだ。


 後先考えず人を助けたばかりのルドー()に、ここまで似てほしくなかった。


 周囲が固唾を飲んで見守る中、リリアはずっと考えていたことを口にする。


「……私、そんなに足手纏い?」


「違う。お前が最後に必要なんだ」


 ずっとリリアの心に刺さっていた棘に、エリンジの言葉は強く響いた。


 ルドー()はいつも、リリアを安全な後ろに置きたがる。

 だからリリアは、対等になろうと、横に並ぼうと、必死に食らいつき続けた。


 しかしエリンジは、最後に必要だからこそ避難させたと言い切った。

 回復魔法に特化したリリアが、最後には必要になると。



 安全な後ろにいるだけではない、また対等に横に並ぶために。



 いつもそうだ。

 エリンジはルドー()とは違う。

 リリアをいつも対等に見てくれていた。


 ぎゅっと握り込んだ拳の下で、ほんのりと胸が温かくなる。

 あれほど執着していたルドー()とは別に、リリアは初めて特別な感情が溢れた。


 ルドー()に影響されたが、ルドー()とは違う理由。

 エリンジはそれをリリアに示してくれていたのだ。


「……なら、無理してまでしないで」


「次からは、そうする」


 何も言えなくなったリリアは、エリンジにそう言って留飲を下げた。


 小さな溜息を吐いたリリアを見て、周囲がようやくほっとしていた。


「エリンジくん、回復して早々だけど、ヘルプ! アリアちゃんが攫われちゃった!」


「レチマスの屋敷が爆発したんすよ!」


「アーゲストさんも負傷しちゃいましたや!」


 メロン、ヘルシュ、カゲツが、どっと一斉に話し出す。


 だがエリンジは話半分に立ち上がってタキシードを脱ぐと、ぎゅっとねじり絞り始めた。

 ぼたぼたと海水が潜水艦の床に滴り落ちる。


「ここはなんだ」


「潜水艦? っていう乗り物の中だよ」


 周囲を見渡すエリンジに、リリアが簡潔に説明した。


 その間、ノースターがエリンジに近寄り、バシャッと青い液体をかける。

 液体がかかった瞬間、ジュワッとエリンジのタキシードの水が蒸発した。


「礼を言う」


『(`・ω・´)ゞ』


 そう言って周囲を見渡していたエリンジは、無表情のまま振り返った。


「ヘルシュ、ウォポン、海に何かある。そこに向かえ」


「えっ……危険な気がするんですけど」


「ハイハイハイ、もはや手遅れです!」


 進路を決められたヘルシュが狼狽え、ウォポンがヘルシュを急かし始める。

 がっくり肩を落としたヘルシュは、渋々潜水艦の中で手を伸ばし、進路を海中へと変更させ始める。


 突然進路指示したエリンジに、メロンが声をあげた。


「エリンジくん、海に何かあるの?」


「おおよそだが、そこにアリアも連れて行かれたのだろう。魔力の流れは違うか?」


「うぅん、ばっちしそっち方向示してるよ!」


 ブイブイグッジョブし始めたメロンを確認し、潜水艦の空気が緊張に変わった。


 アリアは舞踏会の会場から連れ去られた。

 そして海に、謎の物体がある。


「……お兄ちゃん、大丈夫かな」


「ルドーのことだ、どうせもうそこにいる」


 ようやくいつもの不安に戻って来たリリアの頭を、エリンジがポンと叩いた。


 ◇


「なんでフランゲルがここにいるんだよ!」


「それはこっちのセリフだ、戯けが!」


 見慣れぬ飛行船で、ルドーはライアを連れたまま大声を上げた。


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