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扉



 「よし、入ろう」


 現在は遺跡の入り口に待機していた警備の冒険者二人に確認を取り、準備の最終確認をして、ホーガンさん達と別れたところだ。


 遺跡の外観はくすんだ黄色のシンプルなもので、四角い入り口が正面にある台形の建物。

 入り口から覗いてみても中は暗く、奥の様子は確認出来ないが、辛うじて見える床や壁の部分は明るめの灰色で、汚れや傷は見つけられない。

 横幅は人が4~5人並べる程度で、床から天井までは目算4m程。


 「じゃあ、決めた通りにね」


 「「「「「「はい」」」」」」


 隊列は予め幾つかの状況に合わせて決めておいた。

 〈探知〉で後ろも確認出来て、近接戦闘も一応出来る僕が先頭、その後ろがグレン、ジウ、リーシェとアリア、レア、エントルとリュークという順番だ。

 遺跡内部には罠や魔物が潜んでいる可能性が高いし、リーシェやレアを守りつつ挟まれてもある程度戦える隊列。

 因みに、リュイには入り口で待っていてもらう事になる。


 「〈暗視〉〈光球〉」


 「光よ、力を増幅し闇に隠されたその姿をこの目に映し出せ〈暗視〉 光よ、球体を形作り辺りを照らせ〈光球〉」


 視界を確保する為に魔法で照らしつつ、念の為〈暗視〉も自分に掛けておく。明かりだけだと見辛い可能性があるからね。

 僕は前方を照らして、やや後方をジウに照らしてもらう。


 中に入ると、ひんやりとした冷たい空気が僕らの体を包む。

 照らしてみて分かったが、壁や床はかなりすべすべとした質感の綺麗な状態で、均等に切れ目のような線が入っている。

 道は見える範囲だと奥まで一本道で、かなりの長さ。別れ道がないのはそうだが、装飾なんかも見当たらない。

 進んでいる間に聞こえるのは、落とし穴対策で足元を棒で叩く音と僕らの足音に布や武器の擦れる音、話し声くらいだ。


 「今の所何も無いけど……何の目的で建てられたのかしら」


 ふと、レアがそんなことを呟く。

 確かに遺跡は過去の文明が建てたものなのだから、それには用途があるはず。


 「こんなに長いと色々不便そうだよね」


 考えられるのは、文明はこの距離をすぐに移動出来るほどの移動手段を持っていたとか、敵を迎撃するための場所だとか、その辺りだろうか。

 一本道であれば攻撃は避けにくいしね。


 「不便にせざるをえないような理由でもあった、のかな?」


 「例えば?」


 「え? えーと、危険な生物を奥に閉じ込めてた……とか」


 ジウの呟きを拾ったグレンに聞かれ、少し悩みながらも回答する。


 「こんな力を持ってた文明でも危険視するようなやつなら、僕らじゃ太刀打ちできないかもなぁ」


 もし仮にジウの予想が当たっていて、且つその生き物が未だ生きていた時はすぐに逃げようと決意する。

 そんな話は聞いたことはないし、多分大丈夫だとは思うけど……身構えておくに越したことはない。




 そのまま軽く会話を続けていると、やっとのことで一本道を抜けた。


 通路を抜けると、そこは大きめの広間。

 見える範囲の壁は傷だらけで、床や天井にも爪痕のようなものや剣戟の後のような傷が残っており、そこら中に瓦礫が散らばっている。

 他にもいくつかある柱は折れていたり傷が付いていたり削られていたりと、戦闘でもあったのかという程の荒れ様だ。

 ただ、荒れた状態であるというだけで血が付いていたりするわけでもなく、また生物等もいない。

 奥と左右にそれぞれ道があり、奥が短い一本道の先に扉、左が十字路、右が二又になっている。


 「……なんか、凄い荒れてますね」


 「先に周囲の安全確認だけして、何かないか探してみようか」


 僕がそう言うと、皆は頷いて罠の確認を始める。

 〈探知〉だとわからない罠もあるし、念には念を入れるべきだからね。


 軽く床を棒で叩きつつ、通路を照らして確認する。

 入ってきた所から見て左の道は十字路の交わる部分が吹き抜けになっているようで、それが奥にいくつも続いていた。〈探知〉にも生物や怪しいものは引っかからないし、目視でもただの通路に見える。


 (こっちは後でいいかな)


 かなり奥まで続いているようなので、後回しにして先に別の通路を調べたい所だ。

 


 レア達によると右の通路も目視で特に不自然な所は見つからないようなので、扉を調べることにする。〈探知〉は塞がれていなければではあるけど、近付かなくても結構な距離のことがわかるからね。

 因みに長さはそこまでないようで、左よりも短い。扉の先次第ではあるが、広間を調べ終わった後は右の通路から調べることになりそうだ。


 瓦礫を避けつつ扉の前に向かうと、その見た目がよくわかる。

 灰色の、装飾などはない簡素な扉に見えたが、よく見れば縁には物凄く小さい模様が刻まれおり、右中央付近にある縦8cm、横5cm程の長方形の窪みにも縁のものとは違う模様が描かれていた。


 「じゃあ、開けるよ」


 何があってもいいように、全員が扉の前に集まったのを確認してから窪みに手を掛け、左に引く。


 「……あれ?」


 しかし扉はびくとも動かず、力を入れてみても反応はない。

 試しに別の方向に引いてみても変わらず、押し引きも試してみたが無駄だった。


 「鍵がかかってる……とかですかね?」


 その様子を見て、リュークがそう言うが、鍵穴のようなものはない。


 「うーん……それにしては鍵穴もないし」


 「あのぉ……一回攻撃してみるのは、どうですか?」


 僕が悩んでいると、ジウが提案してきた。

 本来何があるかわからない遺跡の探索では大きな音を出さないほうがいいと言われているが、確かにここからなら逃げることもできるだろうし、有りかもしれない。


 「……そうだね、試してみようか。いいよね、レア」


 「ええ」


 一応レアに確認を取り、他のメンバーも否定的な意見はないようなので試してみることにする。


 「〈風切〉 ……〈蒼炎槍〉 ……無傷、かぁ」


 風切で傷がついていないことを確認し、火力の出る蒼炎槍も撃ってみたが、どちらにせよ、破壊するどころか傷をつけることすら叶わなかった。


 「……開かないなら仕方ないし、後回しにしましょうか」


 「……そうだね 〈土壁〉」


 レアの言葉に賛成し、土壁で塞いで後回しにすることにする。

 開かないのであれば、危険もないだろう。


 「それじゃあ、瓦礫片付けてみようか」


 ここにあるかはわからないが、お宝探しの始まりだ。


 「はいっ」






次は早く出せるとは。

普通に思った以上に忙しく、手をつけられていませんでした。

気が付けば12月に……しかも第一週終わる……。

今年の流れは私には早すぎるようです


余程の事がなければ失踪はしないのでゆっくりお待ちいただけるとありがたいです。

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