襲来
書いてる時に急いでいたので若干おかしなところがあるかもしれません。読み返した時にいじる可能性があります。
「……いる」
エント村からの帰り道。
その道中で、木に潜んでいる魔物と遭遇した。
「数と大きさは?」
「数は5。形的に魔蛇だと思う。大きさは小型の中程度」
構えつつ聞いてくるレアにそう返し、敵の特定に尽力する。
(茶魔蛇か暗殺魔蛇かな)
茶魔蛇は一番よく知られている茶色の全長15cm〜60cm程の蛇型の魔物で、木の幹に絡み付いている事が多く、気付かず茶魔蛇が潜んでいる木の下を通る人に樹上からの奇襲を掛ける事が多い。
但しそこまで強くなく、見つかっている魔蛇系統の中では一番戦いやすい。毒もないからね。
暗殺魔蛇はその名の通り暗殺に特化しており、見た目は茶魔蛇に酷似している。差は牙の長さくらいだ。
しかし、その凶悪性は比べ物にならず、機敏で力も強く、何も対処しなければ人を数分で死に至らしめる猛毒を持っている。
更に、動きに殆ど音が無い。
その代わり、生息地域は狭く、見つかっているのは秘境と呼ばれる場所のいくつかくらいだ。
(いつもなら茶魔蛇って考えていいんだけど……)
今は色々前例のない事が起こっている。
警戒するに越した事はないだろう。
「レア、リューク。あそことあそことあそこ。何があるかわからないし、ここから狙撃しよう」
そう言って、敵の位置を順番に指差す。
場所を教えるのは三体だ。
「風よ、刃となりてかの敵を切り刻め〈風切〉」
「風よ、刃を形作りてかの敵に飛来し切り刻め〈風切〉」
「〈風切〉〈風切〉」
木を燃やすわけにもいかない為、風魔法を使う。
詠唱が少しずつ違うのは、短縮されているかどうかの違いだ。
上からレア、リューク、僕。
それぞれの魔法は〈探知〉で特定した位置に向かって行き、見事命中する。
レアに関しては一度の〈風切〉で二体の首を落としていた。
ぼとぼとと地面に落ちてくる魔蛇の死体を確認しつつ、他にいないかを念入りに調べる。
地面に埋まっていれば見つけられないが……流石に全て掘り返す訳にもいかないし、上に居るものだけでもなんとかしておきたい。
「……大丈夫そうだね。にしても」
茶色い魔蛇の死体に近付き、慎重に調べると、5体のうち2体が暗殺魔蛇だった事がわかった。
最初に頭を過ったのは、引き継ぎした冒険者達。
彼らもここを通ったはずだが、大丈夫だったのだろうか。
(それとも、彼らが通った後に来たのか……?)
どちらにせよ、移動中の襲撃リスクは下がっただろう。
他にも、ある程度は討伐しながら進むことにする。
その後、2回ほど魔物を見つけ討伐したが、いずれも樹上や茂みに隠れていた。
なんとか町に着くと、何やら様子がおかしい。
(急いでる……?)
どことなく、焦りが見える。
更に人通りも激しく、多くの人が忙しなく動き回っていた。
(何かがあったのかもしれない)
「急ぎましょう」
「うん」
「はい」
レアの呼び掛けに答え、駆け気味にギルドへ向かう。
ギルドにたどり着くと、普段数人はいつも居る他の冒険者が殆どいなくなっていた。
職員の人も見える範囲で全員が動いており、何かがあったとみて間違い無いだろう。
「すみません、Cランクパーティーの朝焼けの空です。依頼から戻ったのですが、何があったのでしょうか」
通りかかった男性職員に声を掛ける。
冒険者がいないと言う事は何かに駆り出されている可能性が高いし、Cランクパーティーの僕らならある程度対応してくれるはずだ。
「え、あ、C、ランク……申し訳御座いません、担当の者を呼んできますので少々お待ちください」
そう言って、さっさと行ってしまう。
担当の人と言うと、マイラさんだろうか。
それか、今起こっている事の説明担当の人がいるのかもしれない。
人通りの邪魔にならない場所に避け待っていると、奥からマイラさんが出てきた。
急いでいたようで、少し疲れた様子を見せている。
「ソラさん、レアさん!リュークさんも……いえ、まずは依頼達成、お疲れ様でした」
マイラさんは僕らを見つけると、急いで近寄ってきた。
そして、何かを言いかけたが口を噤み、労いの言葉をかけて来る。
「はい。……それで、何があったんですか?」
僕は特に怪我もないし、魔力も体力も残っている。
お世話になっていることもあるし、貢献度を稼げるかもしれないと言う打算的な部分もある。
レアとリュークにも怪我はないし、待ち時間に「出来る事があれば助けになる」と意見はまとめてあった。
「えっと……」
「僕らは動けますよ」
躊躇っているマイラさんにそう言って、続きを促す。
「実は、魔獣の森の奥地で巨大な熊型の魔物が現れたらしいんです。あまり情報が伝わっていないのですが、既に負傷者もかなり出ているようで……。かなり凶暴らしく、新種かもしれないと言われました」
「行こう」
「ええ」
「はい」
ギルドの外に出ると、息を切らしながら走って来る男性冒険者がいた。
身につけているものは泥だらけで、大きな傷もついている。
「誰かっ、誰か!癒魔法か聖魔法を使える奴を呼んでくれ!!」
そう叫び、崩れ落ちた。
「状況の説明をお願いします」
直ぐにその冒険者へ駆け寄り、水を渡しながらそう言う。
「はぁっ、はっ、悪い、大変なんだ! Cランクの奴があいつに傷を付けた途端、動きが変わって……俺が離脱した時点で意識がない奴もいた! 早く……」
「落ち着いてください、あいつと言うのは魔獣の森に現れたと言う熊型の魔物のことですよね?」
「そうだ!だが、他にもおかしなワイバーンがいた!」
(おかしな……というと、あれか?)
虹魔狼を討伐しに行った時に出会った、あのワイバーン。
(……いや)
考えるのは後だ。
考える事は移動中でも出来る。
「わかりました、ありがとうございます。……リューク、今回だけ……僕もリュイに乗せてくれないか」
リュイに乗って移動するのが、一番早く辿り着ける。
「はい、行きましょう!」




