人形遊び〈レア視点〉
短めです
試験的に地の文を三人称にしてみました。好評なら閑話と別視点の地の文は三人称になるかもしれません。
——sideレア
ソラが紅蓮の剣と合流した頃。
レアは、次々と現れる土人形を眺めていた。
(人形演武……そう。噂を流したのは誰なのかしら)
「……人形遊びと行きましょうか。大地よ、その生命力を土人形へと分け与えよ〈人形演武〉」
レアの目の前から、3体の土人形が姿を現す。
3体とは、レアがある程度戦える程に操れる最大数だ。
数としては敵よりも圧倒的に少ないが、見る限り相手の土人形の動きは遅く、単純。
そこまで熟練している様には見えないし、武器も持っていない。
レアは魔術収納から剣を3本取り出し、それぞれに持たせる。
(ひぃふぅみぃ……17ってところね)
「それじゃ、スタート」
そう呟くと同時に、三体の土人形を走らせる。
(二体は数で攻めて、一体を技術で倒そうって考えなのかしら)
敵の人形は7、7、3で分かれ、3の内の一体だけがしっかりとした動きをしている。
しかし、リーチの差で攻めあぐねているようだ。
そうして居る内に、他の二体はそれぞれ2体を破壊している。
単調な動きでノロノロと近付いてくる敵など、相手にならないとばかりの素早い動きで切り刻み、破壊しきっていないものも手や足が切り離されて居る個体がいくつかある。
敵は焦りからか、二体を壁にして突撃することにしたようだ。
「無駄よ」
土人形を左に跳ばせ、横から接近しつつ首を刎ねる。
なんとか避けようとしたみたいだが、三体を同時に動かすのは難しいことなのだ。
「走れ」と言えば走ってくれるわけでもないから。
その後も特に苦戦することもなく残った12体を破壊し、人形同士の戦いは終わった。
「次はどうくるの?」
レアがそう口にすると、土の中から5m程の箱の様なものが8個現れた。
その箱が開くと、中から魔物が出てくる。
大体2m程の大きさで、全身が黒く、赤く光る眼が128個。
16体の、蜘蛛の魔物だった。
「私、蜘蛛嫌いなのよね」
1体に持って来させた剣を回収しつつ溜息を吐いていると、足止めしていた二体の土人形が破壊される。
そして、蜘蛛達は何を思ったのか、周囲に散らばる人形の残骸を操り出した。
(遊んでるだけ……な訳ないわよね)
踊りの様な動きをして居る人形を見て、そう思う。
動きは先程とは違い滑らかで、キレもある。
操作練習と考えるのが妥当だろうか。
「蒼き炎よ、矛となりてかの敵を穿て〈蒼炎槍〉」
蒼く燃える炎の槍は、音を立てずに近付いて来ていた蜘蛛の体を貫き、燃やし尽くす。
「まぁ、襲いかかって来ないわけないわよね……」
「あんまり使いたくないんだけど」と呟き、溜息を吐く。
蜘蛛達は同胞を一撃でやられた事に恐怖を抱いてか、警戒したように距離をとった。
(まぁ、加減すれば大丈夫よね)
「炎よ、かの敵を滅ぼせ〈炎滅〉」
それは、レアが使える魔法の中で、最大火力の炎魔法。
敵を焼き尽くし、その炎が消えた時には何も残らないことが多い、そんな魔法。
特徴としては範囲が広く、殲滅力が高い。
代わりに、周囲にある植物なんかも燃えてしまう為、〈戦場〉等のサポートがないと使い勝手が頗る悪いのが欠点だ。
「〈戦場〉」
その声と共に、蜘蛛とレアの周囲を透明な壁が覆う。
「ソラ! 助かったわ」
「うん。……流石に炎滅はやりすぎじゃない? あの蜘蛛ならもっとどうにかなったと思うけど」
「そんなことより、リューク君は?」
「そんなこと……? リューク達は後からくるよ」
軽く会話していると、蜘蛛は全滅し、人形は燃え尽きていた。
威力を弱めに発動したのと、そもそも蜘蛛自体が炎に対して耐性がある殻を持っていたおかげで、手足の一部は残っている。
「じゃあ私は報告書書いてくるから!」
そう言って、逃げるように村長の家に向かう。
「……後で言っておかないとな……」
ソラは溜息をつきつつ、後始末を始めるのだった。




