43話
ナチュラルにエリーナさんの頬にキスをして出て行ったジェリックさん。
こりゃ復縁ホントに有りかもね~と、じっとエリーナさんを見ていたら、
「なにじっと見てるのよ~」
と真っ赤な顔でエリーナさんが怒った。
「ふふふ、いつの間にそんなに仲良しになったんですか~」
「そ、それは~」
「肖りたいですね~」
にやり。エリーナさんの十八番を言ってみる。
「マーヤ!」
「ふふふ。いつものお返しです」
「フフフやるわね」
「師匠がいいからですよ?」
「あら、今頃持ち上げたって何も出ないわよ」
なんて言ってたらお腹がグ~と鳴った。
「フフフ。ランチ行きましょうか特別に貴族の方行っちゃう~?」
「いいですね~」
って、
「あ!」
「何?どうしたの?」
確かめたいことあったんだ!
「エリーナさん、やっぱ騎士さん達が集まる方に行きたいです!」
「な~に?やっぱ出会いを取るの~?」
「違いますよ! サイラスさんの懐中時計が見たいんですよ!」
「え~またイバラの道を行かなくても~」
「だ・か・ら・違いますって!彼に付いてるおまじないを確認したいんですよ」
ま、いっけど~と、まだブツブツ言うエリーナさんと、騎士が集まる食堂へ向かった。
「でも、どこにいけばサイラスさんに会えるんでしょうね」
いや~甘かった。お昼時に食堂に行きさえすれば会えると思ってたけど、普通の騎士は魔術師よりも多いんだった。
食堂に入って人の多さに驚いた。見つけられないかもしんない。
仕方がない。人に聞こう。
不審者、もしくはサイラスさんのおっかけと間違われるかと思ったけれど、そんな事無く、あっさり職場を教えて貰えた。
「警戒されて教えてもらえないかと思ってました。いいんでしょうか?」
「ま~私が居るし、こんな魔力の高い女二人って滅多にないから、どう考えても関係者だと思われたんじゃない?」
「なるほど~」
教えて貰った通りに階段を上り、廊下を進んで、手前から4つ目のドア。
ノックをすると、
「ほぉ~い」
と間抜けな返事が来た。 ……お食事中?
「失礼しま~す」
中に入ると、右足を椅子に乗せそこに肘をつき、その手に持ったパンを頬張りつつ、書類を眺めているサイラスさん。
……イケメン株価大暴落!
逆にお茶目で取っ付き易い印象になったけど。
しかし、エリーナさんには大不評の御様子。
「サイラ~ス!」
サイラスさんは書類からこちらに目を移し、一瞬固まった後、バサバサバタバタと音を立て…
取り敢えず、体裁を取り繕った。
ププププ。
「パン、ほっぺに付いてますよ?」
「こ、これは失礼」
「全く行儀悪いんだから。副隊長の名が泣くわよ?」
「すいませんね、普段野郎しか来ないんで油断しておりました」
「まったく…そう「そういえば、何の御用でしたでしょうか?」
エリーナさんの小言が続きそうになった所をサイラスさんは話題転換を図った!
可哀相なので乗って進ぜよう。
「お忙しい所すみません。ちょっと見せてもらいたいものがあったのです」
「何をでしょうか?私が見せられるものならば、何なりと御覧頂いて構いませんが。宜しければ私の胸の内なぞ…「あ~それは要らないから」
エリーナさん、一刀両断過ぎます。さっきの仕返しですか?
「先日の黒い糸の事なんです」
「あぁ。あの時は本当にありがとうございます。それと、救って頂いた恩人の貴方様に立ち話とは申し訳ございませんので、こちらにどうぞ」
奥の窓際のテーブルセット勧められる。
「ありがとう」
とエリーナさんが座ったので、私も礼を言い席についた。
サイラスさんも私の向かい合わせの席に座る。
「それで?」
「あれは、恋のおまじないの影響ではないかという事になって」
「あぁ、その事はヒューゴから少し聞きましたよ」
「そうなんですか。それで、もしかしたら、サイラスさんの懐中時計にその様な物が付いてないかと思いまして」
「なるほど。で、私の懐中時計が見たいという訳ですね」
「そうなんです!お願いできますか?」
「ご期待に添えるかどうか分かりませんが、どうぞ」
サイラスさんがテーブルの上に置いた時計には3つのチャームが付いていた。
一つはサイラスさんの瞳の色と同じ薄い青色の大きい石が付き、家紋らしきものがついたやつ。
多分これはご両親からの物でしょう。
怪しいのが残りの二つ。馬の形の金属に、濃い青色の石が付いたもの。これまたお洒落でカッコイイ。
騎士なんだから馬に乗るし、男の人が持ってても可愛過ぎないデザインだし。センスいいなぁ。
もう一つは金色の石を五個、緑色も五個使った立体的な花のモチーフのもの。
すんごく高そう。いかにも女性からのプレゼントって感じです。イケメンにはお似合いです!
多分これ二つともおまじないだよね。
ただ、心配なのは首に巻き付いてた方。これが気になって源を見つけようと思ったのが発端なんだから。
だけど魔力を感じる事が出来ない私にはよく分からない。
エリーナさんに聞いても、強い魅了の為の魔力が込められてるのは分かるという位だった。
借りる事って、無理かな? 無理だろうな。
それにあんまり持っていたい物の類じゃないし。逆恨みが来そうである。
よし。必殺技、なんとかな~れ! でいこう。
「すみません。ちょっと失礼します」
一応断りをいれて、先ず馬の方を手に取ってみる。
目を瞑って、掌に集中。
何か、何か教えて~~~!




