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運命の赤い糸はなぜ見えない!  作者: のののの
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37話

私…馬鹿だよね………。




まぁ、さっきまで「どうしてこうなった」が、頭の中で渦巻いてたんだけどさ。

なんか突き抜けました。




現在、何が起こっているかと、デンディールさんの御家族に、紹介なんぞされて、恋人と華々しく誤解され、何故か感謝されとります。



あまり人間関係を深く、且つ複雑にしたくないと思っていたのに…。


となりで笑顔全開の男に、「てめぇ、この誤解解きやがれ!」と念じてみても、

そういえば、この人が恋人に贈るお守りなんかを寄越して、誤解の素を振りまいていた張本人だった事を思い出した。解こうとする訳ないよね。


その上、家族に紹介なんかしちゃって、外堀埋めるとか、確実に囲みに入られてるし…。


ナニコレ!デンディール恐ろしい子!





事の発端は、先日のグダグダお食事会の終わりかけに私がした質問でした。


黒い色の正体を知りたかった私は、『お守り』と呼ばれる『魔具』から黒い糸が出ているのを発見し

もしかしたら、たらしのサイラスさんの体に巻き付いていた黒い糸が、何かしらの『魔具』の物ではないかと思ったのです。


その時、閃いたのが『おまじない』。

乙女は好意を寄せる男性に、恋のおまじないをすることが多々あるのですが、この世界でもあるのかな?と。

中央学舎で、乙女がきゃいきゃい言ってアイドル的男性に『おまじない』してるのはありえそうだったので。


それで、デンディールさんに、そういう『おまじない』が流行ってなかったかを聞いたのでした。


女性のエリーナさんに聞いても良かったけど、絶賛痴話喧嘩中でイチャついていたので、聞き難くかったんです。



デンディールさんは、男の自分はそういうのあんまり分からないと言い、そう言われればそうか、と私も納得しつつ落胆したのですが、自分には10歳離れた妹がいて、その子が現在中央学舎に通っているから直接聞いてみたら?自分が聞くより、女性同士の方が話しやすいだろうし。なんて言われて、それいいね!是非!なんて思ったのが、運の尽きだった。……そう思う。


そして、デンディールさんの家に行くことになってしまい、この時点でヤバイ匂いを感じたんですが…。

お宅訪問にあたって、それなりのお洋服が必要とか言って、ドレスを作ってもらって…。断りたくても、貴族のお屋敷訪問に耐えうる服無いし、代金を払いたくても所持金スズメの涙だし…。

でっかい貸しが増えていくのをオロオロしながら何もできずにいたのでした。ホントどうしよう。



ヒューゴさんは、いつもの微笑みで、…それがちょっと却って怖いというか何というか…

「では、私も魔術師の物が町でそういう類の物を販売していないか調べてみますね」

と、協力をしてくれたんです。

そっか、そう云う考えもあったか~!それならデンディールさんにでっかい貸しを作らずに済んだのに~!!

と後悔しても後の祭りでした。本当に馬鹿です。私。




そして、現在デンディールさんのお屋敷に、デンディールさんが用意してくれた、デンディールさんの瞳の色に合わせたかのような緑色のドレスを着て、デンディールさんの御家族と、お茶なんぞ飲んでいたりする訳なんですよ。


いや~~~~~~~~~!!!!  誰か助けて!


も、ツッコミ入れたくてたまらないんですけど!!

なんで両親揃って居るの! とか! とか!


彼のお宅訪問ってイベントなんてした事なかったけど、こんなヘビーな物だったとは、知らなかったわ。



「このこっては、一度出て行ってしまうと、長期間音信不通になってしまうけれど、貴方の様な素敵な女の子がいたらそれもなくなりそうね、感謝するわ」


なんて言われても困ります!

私はあなたの息子さんの放浪癖なんてどうでもいいんです!!


1時間ほど経った頃に妹さんが帰宅されて、やっと当初の目的が果たせそうになったのも、

お前謀ったな!とツッコミを入れたかった。



デンディールさんの妹さんは、父親譲りの銀髪に濃い緑色の瞳の可愛らしい子でした。

いいな~銀髪。美人度が2割増しになる気がする。

それにしても、毛穴の見えない白い肌…うらやましすぎる。

頭も小さいし、ほっそいし、お人形さんみたい!

名前はエリミナちゃん。


妹さんの話では、『おまじない』は確かにあるそうだ。

でも、彼女の周りで一番人気は皇太子なんだとか。サイラスさんは、一般の子供が通う学校で人気があるのでは?という話だった。

そっか、階級か。

それにしても、狙うのが皇太子とか…想像もつかない世界だった。


お店も、貴族の子は「花の妖精」という魔術師の店に行くけど、一般人は「森の小鳥」って店らしい。

きっと、金額が違うのでしょう。と思ったらその通りで、貴族の子はそこにカスタマイズで、貴力石や増幅石を足したりしてパワーアップさせているんだって。金額ハンパ無さそうである。


金にモノ言わせた乙女のパワー恐るべし。ねぇ…皇太子の体、どうなってるか想像したら怖くなったんだけど。

今一番会いたくないホラーな男性だよね!


まぁ、実際おまじないをするのは少数派で、皆さん学校でそれとなく接触を図ったり、夜会で出し抜きを図ったりとハンター達は直接獲物を追っているらしいです。

皇太子って許嫁いないのだろうか。でも、ハンター達が多いって事は居ないのかな~。


みんながんばれ~。






「どうですか?妹の話は参考になりましたか?」

「とっても有力な情報も頂きましたし、助かりました。ありがとうございました」

「それはよかった。歳が離れているせいでかなり甘やかしているので、何か迷惑をかけていないか心配だったのです」

「そんな事なかったですよ?とっても可愛らしいお嬢さんですもの。甘やかしてしまうのは仕方ないですわ」

「そんな、畏まった話し方をなさらなくても。出会った時の様に気さくに話して頂けると嬉しいのですが」

「そういうデンディールさんの話し方の方が、畏まってません?」

「アハハハ。実家に戻って、こんな恰好をしているとつい、こうなっちゃいますね」

「フフフ。教育が行き届いてらっしゃったのね」

「母が厳しかったんですよ」

「どこの家庭でも一緒なんですね」


さて、今私は何してるかって云うと。


何故か夕食までごちそうになる事になっており、デンディールさんの私室でまったりお話なんぞしているのであります。



あ~~~~早く帰りた~~~い!


しかし、馬車を出してもらわないと帰れないので、何ともできな~い!

こんなドレスを着ていると、歩いて帰る事もできないのだ。トホホ。



しかし、ふたりっきりって、どうしたらいいの。

会話に困った私は、どうして冒険者になったか、冒険者としての生活の話を聞いた。


流石に色々な場所に行っているだけあって、デンディールさんの話は面白い。

携帯食やら、相方のエンディーさんのモテっぷりとか。

今、王族の人って金髪だから、金髪の人もモテるらしく、エンディーさんの地方でのモテっぷりはハンパないそうな。

なんか見てみたいな~。

でも、デンディールさんだってイケメンだと思うの。特にね、目の辺りがいいの。彫りが深くて、眉毛と目の位置が近くて、鼻が付け根の辺りから高くって、ちょっと垂れ目っぽい所が、強面になりがちな所をそうでなくしてて。きれいな緑色の瞳は、見入ってしまいそう。でも、恥ずかしいからあんまり見ないけど。


それから、魔獣の話。ちょっと強いランクの魔獣を二人で役割分担して倒す話は面白かった。

いいよね、そういうの。


「こんな話、喜んでくれるのなんて、貴方だけですよ。母も妹も、まるで毛虫を見るような視線で

 その話もういいわって言われるんですけどね」


ひ、酷ッ。


「では、お母様と妹さんのお気に召す話って何なの?」

「そうですね…貴力石の洞窟の話は喰いついてたかな?」

「なるほど。私も一度だけ貴力石の洞窟に連れて行って貰った事があるけれど、とっても綺麗でしたもんね。女性は好きな話かも」

「そうだね。透明だったら良かったけど、私が見たのは赤い石だったから、その話も打ち切りになりましたが」

そう言って苦笑する。

「え、貴力石って色で価値が変わるんですか?」


多分、一般的な事なんだろう。おかしな質問してしまったみたい。デンディールさんは一瞬呆けたような顔をして、でも優しく微笑むと、丁寧に教えてくれた。


「貴力石は、透明な方が、一般的に使用しやすいため高価なんですよ。大抵術師の瞳の色に染めたりしますから。

 自分の瞳の色に近い色なら、まだ使い易いのでいいんですが。だから一般的に多い、青や緑の石もそれなりの値段がします。

 でも、俺が見た赤色はあまり無い色なので、需要が少ないですね」


へ~。そんな風なのね。

あ、ビリー君は赤い目だったから、安く上げられていいじゃん!


「あ、でも、赤いのって、属性石とはまた違うんですか?」

「属性石は透明じゃないから、すぐ区別がつくよ」

「なるほど~」

「マーヤ」

「はい?」

「マーヤは魔石の事を知らないみたいだけど、出身はどこなんだ?」


あ、やっぱバレますか?

どこか遠い場所と誤魔化しても良かったけれど、各地を色々回っている人相手に誤魔化せるとは思えない。

それに、あと一月もしない内に還るのだから、ここは正直に言って、自分の事は諦めてもらう事にした。


「あのね、聞いて驚かないで?」


覚悟を決めて言うと、デンディールさんは立ち上がると私の隣に腰掛け、手を握ってきた。

ほんと、この世界の人、さりげなく接触を図ってくるんだから~!恥ずかしいのよ~。

大きくて、硬い手。厚みもあって、グローブみたい。でも、それが男の人って感じでカッコイイのよね。

その手に包まれて、気持ちが少し楽になった。


きっとこの人は、信じてくれる。非難しないでくれる。そんな気がした。



「私ね、この世界の人じゃないの。違う場所から突然ここに来たの」





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