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運命の赤い糸はなぜ見えない!  作者: のののの
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36話

お気に入り登録が400件を超えました。

このつたない話を気に入って下さる皆様、ありがとうございます。


本日のディナー。


前菜。紫色のちっさいキノコと生ハムっぽいのと何か分からない野菜が合えてあって、オレンジ色のソースがかかってる。


見た目がすごい。紫のキノコ、毒が入ってないから皿に乗ってるんだろうけど、毒がありそうで口に入れるのを躊躇う。

私の常識で測れない世界だね。最初の森で自分で食材探さなくて正解だったんじゃない?と今頃安心したりした。


食べてみると、マイタケっぽくて美味しかった。ハムは、生ハムより癖がなくてキノコと合った。

酸味のあるソースは、花の香りが少して不思議。でも美味しい。



実は前菜のキノコのインパクトでメンバーの微妙な雰囲気の事をすっかり忘れた私。



意外にこのキノコ旨!とにんまり顔を上げたら、皆の生暖かい視線に包まれていた。


うっ。居た堪れない…。 ていうか、私のアホー。




「貴方はいつも美味しそうに召し上がられますね」

私の前に座るデンディールさんが言う。あの…言葉遣いが違うの焦ります。

「私、食いしん坊なんです。食べることが大好きで。ここは変わった物が食べられるので、とっても嬉しいんです」

えへへ~と、笑って気まずいのを誤魔化す。

「そうね~。マーヤの食べ物に掛ける執念は凄いわね」

「エリーナさん!」

「何があったのですか?」

ヒューゴさんも聞かなくていいから!

「ここに来るまでの泊まる町の名産を全て食べつくす勢いだったんだから」

「へぇ」

「でもやっぱり量は限られてくるじゃない。そしたら「わ~~~~~!!」

このままでは、お腹を空かせるためにとあるダイエットキャンプ体操をしていた事がバレてしまう。

子供の頃流行ったのよね~。あのノリ嫌いじゃなかったのよ。

で、かなりドン引かれてました。



いいタイミングで、次のお皿が来た。スープでした。…助かった。


スープは、透明感のある具の全くないスープ。すっごい出汁が出てて美味。これ、すごいよ。

このスープがあったら、何作っても美味しいだろうな~。基本!ってやつっぽい。

このスープでリゾット食べてみたい。



横でヒューゴさんがクスリと笑う。

あ~はいはい。ど~せ面白い顔して食べてますよ~。いいの。もう美味しい物に集中だ!

イケメンよりイケメシ。なんつって。


…………さぶッ!


ヤバイ、課長の寒いオヤジギャグを言ってしまう病が感染ったかもしれない。

これは潜伏期間が長い、危険な病気なんだよね~。

課長だってまだ(ちょっと)若いのに発症してるし、これは本当に危険な病だ。


そんな軽く現実逃避をかましている私に喝を入れるように、ジェリックさんが切り出した。



「そういえば、ユスロイド卿。貴方とマーヤが知り合った経緯が知りたいな」


「ユスロイド卿?」

初めて聞く名前にハテナを浮かべると

「マーヤさんはユスロイド卿の名前をご存じなかったんですか?」

ヒューゴさんが訊ねてくる。

デンディールさんが一瞬顔を歪めさせた後、お手本の様な笑顔を浮かべた。

「マーヤにはファーストネームしか名乗っていないのですよ。家名は必要ないですからね。

 実際、家督を継ぐような立場でも無く、ただ自分の実力のみの世界で生きているのですから。

 ただの何も無い男ですよ。私は。しかし、マーヤはそんな私をまっすぐ見つめてくれる。

 それが私は嬉しいのです。会って間もないですが、私はこの関係が長く続く事を願っています」


「学舎で苦労されたクチかな?」


「まぁ、それなりには」


「いくら三男とはいえ、ユスロイド卿はそれなりの家だしね」


「デンディールさんて貴族なの?」

思わず驚く。

「えぇ、私など下級貴族とは違い、中級貴族でいらっしゃいますよ」

「それなのに、冒険者なの?」

私の質問にはデンディールさん本人が答えてくれた。

「たとえそこそこ階級がある貴族といえど、家督を継げるのは長子のみです。まぁ、次子はスペアですね。

 私の様に3番目ともなると、なにもありません。大抵は騎士になる道を進みますが、私は冒険者になる方を選んだのです」

「どうしてですか?」

「もっと広い世界を自由に見て回りたかった。…からですかね?」

その言葉に、フンと鼻で笑ってジェリックさん。

「騎士の階級を捨ててでも?」

わ~ いじめっこ~。


ちょっと空気が悪くなった所にメインディッシュのお皿が来た。

給仕さん、空気読んでる?さっきからタイミング良すぎです。もしかしてプロの技かもしんない…。


期待のメインは骨付きの肉でした。食べるの難しそう…。柑橘系っぽい果物も一緒にソテーしてある。添えてある花は食べられるのでしょうか?



「騎士の階級とか、貴族の階級とか、そういうものは要らなくなったのです」

「あ~貴族の女に飽きたのか~」


突然二人で睨み合う。


お~い。何があったんですか~?


やっばい。肉に気を取られてて、話全然聞いてなかった。


それにしても喧嘩するなら、私、デンディールさんに聞きたいことあるから、こっち優先してくれないかな~。

なんて思ったら。


「あら、ジェリック。貴方も貴族の女に飽きたから、私と結婚した訳?」


え。


エリーナさん、そこ食いついちゃったの?



「まさか!」


慌ててジェリックさんが弁解をし出す。


デンディールさんは標的から逃れられたからか、余裕の笑みで、食事続行。

ヒューゴさんは呆れながらも食べている。


なんだこのカオス。



ふたりの痴話喧嘩は、次に出てきたデザートの様に甘い。いや、デザートより甘いかも。砂吐きそう。


なんだ。エリーナさん、マーヤばっかり構うとか。それ、焼餅じゃね?

んで、ジェリックさんは、私に対する好奇心&ダシですか。そうですか。



仕方ないので、私は私でデンディールさんに聞きたい事を訊いてみる事にした。


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