30話
なんでしょうこの雰囲気。
ど~だ不気味だろう。怖がれ~!
と、見せて、脅えさせるつもりだったんですけど、なんだか様子が違ってます。
「大丈夫よ~。皆初めて見て吃驚してるだけだから~」
「なるほど~って、エリーナさん。また思考読んだんですか?」
「フフフ。読むっていうより顔に書いてあるわよ~」
「あぁぁぁぁ~~!」
バレバレだったんですね。いいけど。いつもナイス説明だから。助かってる方が多いし。
「エリーナさん、これは何の石になったんでしょう?」
「う~ん。何に分類されるのか私にも分からないけど、増幅石でも貴力石でもないから、属性石なのかしら?」
「どんな属性なのか考えるの不気味ですね」
「呪いが凝縮されてるから~」
「いや~~~~~!!」
免疫があったエリーナさんと当初の予定通り盛り上がれたので、そのままキャッキャと気持ち悪がってたんだけど、ジェリックさんがいち早く復活した模様。
「どうなんたんだ?エリーナが言っていたヤツか?」
「すみません、見せて頂いてよろしいでしょうか?」
「おい、何が起こったんだ?
それを切っ掛けに、次々解凍されたんですが、呪われた二人は真っ青です。
「えっと、これ、すっごく気持ち悪かったんですが、皆さん見えてなかったのがちょっとアレでそれでアレだったから、どうにかならないかな~と思ったら、こうなってたんですよ~」
なんという説明!自分でもどこから突っ込んでいいのか分からない説明ですが、他に何って言ったらいいのか分からないんです~!
「マーヤ…」
エリーナさんの可哀相な子を見るような視線が堪りません。
取り敢えず見たがっていて傍にいたヒューゴさんに、はい。と渡す。
彼はちょっと驚きつつも、それを観察していた。
「ヒューゴ」
石はジェリックさんに渡る。
そのまま団長さんとエリーナさんが加わって四人で何やら話し出した。
よし、次行こう。
「イザークさん」
「はい」
「イザークさんのも取ってしまいましょう」
「私にもあのようなものが付いているんですか?」
「サイラスさんより少ないですし、首に巻き付いていたようなヤバイものは無いので大した事ないですよ?」
「そっか」
イザークさんは少し安心したようだった。
「マーヤ殿!」
急に名前を呼ばれて振り向いたら、サイラスさんが巻き付いてきた。
「ありがとう!他に何て言っていいのか分からないくらい感謝します。ありがとう」
「そうですね、あんなの巻き付いていたのが分かったら、気持ち悪いですよね。私も不躾でした」
「いえ、いえ。そんな事ありません。私は助けて貰えたのです。貴方にそんな失礼な事は思っておりません。心から感謝の気持ちを…」
「ありがとうございます。そう言って頂けると私としても助かります」
サイラスさんの体が震えているみたいだったので、私はちょっとお母さん気分でポンポンと背中を叩いた。
よしよし、怖かったでちゅね~。
落ち着いたらしいサイラスさんの体が離れる。
もう大丈夫かな?顔色を確認しようとしたら、素敵な笑顔になっていた。
うん。もう大丈夫だね。安心させるように私も微笑んでおいた。
「よし、次はイザークさんだね!」
彼のは少ないからチャッチャと終わらせよう!
私はイザークさんに向き直り、スプーンをぎゅっと握った。
「はい完了!」
「ありがとうございます」
「いえいえ、早く終わって良かったです」
「確かにサイラスが言っていた様に少し体が軽くなりますね。私のはどれくらいの大きさになったのでしょう?」
「イザークさんのは少ないよ?親指と人差し指で作った輪っかくらいです」
「そうですか。それも、あの様に石になるのでしょうか?」
「どうなんでしょうね、試してみますね」
「お願いします」
「はい」
それで私はまた、何とかなれ~~と気合を込めてみた。
いつも思うのだが、この『何とかなれ~』が私の魔法の呪文なのだろうか。
それなんだか情けなくないだろうか…ねぇ?
取り敢えず、『何とかなれ~』は効いて、ビーズ玉くらいの黒い玉が出来た。
「できました~!」
「やっぱり小さいですね」
「そうですね、小さくて良かったですね?」
「そういう問題なんでしょうか?」
「う~ん?」
「呪われない方がいいだろう」
「確かにそうだが」
「お、メルロードのも終わったのか?」
ジェリックさんが気が付いて、ビーズ玉も持っていかれてしまった。
全く、あのオッサンは調子いいんだよ!
「マーヤさん、体調はどうですか?」
そしたらヒューゴさんが私の事を心配してくれてた。いい人!やっぱいい人だよ~!
「ありがとうございます。何ともありませんよ」
「もし疲れていたり、気分が悪くなるような事があったら教えて下さいね」
その心遣いが嬉しいです。
「はい。分かりました」
「貴方に何かあったら、私は心配です」
「大丈夫ですよ?でも、何かありましたら言いますね、その時はお願いします」
「わかりました。いつでも教えて下さい」
「マーヤ殿、私も心配です。ヒューゴは忙しいですからね。是非私におっしゃって下さいね」
「ありがとうございます」
「サイラスは従騎士が入ったばかりで忙しいだろう?私の方が近くにいますし、いつでもどうぞ?」
「私の呪いを取ってくれて体調が悪くなったのならば、私に責任がある。私が看病致します」
「元々は私が最初にお聞きした話なので、最後まで責任を持つのは私です」
「ハハハ。私は責任なんて言いませんよ?貴方が心配なのです。もし何かありましたらイザークに申し付け下さい」
「貴方が心配なのは私も同じですよ?」
「そうです、貴方に何かあったら…呪い以上に今はそれが心配です」
「皆さん御心配ありがとうございます。大丈夫ですよ? でも、呪いも気になります。
どうして、誰が、どんな方法で、サイラスさんに呪いを掛けたのか」
「私の心配まで…嬉しいですね、早く解明させるために尽力は惜しみませんよ。何なりと申し付け下さい」
と、なんだか面倒臭く心配し合っていると
「お~い、これ貰っていいか~?」
とジェリックさんの呑気な声。元々あなたに押し付けようと思っていたので全然オッケーです!
「どうぞ~」
「ありがとう。お嬢さん悪いな」
「いえいえ」
「悪いついでに頼みがあるんだが」
「え…」
いや~な予感しかしないんですけど。
「色々調べたいからもう少し量が欲しいんだよ。悪いけど協力してくれないか?」
「え…」
どーゆー事ですか?
「いいか?」
「え、いえ」
「いいだろ?後で旨い物食べさせてやるよ?」
「え」
「はい決定。じゃあ、呪われてるヤツ探しに行こう!」
「嫌です!」
「そんな事言わないで、頼むよ」
「マーヤさん、私もお手伝いします!」
「ヒューゴさん…」
「マーヤ殿私も!」
「え、でも、嫌っていうか…」
思わずエリーナさんを見たら、バチンとウィンク。
あの…どういう意味なんですか?
カオス過ぎる。
私の主張はさっきからジェリックさんに抹殺され続けて、いい加減キレた。
「あの!」
全員の視線が集まる。 知るもんか!
「取り敢えず、ごはん、食べさせて下さい!」
異世界でもハトが豆鉄砲食らった顔ってあるんですねぇ……。
20話で城にやってきて、まだ2日目なんですよ…。
進行がのんびりすぎてすみません。




