27話
入団式も終わりに近づいてきたのだろうか。
騎士団の、各隊長、副隊長が前に出てきた。
その中のひとり、金髪の背の高い人に驚いた。
なに、あれ。
男性には黒い糸が体の所々に絡まっているのだ。
糸は途中で千切れてしまっているが、絡まって残っている。
それが、女の髪の様で、気持ち悪い。
思わず、某ホラー映画の髪の長い女性を思い出してしまった。
やばい。この人が井戸の傍に立ってたら、怖い想像しか浮かばない!
遠いからよく分からないけれど、イケメンオーラがあるんだよね。
なんつうか、体のバランスがいいの。足長いし。
思わず、周りで噂話をしていないか聞き耳を立ててしまう。
「ユーグドイル様…ステキ」
~~~~~キタコレ!
やっぱねぇ。誑してるよ。あれ、絶対女の執念だね。
下手したら水子もいるかもね。
水子は男の腰に憑くらしいので、思わず念入りに腰を見てしまう。
残念!見えないな~。
いや、見えたら怖いから見えない方がいいのか。
どっちにしろ、気持ち悪いので、あんまり見ないようにしよう。
そうこうしている内に入団式は終わり、父兄は帰り支度。団員たちは、それぞれの建物に移動との事。
はぐれる訳にはいかないので、私は慌ててヒューゴさんの所へ行った。
ヒューゴさんに声掛けようとしたら、あの、呪われたイケメンと、もう一人、この人も少し黒い糸が絡まってる!
三人で話をしてた。
関わりたくないので、少し距離を置き、三人を眺めていた。
いいね。三人共それぞれカッコいいね。眼福だ!
金髪の軟派系。ヒューゴさんはクール系っぽい。もう一人の茶髪のひとはお茶目な感じ。ムードメーカーっぽいな。
観察してたら、ヒューゴさんと目が会う。
あ……。
やな感じ。
逃げ出せずに、彼らの下へ行くことになってしまう。
あ、なんで逃げ出せないかというと、このお城、マジ迷路!多分彷徨って、餓死出来そうなので、単独行動したくないのです。
以上説明終わり。
「こちら、スタミン様の弟子のマーヤさん」
そう紹介されると
「私はサイラス・ユーグドイル。第二騎士団の副隊長です。美しいお嬢さんとお知り合いになれて大変光栄です」
そう言って、さっと私の手を取ると、軽く甲に口づけを落とし、フェロモンが駄々洩れの笑顔を向けられた。
普通のお嬢さんだったら恋に落ちているだろう!だがしかし!
黒い糸が呪いの様に絡みついているのが見える私にはホラーにしか見えません!
青髭に遭遇した気分です!
「ありがとうございます…」
辛うじて返事だけ絞り出した。離せ!今すぐ手を離せ!
「おい」
と言って、間に入ってくれた彼に感謝だ。
「私の名前はイザーク・メルロード。この出会いに感謝します」
そして、彼も手の甲にキス。
……ここで間接キスとか考えちゃ駄目なんだろうか。
私は腐ってる方だから、BLだって好きな展開なんだけど。
呪われてる二人で纏まってると、楽なんだけどな~。なんて。
師匠に付いてしばらく城に居るという話をしたら、町を案内してくれるとか、騎馬隊の話から馬に乗った事無いのなら教えてあげると言われたり、練習を見に来て下さいとか、遺跡に行くときご一緒しましょうとか色々言われたけど、あの二人に近付きたくなかったので、苦労して断った。
なんとか別れて、ヒューゴさんと魔術師棟へ戻る事が出来た時は、精神的に疲労困憊でした。
「二人の誘いを断るなんて、マーヤさんは凄い人ですね」
なんて、苦笑するヒューゴさん。
「え、断ったら不味かったですか?」
「そんな事ありませんが、特にサイラスは女性に人気が高いので、断られている所を見たことが無かったので」
「あ~~なるほど~」
「イザークも割と人気あるんですよ?」
「そうかもしれないですね~」
でも近づきたくないんだってば。
「あなたは…」
ヒューゴさんが急に立ち止まる。どうしたんだろ?思わず顔を見る。
「あなたは、不思議なひとですね…」
はにかんだ様な笑顔。
う、わ。なんですかその笑顔。なんかぎゅ~っときましたよ!
ほんとにこの人、私の心臓止める気なんでしょうか。
顔が赤くなる!
「そ、そんなことないですよ」
照れくさくって慌てて否定した。
「いえ…」
なんか好印象持たれてる?違うの!だって…
「だって、あの人達、呪われてるっぽいから近付きたくなかっただけなんです!」
「え?!」
……時間が止まりました。




