第11話:早朝ドッキリ&オリエンテーリングイベント発生
2泊3日の旅行、やっと2日目突入。
早朝から騒動の予感――?
――どんなに騒がしい夜だって、かならず朝はやってくる――
2日目の朝がやってきた。しかし、昨晩騒ぎすぎた裕也や速人たちは起床時間となっている朝6時半になってもピクリとも動かなかった。
そこに忍び足で接近する黒い影―――もとい麻美。
(どうやらまだ起きてないのかな?これはチャンスね。って、誰か来た!?)
麻美は裕也たちが寝ているところに何かイタズラしようとしたようだが、直前に何者かの接近に気づいてあわてて隠れた。
「もう起床時間なのに誰一人起きてこないとは……仕方ない、アレやるか。」
部屋の前で誰も起きてないことを確認し、そうつぶやいたのは旅行にアドバイザーとしてついてきてる上級生数人のうちの一人だった。その声に後ろのほうにいる別の上級生が頷くと、裕也たちの部屋の隣にある自分たちの部屋に戻り、ビデオカメラと何かが書かれた木の板を持ってきた。
「よし、ターゲットはまだ起きてない、作戦開始だ。」
リーダーらしき上級生の一言でカメラを持った別の上級生が部屋に突入していく。
「………くん、……方くん、…北方くん、起きてくださーい、朝ですよ〜」
上級生の一人が裕也を揺さぶって起こそうとする。
「うぅ〜も、もう朝か……」
そう言いながら体を起こした裕也は目の前にカメラがあるのに気づき、眠気が吹っ飛んだ。
「な、ななななんでカメラ!?」
裕也が指差しながらそう叫ぼうとすると、
「しーーっ!まだほかの連中も起きてないんだ。騒いだら君だけやられ損だぞ。」
カメラを持った上級生がそう笑う。
「ま、ひとまず一人目の寝起きドッキリ大成功!」
指示を出した上級生が後ろから小さな木の板を取り出すと、そこには[寝起きドッキリ大作戦]と書かれていた。
その後、同じ部屋の速人や豪たちも同じようにドッキリを仕掛けられ、全員がカメラに驚くという、仕掛けたほうにとってはこれ以上ないほどの大成功だった。
ちなみに別働隊が隣の部屋の連中にも仕掛け、すでに起きていた一人を除く全員がうまくいったらしい。
その頃、先にイタズラを仕掛けようとした麻美は、上級生たちにお株を奪われたことでイタズラをあきらめ、そのまま部屋に戻っていたのだった。
朝食の席ではそれをネタに大いに盛り上がっていた。というのもさっき録画した各部屋の寝起きドッキリの模様を食堂のテレビに映し出したせいである。このとき、ただ一人ドッキリに失敗した一人に対し「空気読めよ〜」などと罵声が飛び、「そんなぁ〜」と失敗したやつが返し、そこでまた笑いが起こっていた。
朝食を終えると、今日の予定であるオリエンテーリングのために動きやすい格好に着替えて集合とのことだった。
各部屋ごとにひとつの班を結成し、旅館周辺の山の中を歩き回る単純なものだったのだが……
「昨日下見したときはいなかったが、この山の中はクマやイノシシなどの動物がいろいろいるそうだから気をつけていくように。」
引率の教授からそんな注意が入った。
(そんな危険なところに行かせるなよ!)
と全員が思ったのは言うまでもない。と、誰かが本当に突っ込んだ。すると、
「これは毎年やってることで、出る出るいいながらも実際は出てないから、大丈夫だろう。もし出たら大声で助けを呼ぶこと、いいな?」
どうやらあくまでも中止する気はないらしかった。
結局そのまま出発することになり、クジで最後になった裕也たちの班も出発の順番が来た。と、そのとき裕也の携帯にメールが入った。
<山の中でイタズラを仕掛けに行くから覚悟するよーに by麻美 注:今回は雪子も公認なので訴えても無駄だよー♪>
などと書いてあった。それを速人たちにも伝えると、
「上等じゃないか、どこでどんなイタズラが入るか見ものだね。さあ、行こうか。」
速人がそう言って裕也たち一行は山の中へ入っていった。
さあ、オリエンテーリングで山の中へ。
裕也たちの敵は自然or動物or麻美!?
次回に続く!
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