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幼馴染の勘違いオタクを無害なモブにしたかっただけなのに、冷徹に教育していた私が絆されました  作者: remia
第7章:すれ違う冬

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幕間:元・ラノベ勘違い野郎の試練

「凛子からチョコ……あの氷室凛子が、俺にチョコを……っ!」



 自室のベッドの上で、俺は空になったお洒落な小箱を両手で天高く掲げ、声にならない歓喜の叫びを上げていた。



 凛子がわざわざ俺のために選んで買ってきてくれたであろう、あの一粒一粒が少し不揃いな形をした、いかにも高そうな海外ブランド(?)の高級チョコ。

 口に入れた瞬間に溶けるあの甘さは、控えめに言って神々の食べ物だった。



 俺が最近勉強を頑張っているからって、こんな高価なものを……っ。泥臭くレベル上げを頑張ってきて、本当に良かった……!



 小箱を大事に机の引き出しにしまいながら、俺はふと、年末から始まった凛子との二人きりの勉強会を振り返った。



 この一ヶ月半、俺にとってあの時間はまさに地獄……いや、天国のような日々だった。

 なにせ、毎日俺の部屋にやってくる凛子が、信じられないくらい可愛いのだ。



 私服姿も、無防備な部屋着姿も、いつもと違うポニーテールも、控えめに言って最高だった。

 だが、その破壊力は、恋愛免疫ゼロの俺の貧弱な精神力で耐えきれるものではなかった。

 教えてもらう時なんか、距離が近すぎてシャンプーのいい香りがするし、うっかり直視すれば鼻血を吹いて即死ゲームオーバーしてしまう危険性が極めて高かった。



 だから俺は、凛子に背を向け、顔や服を一切見ず、視線を参考書とノートだけに完全に固定するという、血を吐くような『縛りプレイ』でなんとか自我を保っていたのだ。



 だが、そのせいで外見の変化という女子の努力に気づけず、凛子から「最低限のマナー」と怒られるという大失態を犯してしまった。



 ノートにメモして猛反省し、翌日からはちゃんと褒めるようにしたが……あれで凛子に愛想を尽かされていないだろうか……。



 いや、今はそんな不安に押しつぶされている場合じゃない。

 もちろん凛子に嫌われないことが最優先だが、今だけは目の前に迫った高校受験に全リソースを注ぐべき時だ。



 結城や須藤、五十嵐に基礎から叩き込んでもらい、凛子に毎日しごかれた結果、俺の成績はついにはB判定にまで辿り着いた。



(本当に素晴らしい友人たちだ。俺はなんて最高の仲間に恵まれているんだ)



 テストの攻略法であるタイムアタックとリソース管理の概念も結城たちから伝授されたし、今の俺ならあの難関ダンジョンだって突破できそうな気がしている。



 だが、油断は禁物だ。

 俺は才能溢れるギフテッドなんかじゃない。マイナス限界突破から這い上がってきた元・村人……いや、ただの元・底辺なのだから。

 驕らず、最後まで泥臭く足掻き続けるしかない。



「本番まであと数日。見ててくれ凛子、絶対に合格して、お前の隣にふさわしい主人公になってみせる……!」



 決意を新たにし、俺は熱い拳をギュッと握りしめた。



 ……だが、そこでふと、ある致命的な疑問に直面した。



「……ところで。見事合格して主人公になれたとして、俺はその後、どうすればいいんだ?」



 凛子と同じ場所に立つという目標は達成される。

 だが、その後だ。

 普通に話しかければいいのか? それとも、いきなり告白するべきなのか?

 だとしたら、何て言えば正解なんだ? 春先の『俺が守るから』みたいなセリフは玉砕して大火傷しているし……。



「ヤ、ヤバい……っ!」



 俺はベッドの上で、ガバッと頭を抱えた。

 コミュ力の基礎や、服の選び方、テストの攻略法は結城たちから教えてもらった。

 だが、肝心の『恋愛』の攻略法については、何一つ教わっていない!



「どうすればいいんだ……! 俺には恋愛の基本ステータスが全くないぞ……っ! 」



 目前に迫った高校受験の先に待ち受ける、未知すぎる最難関クエスト。

 その攻略法が全く思いつかず、俺は一人、ベッドの上でのたうち回るのだった。


第1章のリライトは完了しておりますので、お時間がありましたら、是非感想をお聞かせください。


ストーリー自体には変更ありませんが、地の文主導の形にして、読みやすさと、凛子の内心ツッコミを強化しています。



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