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幼馴染の勘違いオタクを無害なモブにしたかっただけなのに、冷徹に教育していた私が絆されました  作者: remia
第6章:形勢逆転の秋

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幕間:元・ラノベ勘違い野郎の後悔

「やった……! ついに凛子に『普通』って認めてもらえたぞ……っ!」


 自室のベッドに飛び込むなり、俺は一人でガッツポーズを決め、歓喜の叫びを上げていた。



 旧校舎の裏で、凛子から直々に下された『話しかけるな』という処刑宣告の解除。

 それは間違いなく、俺がこの数ヶ月間、泥臭く積み上げてきたレベル上げが実を結んだ瞬間だった。



 とはいえ、あの場では平気な顔をして誤魔化したけど、凛子の『普通』の判定基準って厳しすぎないか?

 俺が文化祭の時点で『完全に普通をマスターした』って思ってから、さらに結構頑張って、ようやくだぞ……。



 氷の処刑人の審査の厳しさに冷や汗をかきつつも、俺の胸はかつてないほどの達成感で満たされていた。



 ただ……。



「……本当に、あれで断って良かったのか?」



 俺はガバッと起き上がり、頭を抱えた。


 凛子から「話しかけてきても……いいわよ」と言われた瞬間、正直に言えば、尻尾を千切れるほど振って「本当か!? ありがとう凛子!」と歓喜の声を上げそうになった。


 何度も、何度も、その甘い誘惑に屈して受け入れてしまおうとした。



 だが、俺はそれを必死で堪え、断った。


 文化祭の夜に誓った『あいつの隣に堂々と立てるようになるまで話しかけない』という自ら課した縛りプレイを守るために。

 結城たちに追いつくための証明として、超難関の秀瑛高に合格するという誓いを立ててしまったからだ。



「カッコつけて断っちまったけど……もし秀瑛高の受験に落ちたら、俺、完全にゲームオーバーじゃないか……?」



 現実リアルには、都合のいいリセットもリスタートもない。


 もし不合格になった後で、「受験は落ちたけど、前に普通になったって言ってたから話しかけていい?」なんてすり寄るのは、いくらなんでもカッコ悪すぎる。

 ダサさの極みだ。きっとモブどころか虫を見るような視線を向けられるに違いない。



 あぁぁぁぁぁぁぁ!


 今回ばかりは、意地張らずにあの申し出を素直に受け入れておいた方が絶対に良かったんじゃないか!?



 今さら押し寄せてきた激しい後悔に、俺はベッドの上でのたうち回った。

 だが、一度セーブしてしまった選択肢はもう取り消せない。



 俺に残された道は、絶対に秀瑛高に合格することだけ。

 しかし、現実は絶望的だ。



 今の俺の成績は、学年上位三十パーセントにギリギリ食い込んだ程度。

 対して秀瑛高は、結城や凛子のようなトップテン常連の超ハイスペックたちが集う県内屈指の進学校だ。


 模試の判定は残酷なD判定。

 このままの地道なペースでレベル上げをしていても、春までに届く確率なんてほぼゼロに近い。



「今のペースじゃ、絶対にダメだ……」



 俺には、莫大な経験値が手に入るような劇的な『レベルアップイベント』が必要だった。

 しかし、ただ待っているだけで都合のいい覚醒イベントなんて発生しないことは、この夏休みの地獄の特訓で嫌というほど学んでいる。



「どうすればいい……一人じゃ、どう足掻いても限界がある……」



 俺は両手で頭を抱え、スマホの黒い画面を見つめた。

 これ以上、結城たちに負担をかけるわけにはいけないし、親に高い塾代を出してくれとも言えない。



 だが、このままでは俺は永遠に凛子に話しかける権利を失い、あいつの隣に立つことすらできないままバッドエンドを迎えてしまう。



「何か……何か、強引にでも状況を打開する手を打たないと……っ」



 俺は焦燥感に駆られながら、次なる活路を見出すべく、必死に頭をフル回転させ始めたのだった。


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